金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

14

新聞購読のお申込み

【金型の底力】ファスト 自動化システムでICトレー金型を増産

ロボット活用の自動化システム
ICトレー金型を増産

新工場の自動化システム
ICトレー

プラスチック金型メーカーのファストは昨年、福島県相馬市に半導体製造工程で集積回路(IC)の搬送や出荷などに使用するICトレーの金型を増産するための新工場を設立した。ロボットなどを活用した自動化システムを導入し、作業者個人の能力に依存しない生産性の高い生産体制を構築している。生産能力を強化し、今後の需要増加に対応する。

5Gの普及や自動車の電動化などによって、半導体の需要が高まる中、その製造に不可欠なICトレーの需要も増加。グループ企業にICトレーメーカーを持ち、その金型を手掛けるファストでもここ数年で受注が増加している。5年前と比べるとICトレー用金型の売上は約1.3倍に伸びた。「年々需要が増加しており、来年度には現状の売上からさらに倍増させることを目指している」(齋藤利仁社長)。

この需要増加に対応するために、これまで生産していた本社工場(群馬県太田市)に加え、約4億5000万円をかけて新工場を建設した。新工場には、ワークの取り出しや供給を自動で行うロボットとマシニングセンタ(MC)4台を接続した金型生産システムを設備。連続無人加工を可能にし、生産能力を従来の2倍に向上させた。

ロボットでワークを搬送
異なるサイズにも対応する治具

ロボットの他、高精度な無人加工を実現するために様々な技術を導入している。MCには機上測定を搭載。ワークや工具の計測、自動補正を可能にした。また、サイズが異なるワークにも対応できる特殊な治具システムを採用。経験の少ない作業者でも高精度なクランプが可能で、段取り工数を削減できる。

CAMシステムでもオペレータ個人の能力に依存しないシステムを目指した。メーカーと共同で開発したCAMシステムは、過去に製作した金型の加工データから似た形状のデータを呼び出すことで、簡単に新しい加工データを作成することができる。

加えて、使用工具の選定や、工具とワークの干渉チェックなども自動で行うことが可能。これまで5日ほどかかっていた加工データの作成時間は、2日まで短縮した。

「ICトレー用金型は、入れ子のサイズがほとんど変わらないので、こうしたCAMシステムが実現できた」(齋藤社長)。今後は人工知能(AI)を活用し、加工データの作成もある程度自動化させていくことを目指すという。

 将来的には、こうして作り上げた新工場の生産システム自体を海外に輸出しグローバルで生産できる体制を構築していく考え。「技術者を一から育成するのは、国内でも難しい。高度な技能を必要としない生産システムを構築することで、今後拡大する需要に対応していきたい」(齋藤社長)。

  • 本社  : 群馬県太田市吉沢町608-4
  • 電話  : 0276-36-1555
  • 代表者 :  齋藤利仁社長
  • 創  業: 1960年
  • 従業員 : 41人
  • 事業内容: プラスチック金型の設計・製作、NCフライス加工、三次元モデル製作など

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

多能工化

多能工化に取り組んでいる。工程間での負荷のばらつきが生じた際に、人員をシフトできるためだ。今後、ICトレー用金型は需要の増加が予測されるため、より生産効率の高い体制を整えないといけない。相馬工場では、設計、機械加工、検査の工程間でジョブローテーションを行い、各工程の技能を身に付けさせている(齋藤利仁社長)。

金型新聞 2021年6月10日

関連記事

伊藤製作所 テクニカルセンタを開設 金型部門を集約

稼働状況をモニタリング 順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所(三重県四日市市、059-364-7111)は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約。IoTを用いて稼働状況の可視化を図るほか、センシング技術…

ゲートジャパン 企業のDX化伴走支援を展開

部品調達システム「Genie-us」を開発 精密金型部品から金型設計・製作など幅広い事業を行うゲートジャパン(京都市伏見区、075・661・0360)はDXの先進事例として優秀と認めた企業を表彰する「KANSAI DX …

中古機械をサブスクで提供【金型応援隊】

中古機械を販売する小林機械は今年からリース会社と提携し、中古機械のサブスクリプション(定額課金)サービスの提供を開始した。一般的なリース契約(7年)よりも短い2年で使用可能。短期的な受注や、試験的な導入などのニーズに対応…

サンワ金型 様々な仲間が集まる工場に【特集:かっこいい工場】

金型メーカーからエンジニアリング企業へ 「金型メーカー単体では生きるのが難しい時代だからこそ、新しいモノを作りたい人や企業がシーズを持ち寄り、一緒に花を咲かせられるガーデンとしての開発工場を目指す」と鈴木大輔社長は202…

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現…

トピックス

関連サイト