シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…
【インタビュー】扶桑精工・松山広信社長「攻めの企業を目指す 」
営業改革や自社ブランド開発

まつやま・ひろのぶ
1980年生まれ、東京都出身。2004年立教大学卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、営業、企画などを経験した。19年扶桑精工に入社、20年同社社長に就任し、現在に至る。
2020年9月にガラスびん用金型やブロー成型金型、インジェクション金型などを手掛ける扶桑精工(神奈川県相模原市)の社長に就任した。受注産業特有の受け身体質から脱却し、「積極的な『攻め』の企業を目指す」と抱負を語る。
19年9月に前職の銀行を退職し、義父である前田順也会長(前社長)が経営する扶桑精工に入社した。入社後、同社の決算書の分析や管理職と面談。会社の強みや弱み、働く人の人となりや現場の雰囲気などを把握することに努めた。
そこで感じたのは、「攻め」の姿勢の欠如だった。「祖業のガラスびん用金型をはじめとした金型技術では長年培ってきた高いノウハウがあり、それを上手く伝承している。こうした強みを持つ一方で、個別受注生産ゆえの受け身体質によって、営業力に課題があった」。
こうした課題を解決するため、営業改革に着手。今年2月には若手従業員数人でテレアポを行い、新規顧客開拓に取り組んだ。1か月半ほどの短期集中で実施し、2000件以上と接触することができた。他にも金融機関からの紹介なども積極的に取り入れている。
営業面に加えて注力するのが、自社ブランド・商品の開発だ。昨年5月に若手10人ほどでプロジェクトを立ち上げた。ガラス、プラスチック、鋳物と素材別にチームを分け、オリジナル商品の開発を目指す。「『攻め』の企業を目指すためには、自社ブランド・商品が不可欠。来年までには何とか形にしたい」。
また、管理職研修の一環としてマーケティング手法や経営知識などビジネスに必要な教養も学ばせている。決算書の読み方や法律の知識などは自らが講師指導を行っている。「ただ、良いものを作っていればいいという時代ではない。今後は中小企業であっても、こうした知識を身に付けて事業を展開していく必要がある」。
新型コロナウイルスの感染拡大、カーボンニュートラルに向けた動きなど、世界は加速度的に変化している。「攻め」の姿勢を求めるのも、この激動の時代に対応するためだ。「スピード感を持って、今後も様々な取り組みを進めていきたい」。
金型新聞 2021年7月10日
関連記事
自分の強み生かす道を 本田技研工業 完成車新機種推進部 主任技師 田岡 秀樹氏に聞く 高級車か、低価格車か、2極化も 金型なくして新車開発ならず 自動運転、ライドシェア、電気自動車(EV)の進化―。自動車業界では急激な変…
中小製造業のグループ化事業に集中できる環境を整備優れた技術守り次代につなぐ 2006年に金型ベンチャー企業から父が経営するねじメーカーの由紀精密に入社しました。そこで感じたのは企業規模が小さすぎて、あらゆる機能が無さすぎ…
金型製作工程を短縮 設備強化で需要に対応 イワタツール(名古屋市守山区、岩田昌尚社長)が2010年に発売したトグロンハードドリルは焼入れ鋼用穴加工ドリルとして、ここ数年需要が急増し供給が追いついていない状況だ。同社の岩…
狭山金型製作所 総務部 東香奈恵さん 総務部で営業のサポートや動画によるマニュアル作成などを担当する。そうした「本業」に加え、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで狭山金型の日常や取り組みを発信する金型メーカーでは珍…


