機械や工具の最新情報など金型業界の今をお届けする「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

この人に聞く
パンチ工業 森久保 哲司 社長

ものづくりへの回帰

昨年11月、パンチ工業(東京都品川区、03-6893-8007)の社長に就任した。「ものづくりへの回帰」を掲げ、商品開発や加工技術のレベルアップなどに取り組み、今まで以上にユーザーの要求に応えていく考え。「当社は世の中に無いものを開発して成長してきた。この精神を受け継ぎ、これからもチャレンジを続けていきたい」と話す森久保哲司社長に注力する取り組みや今後の方向性などを聞いた。

 1977年生まれ、東京都出身。2002年明治大学政治経済学部卒業後、03年パンチ工業入社、15年パンチ・インダストリー・マレーシア代表取締役、18年パンチ工業取締役、19年代表取締役副社長執行役員、同年現職。

加工技術より高度に

どんな会社を目指すか。

 「ものづくりへの回帰」を目指す。当社は1982年に当時加工が難しいとされていたハイス鋼を活用したエジェクタピンの開発を進め、当社独自の規格で標準化。そして世界で初めて量産化に成功し、金型部品の寿命を飛躍的に向上させるなど、今まで世の中に無いものを開発して成長してきた。この精神を受け継ぎ、これからもチャンレジを続けていくことに変わりは無い。

 一方で、今は加工機の性能が向上し、設備を導入すれば、ある程度の技術やノウハウはカバーできるようになっている。こうした状況に危機感を抱いており、改めてものづくりの力を高めていきたいと考えている。

具体的には。

 材料や表面処理などの技術には設備の力だけではカバーできない部分がまだまだ多いとみている。お客様のニーズを捉え、材種やコーティングの種類など標準品のレパートリーを増やして差別化を図っていきたい。

製造面ではどうか。

 サブミクロン台の加工精度や複雑な3次元形状など、より高度な加工技術が要求される分野にチャレンジしていく。例えば、医療や飲料向けの金型部品などだ。そのために現在、生産体制の再編を進めている。加工公差100分の1ほどの比較的簡単な標準品の生産は2016年に立ち上げたベトナム工場に移管し、日本や中国工場は特注品や新規分野の加工に特化させている。今後は製造技術のレベルアップを図り、お客様が求める品質に応えていく。

その他の取り組みは。

 自動化・省人化にも注力している。昨年、北上工場(岩手県北上市)に協働ロボットを導入し、自分達でプログラムを組む事に挑戦した。自社で様々な使い方を試し、知識や経験、ノウハウを蓄積させている。人手不足への懸念や生産性向上の期待から取り組み始めており、将来的には夜間自動運転を目指す。

デジタルエンジニアリング事業はどうか。

 図面の無い部品をデータ化し製造するというのが目的だったが、今後は新しい展開も検討している。例えば、金型を現物ではなくデータで保管することで金型保管の負担を減らすことができないかなど。現在はどんなニーズがあるか情報収集をしている段階だ。将来的には事業規模を大きく拡大させていきたい。

欧米市場開拓に力

海外展開は。

 欧米市場の開拓に力を入れる。現在の海外比率は約60%で中国や東南アジアが中心。一方、欧米は日本より大きな市場であるにも関わらず、上手く開拓できていなかった。そこで昨年、欧米戦略室を設立し欧米市場への営業を強化している。効果的に営業活動し、売上を伸ばしていく。今後も世界中に安心した製品を届け、選ばれる企業であり続けたい。

金型しんぶん 2020年1月10日

関連記事

この人に聞く2016 <br>C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

この人に聞く2016
C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

開発やサポートを強化 金型業界を支え続ける存在に  金型用CAD/CAMメーカー、C&Gシステムズの業績が回復を続けている。グラフィックプロダクツとコンピュータエンジニアリングが合併してから6年間の年平均成長率が9%を超…

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く<br>一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く
一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

この人に聞く 2018 金型設計製造向けCAD/CAMシステム「VISI」などを手掛けるヴェロソフトウェア。創業からM&A(合併と買収)などによって製品ラインアップを拡大し、最近では「WorkNC」や「Edge…

【ひと】七宝金型工業営業部・松岡咲希さん(25) 女性が活躍する職場へ

女性が活躍する職場へ 「友達に金型を知っている人はいなかった」と話すのは七宝金型工業の松岡咲希さん。同社社長を務める父の影響で入社し、現在入社4年目。仕上げやCAM課を経て、昨年から営業部に所属し、訪問から見積もり依頼、…

スペシャリスト
シブヤハイテクノ 渋谷公良 社長

 自らの強みを活かし、他分野に事業を広げていくことは経営においては常套(じょうとう)手段だ。シブヤハイテクノは創業以来、磨き続けてきた放電技術を武器に、この戦略を地で行く。形彫りやワイヤ放電の受託加工から始め、電極や、金…

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

トピックス

関連サイト