研究開発が新たな道 リーマン・ショック以降需要が回復しているものの、これがいつまで続くのか。自動車の電気化やインターネットの技術革新が産業構造にどんな影響を及ぼすのか。それが、日本の金型メーカーの多くの経営者が抱く未来…
【インタビュー】リヒト精光 鋼に命を吹き込む技術
鋼に命を吹き込む技術
『鋼に命を吹き込む』を合言葉に、プレス金型やプラスチック金型、ダイカスト金型ほか、半導体向け金型など幅広い型種の長寿命化に貢献する技術集団がリヒト精光(京都市南区、075-692-1122)だ。同社は熱処理から表面処理まで独自の技術を構築。鋼(素材)の特性を最大限に活かすため、高速冷却式・高効率真空熱処理炉を自社で設計・開発し、表面処理においても独自の窒化技術であるエジソンハード処理(特許済)を開発した。「ものづくりは満足したら終わりだ。もっと上に」と話すのは天早享介専務。創業100年で培ったノウハウで金型メーカーの多様なニーズに応えるべく技術の向上を図っている。
熱処理~表面処理まで

創業100周年迎える 次世代に技能伝承へ

金型鋼の熱処理は材料特性や機械的性能の向上を図る上で欠かせないもので、熱処理の良否によって金型の性能は大きく異なる。そのため、高温強度が高く、衝撃に強い金型を実現するには焼入れ時の冷却速度が重要。
そこで同社は自社製エンジン駆動式真空熱処理炉を開発。従来、冷却用ファンにモータ駆動を採用していたが、エンジン駆動式に変更したことで、約2倍の冷却能力を獲得、急速かつ均一な冷却を可能にした。続けて、二室型の高効率加圧ガス・油冷却真空熱処理炉も開発。冷却方法は加圧ガス冷却、油冷却、加圧ガス・油連続冷却があり、鋼種や用途に応じて選択でき、焼き割れや歪のトラブルが多い大型の金型や複雑形状、経年変化を嫌う金型にも対応。ユーザーと綿密な打ち合わせを行い、冷却方法や冷却速度をコントロールする最適条件を見出すことで、「ダイカスト金型など大型の金型も表面から内部まで均一に熱処理を施すことができる」と天早専務。
さらに、エジソンハード処理(新ガス窒化処理法)は被膜型の表面硬化法ではなく、浸透型の表面硬化法で均一な窒化層を形成。耐摩耗性や耐疲労強度性、耐熱性に優れ、内径0.2㎜の注射針など細穴処理も可能。ガラス樹脂など表面摩耗の激しいプラスチック金型や加熱・冷却を繰り返すダイカスト金型など熱処理と併せて表面処理を求めるユーザーも多く、熱処理から表面処理、分析評価試験まで一貫体制を構築し提案を図っている。
「熱処理技術において鋼の性能を十分引き出せる冷却速度を確保した上で、極力歪を抑える技術や設備能力で強靭な鋼は決まる」と天早専務はその奥深さを語る。同社は今年、創業100年を迎えた。「ユーザーの多くは金型メーカーであり、共に生き、育てて頂いたと感謝している。今後も共に繁栄するため、技術の向上を図り、信頼される熱処理メーカーを目指す」と語る。蓄積したノウハウの伝承やデジタル化も課題に据え、「当社は金属熱処理技能士1級・2級取得者も多い。これまでの経験をもとに、金属3Dプリンタ向け材料など社内で情報共有しながら、新しい変化に対応できる技術へ視野を広げたい」と探求心は尽きない。
会社概要
- 本社 : 京都市南区上鳥羽石橋町19-1
- 代表者 : 藤田 英人社長
- 創業 : 1921年
- 電話 : 075-692-1122
- 従業員 :81人
- 事業内容: 真空焼入(ガス冷・油冷)、エジソンハード処理、真空ろう付け、真空浸炭熱処理など
金型新聞 2021年10月10日
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