パラレルで力制御、高速・高精度 金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…
【鳥瞰蟻瞰】ニットー ・藤澤秀行社長 一般の人に広く知ってもらうこと必要

自社の強みを発信
広く知ってもらうことが、会社の成長につながる
「自動車や電機メーカーなどの企業(法人)がお客さんなのだから、自分たちの仕事を一般の人に知ってもらう必要はない」。私もこの会社に入社した当時はそう思っていました。しかし、今は全く違います。一般の人に広く知ってもらうことが、自社の成長につながると考えています。
そのきっかけが、自社製品でした。当社はプレス用金型製造だけでなく、設計から試作、量産までの一貫生産が可能です。この強みをアピールするために、2012年にスマホケースを自社で企画し、製造から販売までを全て手掛けることにしました。
ヌンチャクのように振り回すことができるケースなのですが、それを私自身で実演し、動画をネットに公開したところ、「無駄にかっこいい」と話題になったのです。これまでに43カ国で約5万個売れ、神奈川県から表彰を受けるなど、想像以上の反響がありました。
また、中小企業として初めてクラウドファンディングを活用した事例だったようで、様々なメディアにも取り上げられました。それによって、当初の狙いだった一貫生産のアピールに成功しただけでなく、様々な副次効果が生まれました。社員のモチベーション向上のほか、採用や教育面でもプラスに作用しましたし、知財戦略の知識なども身に付きました。
そして何よりも良かったのが、様々な方との連携が広がったことです。デザイナーや異業種など既存の事業領域を超えたつながりができるようになりました。その成果の一つがアシストスーツ「archelis(アルケリス)」です。
開発のきっかけはある大学の先生と知り合ったことでした。「手術時は長時間立ったままの姿勢になるため、足腰に負担がかかる」という医療現場のニーズを聞き、その課題を解決するために商品開発に取り掛かりました。あらゆる人が装着できるように改良を重ね、通常は製品発表の場である展示会をテストの場として活用し、1000人以上の方に着用してもらいながら、約4年かけて作り上げました。
当初は医療現場向けに開発した商品だったのですが、製品化し一般発売してみると、工場や飲食店など、立ち仕事のある様々な業種、業界から引き合いがあり、多くのニーズがあることに気付きました。市場のニーズに対してよりスピーディーかつ柔軟に対応できるように、20年には新会社「アルケリス」を立ち上げ、営業や開発を強化しています。
こうした自社製品の開発は、「下請けからの脱出」という側面もありますが、それだけではありません。新しいことに取り組み、それを広く一般に発信し続けることで、既存事業の顧客からも「常におもしろいことをやっている」という信用度の向上にもつながります。当社も数年前に比べて、売上高や取引先の数は伸びています。自社製品や高度な加工技術など、自社の強みとなり他社に真似のできないものをつくり、それを情報発信していくことが、今後さらに成長させていくには大事だと思います。
金型新聞 2021年4月10日
関連記事
人手不足や事業承継問題に取り組む 「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス…
ニーズとシーズをつなぐ仕組み 製造業では、顧客のニーズを捉え、自社が保有する技術やシーズを確認し、実現できる企画案を考えます。企画を実現する上で、技術が不足する場合は技術開発し、商品が完成します。ワーキンググループ(WG…
研削力高いセラミック砥石 ALPHA LASER ENGINEERINGは昨年11月、独自ブランドの金型用セラミック砥石を発売した。優れた研削能力や耐熱性が特長で、広がる金型リユースの需要に応えていくという。市川社長に開…
産業用ガスメーカーの大陽日酸はガスの高い知見を武器に金属AMによる金型づくりを提案している。海外製の金属AM装置販売のほか、粉末の管理、シールドガスによる水分や酸素濃度の管理、造形ノウハウまでトータルでサポートするのが特…


