金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

11

新聞購読のお申込み

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2 を削減すること。そしてもう一つは、顧客のCO2 削減に貢献する金型の開発や提案だ。カーボンニュートラルの達成に向け、積極的に取り組む金型メーカーを取材した。

バイオプラ成形技術確立

成形機に取り付けた金型

石油系プラスチックの削減目指す

バイオプラで成形したスマホスタンド

バイオマスプラスチック(以下バイオプラ)は原料に再生可能な有機質な資源を原料とするプラスチック。燃やして二酸化炭素が発生しても、元は空気中にあったもので、CO2が増えず、カーボンニュートラルに貢献すると期待されている。

ブロー成形や射出成形などの金型製作から量産を手掛ける関東製作所(東京都江東区、03-3631-6034)はお米由来のバイオプラの成形技術の開発に乗り出し、試作品「スマホスタンド」で実験を行った。食用に適さない古い米や破砕米などを活用したバイオプラの金型及び成形技術を確立し、カーボンニュートラルやSDGsへの貢献を目指す。

「バイオプラが注目される中、金型メーカーとして何ができるかを考え、技術開発としてバイオプラの特性、成形条件などを評価し、新しい樹脂の可能性を追求することだ」と渡邉章社長。目を向けたのが、バイオマスレジン南魚沼が製造・販売する米原料のバイオプラである「ライスレジン」だ。100%国産で高い品質と石油系プラスチックと同等の強度を持ち、国産で安定した供給が可能だ。

試作品スマホスタンドに使用したライスレジンの成分は米55%、PP45%でABS樹脂と同条件で金型製作から成形に至るトライ評価を行った。金型は従来の金型の構造のままで成形は実現したが、温度コントロールが難しく、数ショット打つと焦げ付くなどの課題が見え、成形条件や材料の改良へ結びつけていく。「成形性を考えると、バイオプラの含有量は30%以下にしないと量産成形は難しい」とし、材料メーカーと意見交換を行いながら、量産に最適な成分や条件を見つけ、技術の確立を図る。

ライスレジンの活用はCO2や食品ロスの削減などSDGs、カーボンニュートラルにつながり、技術開発を進めることは意義があると渡邉社長は説く。「自動車関係もバイオプラの活用に関心を示し、問合せが来ている。また、日常品など新市場にも活用できるため、新規開拓につながるだろう」と期待感を込めた。同社ではライスレジン以外にも、ヘミセルロースなど他のバイオプラ成形を視野に入れ、技術開発を継続する考えだ。

金型新聞 2022年7月1日

関連記事

東亜成型 キャンプ用品を販売

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

デジタル技術駆使し、金型製作期間半減目指す【ササヤマ challenge!Next50】

ササヤマが今期スタートした新中期経営計画「SAIMS247」。その中核事業となるのが金型製作期間の半減だ。デジタル技術や経験を駆使し金型づくりの大改革が進む。 全ての部品をQRで管理 材料に書かれたシリアルナンバー。入力…

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】5.デジタル技術

シミュレーション、AIで効率化 デジタル変革(DX)の実現は近年の金型製造現場における最大の関心事の一つ。労働人口が減少する中で生産性を向上させるためには、人工知能(AI)やシミュレーションなどのデジタル技術を活用するこ…

加工全体をCAE解析、開発リードタイムを短縮[プレス加工技術最前線]

自動車の電動化や軽量化ニーズの高まり、短納期化、熟練作業者の減少など、プレス加工を取り巻く環境は大きく変化している。プレス加工メーカーへの要求も高度化しており、これまで以上に技術革新を進め、変化するニーズに対応することが…

記者の目 ‐Reporter`s eye‐

記者の目 ‐Reporter`s eye‐

今回の“コロナ禍”で見えてきたのは、変化の必要性だ。受注や生産活動が制限される中、デデジタル化やITツールの活用など以前から指摘されていた課題が改めて浮き彫りになった。都内のある金型メーカーは、「変革の契機となるのは間違…

トピックス

関連サイト