金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

08

新聞購読のお申込み

「微細加工分野に注力」GFマシニングソリューションズ社長・ローラン・キャステラ氏

放電加工機やマシニングセンタ(MC)、自動化システムなどを手掛けるスイス・GFマシニングソリューションズ。今年1月、日本法人(東京都品川区、03-5769-5010)の社長にローラン・キャステラ氏が就任した。今後、金型メーカーを始めとした日本の加工現場にどんなソリューションを提供していくのか。キャステラ社長に日本市場について、注力する取り組みなどを聞いた。

ローラン・キャステラ氏
1966年生まれ、スイス・フリブール州出身。1990年フリブール大学卒業後、シャルミー(現GFマシニングソリューションズ)に入社。1991年に来日し、7年ほどサービスや消耗品販売に従事。台湾や中国の現地法人の責任者を経て、2019年に再来日、22年1月日本法人社長に就任。

自動化を積極的に提案

日本の市場について

昔に比べて日本の市場規模は縮小した。大量生産のための工場が減ったことが要因だろう。一方日本は技術レベルが高く、微細金型などハイエンドな金型を作ることができる。今後はこうした日本でしかできない金型が残っていくと思う。

日本の課題は。

スピードだ。他のアジアの国は常に最新の機械を導入し、自動化を進め、日本よりも早くものを作ることができる。日本はまだまだ人手に頼っているところが大きく、いまだに古い機械と古いプロセスでものづくりを行っている現場が少なくない。機械は常に進化し、能率も向上している。新しい設備への設資は競争力の強化につながるはずだ。

注力することは。

微細加工分野に注力したい。今後、医療や電子、半導体関連など、小さくて難しい部品の需要が増えていくとみている。こうした付加価値の高い分野を探して提案していきたい。

どんな機械があるか。

微細レーザー加工機「マイクロルーション」がその一つ。フェムト秒レーザーで±0・1μmの加工精度を実現する。微細な穴あけ加工や複雑で精密なテクスチャリング加工が可能だ。また、レーザー技術を使った金属3Dプリンタもこれから伸びる技術だと考えている。その他5軸MC「ミクロン」も微細加工分野で実績を重ねており、今後も提案していく。

微細加工以外には。

自動化提案だ。日本で自動化を導入している現場はまだ少ないと感じる。当社の強みは機械、自動化システム、ツーリングをワンストップで提供できることと、どのメーカーの機械でもつなぐことができること。自動化システムやツーリングのブランド「システム3R」の製品を中心に、今後もっと日本の金型メーカーに自動化ソリューションを紹介したい。

海外メーカーはサービスが課題とされている。

今年からサービスパートナーと協力して新たなサービス体制を構築する。これまで以上に迅速な対応が可能になるはずだ。サービスパートナーは今後、徐々に各地区に展開していく。

自身のミッションは。

日本市場で差別化を図るには、加工難度の高い分野や高度な加工技術など、日本の機械メーカーの一歩先を行くようなソリューションを提案していかなければならない。私の役割はそのための戦略を会社にもたらし、チームを引っ張っていくことだと考えている。

金型新聞 2022年8月10日

関連記事

2021年に売上高50億円
オネストン 鈴木 良博社長に聞く

 パンチやダイ、強力ばねなどプレス金型部品を取り扱うオネストンは2021年に創業50周年を迎える。プレス部品専門商社として基盤を築き、近年は「1個づくり」をテーマにした特殊品対応やリバースエンジニアリングほか、アメリカ・…

金型企業の代弁者として情報を発信<br>日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

金型企業の代弁者として情報を発信
日本金型工業会 小出 悟 会長に聞く

 人材の不足や育成、CASE(コネクティビティ・オートノマス・シェアード・エレクトリック)に代表される自動車産業の変化による影響、台頭する新興国など、日本の金型産業は様々な課題を抱えている。これらに対してどう立ち向かって…

次世代3次元積層技術の研究会を発足、金型への実装を目指す 吉田 佳典氏(岐阜大学 工学部教授 )【鳥瞰蟻瞰】

4月に本学にある、地域連携スマート金型技術研究センター内に「次世代3次元積層技術研究会」を立ち上げました。活動は金属3Dに関連した研究会と勉強会ですが、岐阜大が目指すのは金属3D積層技術を生かした金型づくりを社会実装する…

【鳥瞰蟻瞰】福井精機工業社長・清水一蔵氏「これからの金型の価値は、生産技術支えるプロデュース力」

金型の価値が変わる これからの価値とは、生産技術支えるプロデュース力  高度な技能や経験、専門知識がなくても金型が作れる環境になってきました。なぜなら、これまで職人技と言われた金型加工は工作機械や切削工具などの発達によっ…

久野金属工業 取締役副社長 久野 功雄氏 〜鳥瞰蟻瞰〜

我が社しか実現できないモノを 少し高くても選んで頂けるそれがブランド力         従来のお客様と金型メーカーには阿吽の呼吸のようにお互いを必要とする関係があり、スムーズに仕事を進める上で大切です。ですが、…

トピックス

関連サイト