旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜 1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…
「金型業界で働く女性の声や悩みにも耳を傾けて」名古屋精密金型営業部部長・渡邊祐子氏
インターモールド大阪では4月20日、女性雇用のメリットや現場の男女共同参画などを討論する特別イベントが開かれる。労働人口減少により製造業は女性の活躍が課題で、金型業界も働き方改革など取組みが始まっている。日本金型工業会では女性の活躍を推進する「かながた小町」を設け、現場で働く女性の声や悩みなど業界内へ発信を強化。そこで金型業界における女性活躍の現状や課題、業界に知ってもらいたいことをイベントの参加者である名古屋精密金型の渡邊祐子部長に聞いた。

経営者層の「聞く力」
リモートワーク導入も
働く女性の現状は。
業界内で女性が増えたという実感はありません。製造現場は男性が中心。設計や磨き工程など一部に女性も入っていますが、女性が入社し活躍する現場にするには道のりは長いと感じます。
現場の取り組みは。
働きやすい環境にしようと女性専用の休憩室を作るなど取り組んできましたが、改めて、女性たちにヒアリングすると意外なニーズを聞きました。
そのニーズとは。
彼女たちはやる気があるのに男性と平等なチャンスを与えてもらえていないと感じているようです。例えば、残業できるのに声がかからないとか。上司の気遣いもあると思いますが、「働ける、頼られたい」という女性がいることを知ってほしい。
キャリア志向ですね。
そこは個人で異なりますが、女性とコミュニケーションを図り、互いのニーズをマッチングする必要があります。女性は本音が言えないことも多いので、経営者層と女性の間を取り持つ調整役がいると心強いですね。
まずは聞くことだと。
経営者や工場長など少しずつ女性雇用に対する理解を深めてほしい。今後も人手不足は深刻化し、工場の働き手は減っています。求人を出しても応募も来ません。その中で、金型を作り続けるには男性はもちろん、女性もアシスト役として活躍する場はたくさんあると思います。例えば、重量物の運搬でパワーリフトを導入すれば、女性でも納品に行けます。少額投資で女性も働ける環境を作れるなら、業界の発展につながるのではないでしょうか。
金型業界に伝えたいことは。
互いにリスペクトする環境づくりが重要です。産休や育児休暇制度に加え、テレワーク導入も業界課題の1つ。まずは互いを知ることで溝も埋まります。インターモールド大阪に続き、7月の名古屋展でも女性従業員による討論会を行います。これをきっかけに女性の声に耳を傾けてほしい。
金型新聞 2022年4月10日
関連記事
5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…
自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄な…
製造業において、人手不足は深刻な問題となっている。困難な採用環境、熟練者の高齢化などに加え、働き方改革関連法の完全施行もあり、金型メーカー各社も対応に苦慮している。特に人手不足への対応は、生産性の向上はもとより、女性の…
バンパーやグリルなどの自動車部品を中心に、家電製品、一般産業用品といった幅広い産業分野のプラスチック射出成形用金型を手掛ける明輝(神奈川県厚木市、046-224-2251)。同社は20年以上に渡ってMOLDINOの切削工…


