金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

23

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】枚岡合金工具代表取締役社長・古芝義福氏 「3S活動のカギはぶれない姿勢とビジョン」

事業継続のために始めた3S
人を変え、行動体質に
カギはブレない姿勢とビジョン

 当社は冷間鍛造金型や文書・図面管理ソフト『デジタルドルフィンズ』、教育事業を手掛け、従業員数は23名です。社内のフリーアドレス化、リモートワーク、おしゃれ食堂など変化し続けていますが、根底には20数年前に始めた整理・整頓・清掃の3S活動があります。

 1999年の当社は役員含め9名、平均年齢57歳の町工場でした。私の入社が85年で、その間21名採用しましたが誰も残らず、このままいけば廃業の危機です。そこで外部セミナーを受講し、京都のある工場で出会ったのが3S活動でした。まるでテーマパークのようなキレイな工場で社員さんも生き生き働く姿に衝撃を受け、「こんな工場にしたい」そう思い、3S活動を始めたのですが、そこからが棘の道でした。

 工具や軍手が散らかる工場で、「とにかく掃除しよう」と私や兄(現会長)が率先して始めると、中堅・ベテラン職人さんから反発が起きました。「仕事があるから旋盤回した方がいい」と。職人さんは全員私より年上で、3S活動を理解してもらえず、社内も賛成派、中間派、反対派に分かれ、押し問答の繰り返しです。私も心に言い続けました。「結果を出すしかない」と。でも、1年後業績が下がり、反対派の職人さんと掴み合いの喧嘩まで発展。私も「こんな会社に自分の人生をかけたくない」と本当に心が折れかけた瞬間でした。

 そんな時、大手メーカーから当社の3S活動を聞いて見学依頼が来ました。それまで外部との接点が少なかった職人さんも褒めてもらったのが嬉しかった。それが分岐点。もう1つは当時製造だった若手が中々育たず、自分の意見も話さない。みんながあきらめかけた時「それなら3S活動ばかりさせよう」と実践すると、不思議なことに仕事に対し興味を持ち始め、自分の意見を話すのを見て、3S活動は人を変えると感じました。

 3S活動の目的は安全・快適・効率的です。仕事は人生の1/3の時間を占めるわけですから、工場が安全かつ快適で、効率的に仕事をすれば、良いモノができます。でも、当たり前のことを当たり前に継続することほど難しいものはありません。続けるには経営者のブレない軸・姿勢が必要です。当社の軸は『働く人が幸せになること』。これが枚岡合金の源です。私も3S活動で変わりました。始めた当初は私のコミュニケーション不足で、危機感を煽る言葉を多く掛けていましたが、それだと人は動きません。啓蒙活動はプラス言葉で「5年後にこうなる」ビジョンを示さないと人は動かない。結果的に当初反対していた職人さんも辞めずに続けてもらえました。3S活動は実行すると、すぐ効果が出て行動体質になります。コツは小さなエリアを集中的に清掃していく。気づくと汚れた場所が目立ち、もっと清掃したくなります。90点や100点を目指す人もいますが、まずは35点主義の加点方式でやってみる。それが行動に移す1つのきっかけになります。

金型新聞 2021年5月14日

関連記事

スワニー 耐久性高い金型、協業で製造【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…

齋藤俊明さん 金型若手経営者が集う「天青会」会長【ひと】

今年5月、日本金型工業会東部支部の若手経営者が集う『天青会』の第52代会長に就いた。会員が減少傾向にある中、「もう一度“にぎわい”を取り戻したい」。卒業したOBにもイベントへの参加を呼びかけ、交流の輪を広げる考えだ。 埼…

【新春特別インタビュー③】黒田製作所社長・黒田 昌彦氏「つくれる領域広げ、特異性のある会社作り」

つくれる領域を広げる 顧客ニーズに応えたい 特異性のある会社作り 〜金型の大型化に対応〜  1970年生まれ、岐阜県岐阜市出身。大阪経済法科大学法学部卒、金融機関に勤務後、1996年に黒田製作所に入社し、製造部仕上課に配…

金型企業の代弁者として情報を発信<br>日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

金型企業の代弁者として情報を発信
日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

 人材の不足や育成、CASE(コネクティビティ・オートノマス・シェアード・エレクトリック)に代表される自動車産業の変化による影響、台頭する新興国など、日本の金型産業は様々な課題を抱えている。これらに対してどう立ち向かって…

【金型応援隊】GENIO SOLUTIONS 人材の育成をサポート

「扱い切る」ことが重要 「CAD/CAMを取り扱うのは、あくまで人。だから、CAD/CAMを扱い切れる人材から育てる必要がある」と語るのは、GENIO Solutionsの渡邉康二社長。同社は、海外メーカーのCAD/CA…

トピックス

関連サイト