金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

02

新聞購読のお申込み

金型ニューフロンティア 記者の目

新分野の開拓に挑む金型メーカーを取材した。各社、これまで金型で培ってきた技術を生かし、既存の顧客分野から新しい分野に進出したり、自社で独自商品を開発し、製品メーカーに転身を図ろうとしたり、その挑戦は様々だった。

その中でも共通していたのは、既存のビジネスへの危機感だ。かいわの山添重幸社長は「現在のままでは人が育てられなくなってしまう」と危惧し、日進精機の伊藤敬生社長は「10年ほど前まで新規顧客の開拓ができていなかった」と語る。

特に顕著だったのは、自動車産業への先行き不安の声。今後、自動車の電動化や部品の共通化が進むことによって、金型の需要も変化もしくは減少することが予測される。こうした金型最大の需要家である産業の変化は、金型メーカーを新分野へと挑戦させる大きな原動力となっていることは間違いない。

こうした新分野の開拓を目指す企業が増えれば、金型業界の在り方も大きく変容するだろう。自動車産業への依存度が下がり、金型専業メーカーは減少する。現在はそうした未来の過渡期かもしれない。今後も新境地に向けた金型メーカー各社の挑戦に注目したい。

金型新聞 2022年3月10日

関連記事

三洋技研 ワンチャックで穴と形状加工【特集:尖った技術を使いこなせ】

工程集約で短納期化 自動車や家電、住宅設備向け精密プラスチック金型を手掛ける三洋技研(名古屋市西区)は1987年に設立し、顧客の開発案件から金型設計・製作、トライ(30~150t)までの体制を確立。熱可塑性樹脂から熱硬化…

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題

問われる自己変革力 連携、デジタル化、事業承継、取引適正化 車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。…

自動化で年4400万円のコスト減 月平均600時間稼働【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

フジイ金型が「6稼4勤」制度を導入したワケ

6稼4勤のシフト制勤務 「正規の労働時間を減らしたことで多能工化が進み、効率性が高まったことでコストの削減にもつながっている」と話すのはフジイ金型の藤井寛達社長。同社は月~金という従来の働き方をやめ、6稼4勤のシフト制を…

トピックス

関連サイト