金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

13

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】ニットー ・藤澤秀行社長 一般の人に広く知ってもらうこと必要

自社の強みを発信

広く知ってもらうことが、会社の成長につながる

「自動車や電機メーカーなどの企業(法人)がお客さんなのだから、自分たちの仕事を一般の人に知ってもらう必要はない」。私もこの会社に入社した当時はそう思っていました。しかし、今は全く違います。一般の人に広く知ってもらうことが、自社の成長につながると考えています。

そのきっかけが、自社製品でした。当社はプレス用金型製造だけでなく、設計から試作、量産までの一貫生産が可能です。この強みをアピールするために、2012年にスマホケースを自社で企画し、製造から販売までを全て手掛けることにしました。

ヌンチャクのように振り回すことができるケースなのですが、それを私自身で実演し、動画をネットに公開したところ、「無駄にかっこいい」と話題になったのです。これまでに43カ国で約5万個売れ、神奈川県から表彰を受けるなど、想像以上の反響がありました。

また、中小企業として初めてクラウドファンディングを活用した事例だったようで、様々なメディアにも取り上げられました。それによって、当初の狙いだった一貫生産のアピールに成功しただけでなく、様々な副次効果が生まれました。社員のモチベーション向上のほか、採用や教育面でもプラスに作用しましたし、知財戦略の知識なども身に付きました。

そして何よりも良かったのが、様々な方との連携が広がったことです。デザイナーや異業種など既存の事業領域を超えたつながりができるようになりました。その成果の一つがアシストスーツ「archelis(アルケリス)」です。

開発のきっかけはある大学の先生と知り合ったことでした。「手術時は長時間立ったままの姿勢になるため、足腰に負担がかかる」という医療現場のニーズを聞き、その課題を解決するために商品開発に取り掛かりました。あらゆる人が装着できるように改良を重ね、通常は製品発表の場である展示会をテストの場として活用し、1000人以上の方に着用してもらいながら、約4年かけて作り上げました。

当初は医療現場向けに開発した商品だったのですが、製品化し一般発売してみると、工場や飲食店など、立ち仕事のある様々な業種、業界から引き合いがあり、多くのニーズがあることに気付きました。市場のニーズに対してよりスピーディーかつ柔軟に対応できるように、20年には新会社「アルケリス」を立ち上げ、営業や開発を強化しています。

こうした自社製品の開発は、「下請けからの脱出」という側面もありますが、それだけではありません。新しいことに取り組み、それを広く一般に発信し続けることで、既存事業の顧客からも「常におもしろいことをやっている」という信用度の向上にもつながります。当社も数年前に比べて、売上高や取引先の数は伸びています。自社製品や高度な加工技術など、自社の強みとなり他社に真似のできないものをつくり、それを情報発信していくことが、今後さらに成長させていくには大事だと思います。

金型新聞 2021年4月10日

関連記事

【ひと】明輝 技術部・センシル クマールさん 高度な技術に挑むインド出身の金型設計者

インド・ムンバイ出身。2018年に来日し、プラスチック金型メーカーの明輝に入社した。担当は設計。自動車内外装品や機能部品など大小様々な金型を手掛けている。 金型技術者だった父親の影響で幼い頃から金型に興味を持っていた。地…

この人に聞く
ニチダイ 伊藤 直紀 副社長

 冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは2018年3月期、目標としていた売上高150億円を超え、19年3月期には売上高174億円と過去最高を更新。だが、昨年から続く米中貿易摩擦や新型コロナウィルスの感染拡大に加え、主要顧客…

【インタビュー】新栄工業代表取締役社長・中村新一氏 「M&Aは事業領域の拡大や技術の強化につなげることができる」

 プレス加工メーカーの新栄工業(千葉市花見川区、043-258-2310)は2019年末に、プレス金型メーカーのアポロ工業(埼玉県吉川市)を資本提携によってグループ化した。「M&Aは事業領域の拡大や技術の強化につなげるこ…

笹山勝社長に聞く SAIMS247が目指すこと【ササヤマ challenge!Next50】

新中期経営計画「SAIMS247」。その狙い、そして目的は。笹山勝社長に聞いた。 「短納期」を強みに、海外での競争に打ち勝つ SAIMS247の3カ年の目標は金型の製作期間半減。その真の狙いは金型の競争力の再強化です。当…

この人に聞く
トヨタ自動車 大竹 知之部長

100年に一度の変革期 どうする金型づくり  エンジン、トランスミッション、カムシャフト、最近では電池やモータなど、自動車を動かすほぼ全ての内蔵部品の金型を手掛けるトヨタ自動車のパワートレーン工機部。豊田章男社長が「自動…

トピックス

関連サイト