金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

19

新聞購読のお申込み

【インタビュー】扶桑精工・松山広信社長「攻めの企業を目指す 」

営業改革や自社ブランド開発

まつやま・ひろのぶ
1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に至る。

2020年9月にガラスびん用金型やブロー成型金型、インジェクション金型などを手掛ける扶桑精工(神奈川県相模原市)の社長に就任した。受注産業特有の受け身体質から脱却し、「積極的な『攻め』の企業を目指す」と抱負を語る。

19年9月に前職の銀行を退職し、義父である前田順也会長(前社長)が経営する扶桑精工に入社した。入社後、同社の決算書の分析や管理職と面談。会社の強みや弱み、働く人の人となりや現場の雰囲気などを把握することに努めた。

そこで感じたのは、「攻め」の姿勢の欠如だった。「祖業のガラスびん用金型をはじめとした金型技術では長年培ってきた高いノウハウがあり、それを上手く伝承している。こうした強みを持つ一方で、個別受注生産ゆえの受け身体質によって、営業力に課題があった」。

こうした課題を解決するため、営業改革に着手。今年2月には若手従業員数人でテレアポを行い、新規顧客開拓に取り組んだ。1か月半ほどの短期集中で実施し、2000件以上と接触することができた。他にも金融機関からの紹介なども積極的に取り入れている。

営業面に加えて注力するのが、自社ブランド・商品の開発だ。昨年5月に若手10人ほどでプロジェクトを立ち上げた。ガラス、プラスチック、鋳物と素材別にチームを分け、オリジナル商品の開発を目指す。「『攻め』の企業を目指すためには、自社ブランド・商品が不可欠。来年までには何とか形にしたい」。

また、管理職研修の一環としてマーケティング手法や経営知識などビジネスに必要な教養も学ばせている。決算書の読み方や法律の知識などは自らが講師指導を行っている。「ただ、良いものを作っていればいいという時代ではない。今後は中小企業であっても、こうした知識を身に付けて事業を展開していく必要がある」。

新型コロナウイルスの感染拡大、カーボンニュートラルに向けた動きなど、世界は加速度的に変化している。「攻め」の姿勢を求めるのも、この激動の時代に対応するためだ。「スピード感を持って、今後も様々な取り組みを進めていきたい」。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

金型の異常をAIで検知するカメラシステム【金型応援隊】

AI・ロボット開発のベンチャー企業a‐roboは2023年2月、プラスチック成形中の異常を検知し、成形機を制御するカメラシステム「GROW‐V」を発売した。 カメラの画像情報をもとにAIが金型の異常を検知する。既存のシス…

KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ダイカスト市場に参入 「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナ…

経産省素形材産業室 星野昌志室長が語る「素形材産業ビジョン」に込めた思い

経済産業省は3月28日、金型を始めとした日本の素形材産業が今後進むべき方向性についてまとめた「素形材産業ビジョン」を12年ぶりに公表した。3代目となる2025年版ビジョンでは、日本の素形材産業の現状や課題をまとめ、204…

切削加工の領域を拡大 矢野雄介氏 (碌々スマートテクノロジー社長)【この人に聞く】

微細加工機メーカーの碌々スマートテクノロジー(東京都港区、03・3447・3421)は昨年、「碌々産業」から社名を変更した。創立120周年を迎え、これまで標榜してきた「微細加工機のリーディングカンパニーへ」から「微細加工…

金型にも「情報管理」の波

金型にも「情報管理」の波

「技術等情報の管理認証制度」設立  IoT化やグローバル化などによって、情報流出のリスクが高まる昨今、製造業には技術などの情報の適切な管理が求められている。金型業界も例外ではなく、「顧客情報がしっかり管理、保護できている…

トピックス

関連サイト