金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

26

新聞購読のお申込み

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2 を削減すること。そしてもう一つは、顧客のCO2 削減に貢献する金型の開発や提案だ。カーボンニュートラルの達成に向け、積極的に取り組む金型メーカーを取材した。

バイオプラ成形技術確立

成形機に取り付けた金型

石油系プラスチックの削減目指す

バイオプラで成形したスマホスタンド

バイオマスプラスチック(以下バイオプラ)は原料に再生可能な有機質な資源を原料とするプラスチック。燃やして二酸化炭素が発生しても、元は空気中にあったもので、CO2が増えず、カーボンニュートラルに貢献すると期待されている。

ブロー成形や射出成形などの金型製作から量産を手掛ける関東製作所(東京都江東区、03-3631-6034)はお米由来のバイオプラの成形技術の開発に乗り出し、試作品「スマホスタンド」で実験を行った。食用に適さない古い米や破砕米などを活用したバイオプラの金型及び成形技術を確立し、カーボンニュートラルやSDGsへの貢献を目指す。

「バイオプラが注目される中、金型メーカーとして何ができるかを考え、技術開発としてバイオプラの特性、成形条件などを評価し、新しい樹脂の可能性を追求することだ」と渡邉章社長。目を向けたのが、バイオマスレジン南魚沼が製造・販売する米原料のバイオプラである「ライスレジン」だ。100%国産で高い品質と石油系プラスチックと同等の強度を持ち、国産で安定した供給が可能だ。

試作品スマホスタンドに使用したライスレジンの成分は米55%、PP45%でABS樹脂と同条件で金型製作から成形に至るトライ評価を行った。金型は従来の金型の構造のままで成形は実現したが、温度コントロールが難しく、数ショット打つと焦げ付くなどの課題が見え、成形条件や材料の改良へ結びつけていく。「成形性を考えると、バイオプラの含有量は30%以下にしないと量産成形は難しい」とし、材料メーカーと意見交換を行いながら、量産に最適な成分や条件を見つけ、技術の確立を図る。

ライスレジンの活用はCO2や食品ロスの削減などSDGs、カーボンニュートラルにつながり、技術開発を進めることは意義があると渡邉社長は説く。「自動車関係もバイオプラの活用に関心を示し、問合せが来ている。また、日常品など新市場にも活用できるため、新規開拓につながるだろう」と期待感を込めた。同社ではライスレジン以外にも、ヘミセルロースなど他のバイオプラ成形を視野に入れ、技術開発を継続する考えだ。

金型新聞 2022年7月1日

関連記事

【特集:新春金型座談会2026】日本の金型メーカーが勝ち残るカギは何か(Part1)

自動車の新車開発の延期で需要回復の先行きが見通せない。人手不足が深刻化し技能伝承がままならない。こんな不安な時代に金型メーカーが勝ち残るカギは何か。「設計力と企画力」、「マーケティングとプロダクトをフィットさせる」、「市…

Hexagon MI AM造形品の品質保証【特集:金型づくりのAM活用最前線】

Ⅹ線CT解析ソフト活用 採用が増えつつある金属AMによる金型の入れ子部品。しかし、造形したワークの内部にできた巣の有無や造形密度などは切断するしか把握できないため、品質保証の難しさがAM入れ子部品の採用の壁の一つになって…

【特集:新春金型座談会】広がる世界市場をどう開拓する(Part3)

日本の価値はどこにある 量産支える金型や知見 松岡 先ほど松野さんが安く作ると話されましたが、私は金型を安くしたくないですね。金型は本来高くなきゃいけないのに、どんどん下がっています。持続的に経営をしていくためにも、値段…

三井化学、共和工業 M&Aで事業展開にシナジー【特集:連携・M&Aで乗り越える】

部品開発や共同研究 2014年に共和工業が三井化学グループに入ってから9年。グループ内で共同開発した部品が自動車メーカーに採用されたり、共同研究を進めたり、協業による相乗効果を高めている。近年は住宅設備部品開発でも手を組…

電動車で変わるプレス機械のニーズ 高精度、大型化が加速する[プレス加工技術最前線]

高張力鋼板(ハイテン材)の増加や、自動車の電動化で必要となるプレス部品の精密化などにより、プレス金型は高度化している。金型はプレス機の精度や剛性に倣ってしまうため、これまで以上に金型とプレス機の両方の知見が重要になってい…

トピックス

関連サイト