金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

05

新聞購読のお申込み

【新春特別インタビュー⑧】オーニック社長・難波 健氏「異なる人材活躍するワンチームとなる」

考え方や能力異なる 人材活躍するワンチーム 時代の変化にしなやかに ~ダイバーシティ~

 1976年生まれ、北海道札幌市出身。99年工学院大学工学部機械工学科を卒業し、オーニックに入社。2013年、社長に就任。経営理念であり創業者(叔父)の意思を受け継ぎ、障がい者が働きやすい職場づくりに日々取り組む。趣味は映画鑑賞、読書。尊敬する人は父・難波功一氏。近ごろのマイブームは靴磨き。

 コロナ禍で需要が減り、一方で脱ガソリン車の動きは産業構造をも揺るがしかねない。日本の金型を取り巻く環境はいま、大きく変化しています。そんな変化の時代を乗り越えるカギの一つが、ダイバーシティ経営だと感じています。

 性別や国籍、身体的能力にこだわらず多様な人が働く。考え方や能力、生い立ちを個性として認め、それぞれの働き方ができる環境をつくる。それは働く人の不便を改善するだけでなく事業全体の改善にもつながるからです。

 オーニックは障がいを持つ人を雇用するために創業した金型部品メーカー。身体的、知的、精神的な様々な障がいを持つ人が働いています。私は1999年に入社し、2013年に叔父の後を継ぎ、働く人が能力を発揮できる職場づくりを続けてきました。

 漢字を読めない知的障がいの人のためにマニュアルの全ての漢字にルビを振る。下半身で温度を感じることが苦手な車イスの人のために作業現場の室温を一定に保つ。

 それはその人たちのためにしたことでした。けれど、ルビを振ったことで他の人もミスが減り、恒温にしたことで金型部品の品質が良くなった。事業全体の改善にもつながったのです。

 それと、ダイバーシティこそいまのような変化の時代に柔軟に対応できるのでは、とも感じています。様々な感性や発想を改善活動や事業展開に取り入れることで、時代の変化にしなやかに対応できると思うのです。

 ものづくりにおいて、人の多様性に合わせるダイバーシティよりも、人の能力や思想が同一的な方が生産性は上がります。けれどそれは市場が一定方向に成長している時の論理で、市場が変化する状態では多様な感性が混在する方が針路を見誤らないと思います。

 ダイバーシティというと障がい者や外国人を雇用することと思われがちですが、私はそうは思いません。成功体験や固定概念の無い新入社員の意見を取り入れる。保育園に子供を送り迎えする社員が参加できる時間に会議を開く。工具は女性が持てる重さにする。

 そうした「多様」な人が活躍できる職場をつくる。そして、「仕事の成果」そのものを尺度として評価する。それがダイバーシティではないでしょうか。ですから、そんなに身構えなくても明日からでもできるんです。やってみればきっと新たな発見や成果につながります。

 それに、全体の成果のために個性を生かす「適材適所」が得意な日本人は、その素養を持っていると思います。それも世界トップクラスの。だから、ダイバーシティでワンチームとなった日本企業はかなり強いと思いますよ。

 オーニックは?。これからはもっと重度の高い障がいを持つ人を受け入れていきます。日本のあらゆる企業でダイバーシティが進んだら、現状のままだと存在価値がなくなりますから。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

この人に聞く2016<br>牧野フライス製作所 井上 真一社長

この人に聞く2016
牧野フライス製作所 井上 真一社長

要望に合わせ創造と変革  「色々と教えると新しい経営はできないだろうから、あなたには多くは教えない」―。工作機械業界のカリスマ、牧野二郎前社長がそう伝えるほど、全幅の信頼を置く。 顧客重視をより進化  入社時に「機械もソ…

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた…

【ひと】七宝金型工業営業部・松岡咲希さん(25) 女性が活躍する職場へ

女性が活躍する職場へ 「友達に金型を知っている人はいなかった」と話すのは七宝金型工業の松岡咲希さん。同社社長を務める父の影響で入社し、現在入社4年目。仕上げやCAM課を経て、昨年から営業部に所属し、訪問から見積もり依頼、…

日本金型工業会 商品企画開発力WGリーダー 打田尚道氏に聞く【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

ニーズとシーズをつなぐ仕組み 製造業では、顧客のニーズを捉え、自社が保有する技術やシーズを確認し、実現できる企画案を考えます。企画を実現する上で、技術が不足する場合は技術開発し、商品が完成します。ワーキンググループ(WG…

黒田製作所 会長 (岐阜県金型工業組合 理事長)黒田 隆氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

若者の興味を引け 金型はものづくりの喜びがある広く知られる業界へ  若手を育てることは、金型メーカーにとって技術の伝承はもちろん、業界の活性化という点でも大切なことです。量産のものづくりがある限り、マザーツールである金型…

トピックス

関連サイト