金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

03

新聞購読のお申込み

【インタビュー】冨士ダイス 社長・久保井 恒之社長「順応力を持った企業目指す」

今年4月、ダイスなど超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03-3759-7181)の社長に就任した。自動車産業の大変革など同社を取り巻く事業環境が加速度的に変化する中、「変化に対して順応力を持った企業を目指していく」と抱負を語る。

経営効率を高め、事業領域を拡大

くぼい・つねゆき
1958年生まれ、東京都出身。81年芝浦工業大学卒業後、冨士ダイス入社。2014年取締役、18年常務、20年副社長、21年社長に就任し、現在に至る。国内の各製造拠点で生産技術などに従事した後、生産本部長や営業本部長などを務めた。趣味はサイクリング。座右の銘は「着眼大局・着手小局」。

次世代自動車への転換の加速、コロナ禍による生活様式の変化、国際秩序の不安定化などによって、同社の顧客も大きく変化している。「持続的な成長のためには、従来の考え方に固執することなく、事業領域を広げていかなければならない」と変革の重要性を強調する。

昨年には新規分野を開拓する営業部隊を新設。営業ノルマを定めず、将来を見据えた企画や提案に注力させることで、「新しい成長エンジンを創出していく」という。自動車分野ではモータや電池、磁性材など次世代自動車に関連する部品の取り込みを狙う。また、自動車以外でもマイクロ流路やガラス成形品などの医療関連を始め、様々な分野への拡販を目指す。

加えて、「国内の事業領域を広げつつ、海外事業も強化していきたい」とアジア地域を中心とした海外事業の売上拡大も視野に入れる。中国の販売拠点を増やす他、タイとインドネシアにある海外製造拠点の生産能力強化などを計画している。

また、変化に対応できる企業体質への転換にも取り組む。製造から開発、営業と幅広い部門を務めてきた自身の経験を生かし、「無駄を省き、筋肉質な企業体質に変革させていきたい」と意気込む。生産面では外部コンサルを活用した生産現場の改善や生産拠点の再編などを検討している。その他、ITを活用した営業手法の導入や業務効率の改善も進めていく考えだ。

今年策定した中期経営計画では、営業利益率を2021年度見込みの約3.5%から26年度までに12.5%以上に引き上げる目標を掲げた。経営効率のさらなる向上に挑み、2023年度までにコロナ禍前の売上高170億円、26年度までには200億円を目指す。

「当社の強みは、『粉末冶金技術』と『精密加工技術』。この2つを生かしながら、自由で柔軟な発想で顧客のニーズに対応した挑戦を続けていく」。

金型新聞 2021年10月10日

関連記事

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

己が戦力知り戦略
日本金型工業会学術顧問 /日本工業大学客員教授
横田 悦二郎氏に聞く

〜世界の需要どう取り込む〜  世界の金型需要を取り込むには何が必要か—。世界各地の金型工業会の設立に関わり、世界中の金型業界をよく知る日本金型工業会学術顧問の横田悦二郎氏は「コロナで世界の金型需要は高まるが、需要を確保す…

この人に聞く2015 <br>型技術協会 会長 田岡 秀樹氏

この人に聞く2015
型技術協会 会長 田岡 秀樹氏

出会い生み出せる場に 来年30周年、記念事業 全社参加の展示会  金型技術者、経営者らが集まる型技術協会は来年30周年を迎える。来年9月には、大田区産業プラザPiOで記念イベントを開く予定だ。「全会員参加で出会いの場を創…

伊藤製作所がテクニカルセンタを設立した理由【金型の底力】

順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約することで、本社工場などにプレス機械を増設し、需要が高まっているプレス部品の増産体制を整える。さらに、CAEや3D形状測定機、…

【新春特別インタビュー⑥】岐阜大学副学長・王 志剛氏「金型は最適な教育ツール」

モノの本質を学ぶ場 金型は最適な教育ツール 企業との接点が重要 〜次世代人材の教育〜  1963年生まれ、中国・黒竜江省出身。工学部・機械工学科教授、研究テーマ:プロセス・トライボロジー、型工学、冷間鍛造・板鍛造。92年…

トピックス

関連サイト