金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

09

新聞購読のお申込み

【インタビュー】冨士ダイス 社長・久保井 恒之社長「順応力を持った企業目指す」

今年4月、ダイスなど超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03-3759-7181)の社長に就任した。自動車産業の大変革など同社を取り巻く事業環境が加速度的に変化する中、「変化に対して順応力を持った企業を目指していく」と抱負を語る。

経営効率を高め、事業領域を拡大

くぼい・つねゆき
1958年生まれ、東京都出身。81年芝浦工業大学卒業後、冨士ダイス入社。2014年取締役、18年常務、20年副社長、21年社長に就任し、現在に至る。国内の各製造拠点で生産技術などに従事した後、生産本部長や営業本部長などを務めた。趣味はサイクリング。座右の銘は「着眼大局・着手小局」。

次世代自動車への転換の加速、コロナ禍による生活様式の変化、国際秩序の不安定化などによって、同社の顧客も大きく変化している。「持続的な成長のためには、従来の考え方に固執することなく、事業領域を広げていかなければならない」と変革の重要性を強調する。

昨年には新規分野を開拓する営業部隊を新設。営業ノルマを定めず、将来を見据えた企画や提案に注力させることで、「新しい成長エンジンを創出していく」という。自動車分野ではモータや電池、磁性材など次世代自動車に関連する部品の取り込みを狙う。また、自動車以外でもマイクロ流路やガラス成形品などの医療関連を始め、様々な分野への拡販を目指す。

加えて、「国内の事業領域を広げつつ、海外事業も強化していきたい」とアジア地域を中心とした海外事業の売上拡大も視野に入れる。中国の販売拠点を増やす他、タイとインドネシアにある海外製造拠点の生産能力強化などを計画している。

また、変化に対応できる企業体質への転換にも取り組む。製造から開発、営業と幅広い部門を務めてきた自身の経験を生かし、「無駄を省き、筋肉質な企業体質に変革させていきたい」と意気込む。生産面では外部コンサルを活用した生産現場の改善や生産拠点の再編などを検討している。その他、ITを活用した営業手法の導入や業務効率の改善も進めていく考えだ。

今年策定した中期経営計画では、営業利益率を2021年度見込みの約3.5%から26年度までに12.5%以上に引き上げる目標を掲げた。経営効率のさらなる向上に挑み、2023年度までにコロナ禍前の売上高170億円、26年度までには200億円を目指す。

「当社の強みは、『粉末冶金技術』と『精密加工技術』。この2つを生かしながら、自由で柔軟な発想で顧客のニーズに対応した挑戦を続けていく」。

金型新聞 2021年10月10日

関連記事

【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」

勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜  1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…

【この人に聞く】テクノア社長・山﨑耕治氏「システムにおける中小企業の専門医として導入検討時の不安を取り除く」

 一品一様の世界である金型産業は生産や技術面で人に頼ることが多く、デジタル化が喫緊の課題。そこで生産管理システムで生産性向上や経営のサポートに取り組んでいるのがテクノア(岐阜県岐阜市)だ。金型など中小企業向けで多品種少量…

ポートフォリオを再構築 畠山英之氏(キヤノンモールド社長)【この人に聞く】

「金型づくりへのパッションが強い」—。今年4月、キヤノンモールドの社長に就いた畠山英之氏が抱いた同社への第一印象だ。その情熱を武器に、超精密金型など同社でしかできない型づくりを進める一方、海外拡大や外販強化など「事業ポー…

【インタビュー】プロトラブズ ・今井 歩社長「当日出荷を開始」

オンデマンド受託製造を手掛けるプロトラブズ(神奈川県座間市、046-203-9100)は今年6月から、CNC切削加工サービスで「当日出荷オプション」の提供を開始した。これまで標準3日、最短翌日だった出荷をさらに短縮する。…

【ひと】住友電工焼結合金金型開発室長 ・栢野正治さん 技能検定への功労が瑞宝単光章に

技能検定に挑む技術者の目は普段のそれと輝きが異なるという。レベルの違う課題に出会い、技術の海の広さと、自らを知る。「受検者のそうした『成長』の一端に携われることが嬉しい」。 岡山県の技能検定委員として機械加工や放電加工を…

トピックス

関連サイト