金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

25

新聞購読のお申込み

【インタビュー】扶桑精工・松山広信社長「攻めの企業を目指す 」

営業改革や自社ブランド開発

まつやま・ひろのぶ
1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に至る。

2020年9月にガラスびん用金型やブロー成型金型、インジェクション金型などを手掛ける扶桑精工(神奈川県相模原市)の社長に就任した。受注産業特有の受け身体質から脱却し、「積極的な『攻め』の企業を目指す」と抱負を語る。

19年9月に前職の銀行を退職し、義父である前田順也会長(前社長)が経営する扶桑精工に入社した。入社後、同社の決算書の分析や管理職と面談。会社の強みや弱み、働く人の人となりや現場の雰囲気などを把握することに努めた。

そこで感じたのは、「攻め」の姿勢の欠如だった。「祖業のガラスびん用金型をはじめとした金型技術では長年培ってきた高いノウハウがあり、それを上手く伝承している。こうした強みを持つ一方で、個別受注生産ゆえの受け身体質によって、営業力に課題があった」。

こうした課題を解決するため、営業改革に着手。今年2月には若手従業員数人でテレアポを行い、新規顧客開拓に取り組んだ。1か月半ほどの短期集中で実施し、2000件以上と接触することができた。他にも金融機関からの紹介なども積極的に取り入れている。

営業面に加えて注力するのが、自社ブランド・商品の開発だ。昨年5月に若手10人ほどでプロジェクトを立ち上げた。ガラス、プラスチック、鋳物と素材別にチームを分け、オリジナル商品の開発を目指す。「『攻め』の企業を目指すためには、自社ブランド・商品が不可欠。来年までには何とか形にしたい」。

また、管理職研修の一環としてマーケティング手法や経営知識などビジネスに必要な教養も学ばせている。決算書の読み方や法律の知識などは自らが講師指導を行っている。「ただ、良いものを作っていればいいという時代ではない。今後は中小企業であっても、こうした知識を身に付けて事業を展開していく必要がある」。

新型コロナウイルスの感染拡大、カーボンニュートラルに向けた動きなど、世界は加速度的に変化している。「攻め」の姿勢を求めるのも、この激動の時代に対応するためだ。「スピード感を持って、今後も様々な取り組みを進めていきたい」。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

明輝 岩手・一関工場で挑む金型加工の効率化、高精度化【Innovation〜革新に挑む〜vol.2】

バンパーやグリルなどの自動車部品を中心に、家電製品、一般産業用品といった幅広い産業分野のプラスチック射出成形用金型を手掛ける明輝(神奈川県厚木市、046-224-2251)。同社は20年以上に渡ってMOLDINOの切削工…

【新春特別インタビュー⑦】大貫工業所社長・大貫 啓人氏「売れるものをつくり、境地まで突き詰めることが大事」

売れるものをつくる 物価の高い国で勝負 境地まで突き詰めることが大事 〜海外展開〜  1964年生まれ、茨城県出身。大学卒業後、87年大貫工業所に入社。営業で新規得意先を次々と開拓する一方で、得意先とのやり取りを通じて金…

新たなバイオ樹脂を開発、金型と素形材をつなげ新しい価値を創出する 茄子川仁氏(事業革新パートナーズ社長)【鳥瞰蟻瞰】

金型業界に特化した調査やコンサルティングを手掛けてきましたが、2018年にバイオ樹脂の一つである「ヘミセルロース」の開発や成形に乗り出しました。社名にある「革新」的なことを実現するには、コンサルティングだけでは限界がある…

金型はワクワクする仕事 山中雅仁氏(日本金型工業会会長)【この人に聞く】

今年6月の日本金型工業会の総会で、3期6年会長を務めた小出悟氏(小出製作所社長)に代わり、新たに会長に就任した山中雅仁氏(ヤマナカゴーキン社長)。「金型づくりはもっとワクワクできる魅力的な仕事のはず。ワクワクするために儲…

【ひと】金型大使・天玲美音さん

金型の魅力を届ける元タカラジェンヌ 元宝塚歌劇団男役で、昨年から「金型大使」として活動を始めた。静岡県内を中心に金型メーカーを訪問し、エンターテインメントの世界で培った研ぎ澄まされた感性を武器に新たな角度から金型の魅力を…

トピックス

関連サイト