生産性向上やペーパーレス化 モノづくりのDX化が叫ばれて早数年、様々なデジタルサービスが開発されてきた。その中で、ひと際目を引いたのがプレス金型及びプレス加工を手掛ける久野金属工業(愛知県常滑市)とシステム開発のマイクロ…
米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは
脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2 を削減すること。そしてもう一つは、顧客のCO2 削減に貢献する金型の開発や提案だ。カーボンニュートラルの達成に向け、積極的に取り組む金型メーカーを取材した。
バイオプラ成形技術確立

石油系プラスチックの削減目指す

バイオマスプラスチック(以下バイオプラ)は原料に再生可能な有機質な資源を原料とするプラスチック。燃やして二酸化炭素が発生しても、元は空気中にあったもので、CO2が増えず、カーボンニュートラルに貢献すると期待されている。
ブロー成形や射出成形などの金型製作から量産を手掛ける関東製作所(東京都江東区、03-3631-6034)はお米由来のバイオプラの成形技術の開発に乗り出し、試作品「スマホスタンド」で実験を行った。食用に適さない古い米や破砕米などを活用したバイオプラの金型及び成形技術を確立し、カーボンニュートラルやSDGsへの貢献を目指す。
「バイオプラが注目される中、金型メーカーとして何ができるかを考え、技術開発としてバイオプラの特性、成形条件などを評価し、新しい樹脂の可能性を追求することだ」と渡邉章社長。目を向けたのが、バイオマスレジン南魚沼が製造・販売する米原料のバイオプラである「ライスレジン」だ。100%国産で高い品質と石油系プラスチックと同等の強度を持ち、国産で安定した供給が可能だ。
試作品スマホスタンドに使用したライスレジンの成分は米55%、PP45%でABS樹脂と同条件で金型製作から成形に至るトライ評価を行った。金型は従来の金型の構造のままで成形は実現したが、温度コントロールが難しく、数ショット打つと焦げ付くなどの課題が見え、成形条件や材料の改良へ結びつけていく。「成形性を考えると、バイオプラの含有量は30%以下にしないと量産成形は難しい」とし、材料メーカーと意見交換を行いながら、量産に最適な成分や条件を見つけ、技術の確立を図る。
ライスレジンの活用はCO2や食品ロスの削減などSDGs、カーボンニュートラルにつながり、技術開発を進めることは意義があると渡邉社長は説く。「自動車関係もバイオプラの活用に関心を示し、問合せが来ている。また、日常品など新市場にも活用できるため、新規開拓につながるだろう」と期待感を込めた。同社ではライスレジン以外にも、ヘミセルロースなど他のバイオプラ成形を視野に入れ、技術開発を継続する考えだ。
金型新聞 2022年7月1日
関連記事
自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…
時には経営者、時には教え諭す教育者—。工場長には多様な役割が必要だ。こうしたマルチタスクをこなすために、どのようなことを意識しながら、責務を果たしているのか。現役工場長に、工場長としての哲学を聞いた。 役割は成果を出すこ…
非接触工具位置測定器「ダイナゼロビジョン」 切削加工をトータルでサポートする大昭和精機。注目は、高速回転中の工具長や工具径、振れを測定するのが「ダイナゼロビジョン」だ。「ダイナゼロチャック」と組み合わせて使用すると、動的…
人材育成の要諦 デジタルとアナログを融合 金型メーカー座談会 若手経営者が語るー業界の魅力高めるためには 第二部ー 最終回となる今回のテーマは「連携」と「人材育成」。戦略云々よりも、経営者同士の感性や考え方が合った連携の…


