金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

05

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】ニットー ・藤澤秀行社長 一般の人に広く知ってもらうこと必要

自社の強みを発信

広く知ってもらうことが、会社の成長につながる

「自動車や電機メーカーなどの企業(法人)がお客さんなのだから、自分たちの仕事を一般の人に知ってもらう必要はない」。私もこの会社に入社した当時はそう思っていました。しかし、今は全く違います。一般の人に広く知ってもらうことが、自社の成長につながると考えています。

そのきっかけが、自社製品でした。当社はプレス用金型製造だけでなく、設計から試作、量産までの一貫生産が可能です。この強みをアピールするために、2012年にスマホケースを自社で企画し、製造から販売までを全て手掛けることにしました。

ヌンチャクのように振り回すことができるケースなのですが、それを私自身で実演し、動画をネットに公開したところ、「無駄にかっこいい」と話題になったのです。これまでに43カ国で約5万個売れ、神奈川県から表彰を受けるなど、想像以上の反響がありました。

また、中小企業として初めてクラウドファンディングを活用した事例だったようで、様々なメディアにも取り上げられました。それによって、当初の狙いだった一貫生産のアピールに成功しただけでなく、様々な副次効果が生まれました。社員のモチベーション向上のほか、採用や教育面でもプラスに作用しましたし、知財戦略の知識なども身に付きました。

そして何よりも良かったのが、様々な方との連携が広がったことです。デザイナーや異業種など既存の事業領域を超えたつながりができるようになりました。その成果の一つがアシストスーツ「archelis(アルケリス)」です。

開発のきっかけはある大学の先生と知り合ったことでした。「手術時は長時間立ったままの姿勢になるため、足腰に負担がかかる」という医療現場のニーズを聞き、その課題を解決するために商品開発に取り掛かりました。あらゆる人が装着できるように改良を重ね、通常は製品発表の場である展示会をテストの場として活用し、1000人以上の方に着用してもらいながら、約4年かけて作り上げました。

当初は医療現場向けに開発した商品だったのですが、製品化し一般発売してみると、工場や飲食店など、立ち仕事のある様々な業種、業界から引き合いがあり、多くのニーズがあることに気付きました。市場のニーズに対してよりスピーディーかつ柔軟に対応できるように、20年には新会社「アルケリス」を立ち上げ、営業や開発を強化しています。

こうした自社製品の開発は、「下請けからの脱出」という側面もありますが、それだけではありません。新しいことに取り組み、それを広く一般に発信し続けることで、既存事業の顧客からも「常におもしろいことをやっている」という信用度の向上にもつながります。当社も数年前に比べて、売上高や取引先の数は伸びています。自社製品や高度な加工技術など、自社の強みとなり他社に真似のできないものをつくり、それを情報発信していくことが、今後さらに成長させていくには大事だと思います。

金型新聞 2021年4月10日

関連記事

JIMTOFこう見る<br>日本金型工業会 小出会長・平林技術委員長に聞く

JIMTOFこう見る
日本金型工業会 小出会長・平林技術委員長に聞く

IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの新技術が製造業に大きな変化をもたらそうとしている。工作機械や工具などの生産財も、これまでは難しかった精度や加工が実現できるようになるなど、金型づくりも大きく変わり始め…

この人に聞く
トヨタ自動車 大竹 知之部長

100年に一度の変革期 どうする金型づくり  エンジン、トランスミッション、カムシャフト、最近では電池やモータなど、自動車を動かすほぼ全ての内蔵部品の金型を手掛けるトヨタ自動車のパワートレーン工機部。豊田章男社長が「自動…

植田機械 植田 修平社長に聞く<br>UMモールドフェアの見どころ

植田機械 植田 修平社長に聞く
UMモールドフェアの見どころ

ものづくりのお役に立ちたい 未来を拓く新技術  来場者の技術革新に貢献  JIMTOFで展示された工作機械や機器、ソフトなど金型や部品加工における最新技術を一堂に集めて披露するUMモールドフェア。今回は新型の5軸加工機や…

新しい価値の金型を
キヤノンモールド 斎藤憲久社長に聞く

 キヤノンモールドが発足したのが2007年。前身のイガリモールドとキヤノンの金型部門で伝承されてきた技能や最新技術など互いの得意分野の融合を図ってきた。「新しい価値を生み出す金型メーカーを目指したい」と語る、昨年4月に同…

【ひと】住友電工焼結合金金型開発室長 ・栢野正治さん 技能検定への功労が瑞宝単光章に

技能検定に挑む技術者の目は普段のそれと輝きが異なるという。レベルの違う課題に出会い、技術の海の広さと、自らを知る。「受検者のそうした『成長』の一端に携われることが嬉しい」。 岡山県の技能検定委員として機械加工や放電加工を…

トピックス

関連サイト