金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

16

新聞購読のお申込み

【金型の底力】ファスト 自動化システムでICトレー金型を増産

ロボット活用の自動化システム
ICトレー金型を増産

新工場の自動化システム
ICトレー

プラスチック金型メーカーのファストは昨年、福島県相馬市に半導体製造工程で集積回路(IC)の搬送や出荷などに使用するICトレーの金型を増産するための新工場を設立した。ロボットなどを活用した自動化システムを導入し、作業者個人の能力に依存しない生産性の高い生産体制を構築している。生産能力を強化し、今後の需要増加に対応する。

5Gの普及や自動車の電動化などによって、半導体の需要が高まる中、その製造に不可欠なICトレーの需要も増加。グループ企業にICトレーメーカーを持ち、その金型を手掛けるファストでもここ数年で受注が増加している。5年前と比べるとICトレー用金型の売上は約1.3倍に伸びた。「年々需要が増加しており、来年度には現状の売上からさらに倍増させることを目指している」(齋藤利仁社長)。

この需要増加に対応するために、これまで生産していた本社工場(群馬県太田市)に加え、約4億5000万円をかけて新工場を建設した。新工場には、ワークの取り出しや供給を自動で行うロボットとマシニングセンタ(MC)4台を接続した金型生産システムを設備。連続無人加工を可能にし、生産能力を従来の2倍に向上させた。

ロボットでワークを搬送
異なるサイズにも対応する治具

ロボットの他、高精度な無人加工を実現するために様々な技術を導入している。MCには機上測定を搭載。ワークや工具の計測、自動補正を可能にした。また、サイズが異なるワークにも対応できる特殊な治具システムを採用。経験の少ない作業者でも高精度なクランプが可能で、段取り工数を削減できる。

CAMシステムでもオペレータ個人の能力に依存しないシステムを目指した。メーカーと共同で開発したCAMシステムは、過去に製作した金型の加工データから似た形状のデータを呼び出すことで、簡単に新しい加工データを作成することができる。

加えて、使用工具の選定や、工具とワークの干渉チェックなども自動で行うことが可能。これまで5日ほどかかっていた加工データの作成時間は、2日まで短縮した。

「ICトレー用金型は、入れ子のサイズがほとんど変わらないので、こうしたCAMシステムが実現できた」(齋藤社長)。今後は人工知能(AI)を活用し、加工データの作成もある程度自動化させていくことを目指すという。

 将来的には、こうして作り上げた新工場の生産システム自体を海外に輸出しグローバルで生産できる体制を構築していく考え。「技術者を一から育成するのは、国内でも難しい。高度な技能を必要としない生産システムを構築することで、今後拡大する需要に対応していきたい」(齋藤社長)。

  • 本社  : 群馬県太田市吉沢町608-4
  • 電話  : 0276-36-1555
  • 代表者 :  齋藤利仁社長
  • 創  業: 1960年
  • 従業員 : 41人
  • 事業内容: プラスチック金型の設計・製作、NCフライス加工、三次元モデル製作など

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

多能工化

多能工化に取り組んでいる。工程間での負荷のばらつきが生じた際に、人員をシフトできるためだ。今後、ICトレー用金型は需要の増加が予測されるため、より生産効率の高い体制を整えないといけない。相馬工場では、設計、機械加工、検査の工程間でジョブローテーションを行い、各工程の技能を身に付けさせている(齋藤利仁社長)。

金型新聞 2021年6月10日

関連記事

アッサブジャパン 真空焼入れ炉導入し短納期対応を強化

アッサブジャパン(東京千代田区、03-5226-3781)はこのほど、袋井事業所に真空焼入れ炉を導入した。焼入れまで内製化することで、短納期対応を強化する。合わせて「スタバックス」の焼入れプレートの出荷も開始した。 袋井…

Sun Ai スモールスタートで自動化を促進 【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

電極・ワーク外段取り器プリセッター、1台で複数加工機に対応 昨今、国内の製造業は慢性的な人手不足に陥り、生産現場の自動化・省人化が不可欠になっている。しかし、高額な設備投資が課題となり、自動化が進んでいないのが現状だ。 …

イチグチ 簡単交換で手軽に研磨作業を 【金型応援隊】

研削・研磨工具を手掛けるイチグチは、顧客のニーズに合わせた多種多様な製品を揃える。金型の修正やメンテナンス作業にも活用できる。簡単に扱えて汎用性が高いのが特長だ。 「マイクロフラップホイル」は、3㎜の細い軸径で凹凸面や曲…

中古機械をサブスクで提供【金型応援隊】

中古機械を販売する小林機械は今年からリース会社と提携し、中古機械のサブスクリプション(定額課金)サービスの提供を開始した。一般的なリース契約(7年)よりも短い2年で使用可能。短期的な受注や、試験的な導入などのニーズに対応…

ニチダイ トヨタと鍛造DXで協力

塑性加工見える化へ 冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは昨年、トヨタ自動車と同社が開発しているセンシング技術「鍛造DX(鍛造加工のリアルタイム統合可視化技術)」の実用化に向けて協力することで合意。鍛造加工におけるデータを…

トピックス

関連サイト