金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

24

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】枚岡合金工具代表取締役社長・古芝義福氏 「3S活動のカギはぶれない姿勢とビジョン」

事業継続のために始めた3S
人を変え、行動体質に
カギはブレない姿勢とビジョン

 当社は冷間鍛造金型や文書・図面管理ソフト『デジタルドルフィンズ』、教育事業を手掛け、従業員数は23名です。社内のフリーアドレス化、リモートワーク、おしゃれ食堂など変化し続けていますが、根底には20数年前に始めた整理・整頓・清掃の3S活動があります。

 1999年の当社は役員含め9名、平均年齢57歳の町工場でした。私の入社が85年で、その間21名採用しましたが誰も残らず、このままいけば廃業の危機です。そこで外部セミナーを受講し、京都のある工場で出会ったのが3S活動でした。まるでテーマパークのようなキレイな工場で社員さんも生き生き働く姿に衝撃を受け、「こんな工場にしたい」そう思い、3S活動を始めたのですが、そこからが棘の道でした。

 工具や軍手が散らかる工場で、「とにかく掃除しよう」と私や兄(現会長)が率先して始めると、中堅・ベテラン職人さんから反発が起きました。「仕事があるから旋盤回した方がいい」と。職人さんは全員私より年上で、3S活動を理解してもらえず、社内も賛成派、中間派、反対派に分かれ、押し問答の繰り返しです。私も心に言い続けました。「結果を出すしかない」と。でも、1年後業績が下がり、反対派の職人さんと掴み合いの喧嘩まで発展。私も「こんな会社に自分の人生をかけたくない」と本当に心が折れかけた瞬間でした。

 そんな時、大手メーカーから当社の3S活動を聞いて見学依頼が来ました。それまで外部との接点が少なかった職人さんも褒めてもらったのが嬉しかった。それが分岐点。もう1つは当時製造だった若手が中々育たず、自分の意見も話さない。みんながあきらめかけた時「それなら3S活動ばかりさせよう」と実践すると、不思議なことに仕事に対し興味を持ち始め、自分の意見を話すのを見て、3S活動は人を変えると感じました。

 3S活動の目的は安全・快適・効率的です。仕事は人生の1/3の時間を占めるわけですから、工場が安全かつ快適で、効率的に仕事をすれば、良いモノができます。でも、当たり前のことを当たり前に継続することほど難しいものはありません。続けるには経営者のブレない軸・姿勢が必要です。当社の軸は『働く人が幸せになること』。これが枚岡合金の源です。私も3S活動で変わりました。始めた当初は私のコミュニケーション不足で、危機感を煽る言葉を多く掛けていましたが、それだと人は動きません。啓蒙活動はプラス言葉で「5年後にこうなる」ビジョンを示さないと人は動かない。結果的に当初反対していた職人さんも辞めずに続けてもらえました。3S活動は実行すると、すぐ効果が出て行動体質になります。コツは小さなエリアを集中的に清掃していく。気づくと汚れた場所が目立ち、もっと清掃したくなります。90点や100点を目指す人もいますが、まずは35点主義の加点方式でやってみる。それが行動に移す1つのきっかけになります。

金型新聞 2021年5月14日

関連記事

型から成形まで一貫生産<br>コガネイモールド 村田 隆 常務

型から成形まで一貫生産
コガネイモールド 村田 隆 常務

この人に聞く2018  今年4月に樫山金型工業から社名を変更した「コガネイモールド」。携帯電話を中心としたプラスチック金型で一時代を築いた同社だったが、スマートフォンの登場によって需要が激減。しかし、一昨年に空圧機器メー…

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く<br>新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く
新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

この人に聞く2017 『金型命』で社員一丸  今年5月、三菱日立ツールが新ブランド「MOLDINO(モルディノ)」を発表した。英語で金型を意味する「MOLD&DIE」と、革新を意味する「INNOVATION」か…

AI活用や形状認識による設計支援 塩田聖一氏(C&Gシステムズ 社長)【この人に聞く】

金型向けのCAD/CAMから生産管理システムまでを手掛けるC&Gシステムズ。2021年に「研究開発部門」を設けるなどソフトウェアの開発体制を強化している。そこではAI(人工知能)の活用や、形状認識による設計支援な…

東洋研磨材工業〜我ら金型応援隊〜

職人技術により近い研磨を  東洋研磨材工業(東京都港区、03-3453-2351)は、鏡面ショットマシン「SMAP」を手掛ける研磨材商社。商社ながら、創業者の「いかなるニーズにも応え得る商社でありたい」という思いから、設…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –北米–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

トピックス

関連サイト