重要なのは加工技術者 優れた人材の発掘・育成が、新たな世界の創出につながる いまや我々の日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンや極小な電子機器。これらは微細加工技術があったからこそ生まれました。ミクロンやナノとい…
「『金型灼熱』の技術強みに 省エネなど製品開発」 平和電機社長・大澤孝佳氏
各種工業用ヒーターや金型均熱システムなどを手掛ける平和電機(愛知県一宮市、0586-77-4870)は独自のエンジニアリング力を強みに、金型メーカーの様々なニーズに応える。近年はSDGsなど循環型社会への貢献を目指し、新たな企業イメージの構築を図る。将来ビジョンを大澤孝佳社長に聞いた。

得意な技術は。
当社は70年以上、自動車部品の金型や射出成形機、押出成形機といった各種機械設備を中心に、多様なニーズに応える工業用ヒーターを手掛け、販売からメンテナンスまで顧客に寄り添う形で事業を展開してきた。また、エンジニアリング力を活かし、金型表面温度を均一に保つ「金型均熱システム」の設計からメンテナンスまでトータルで行うなど独自技術の開発にも力を入れている。
金型均熱システムとは。
金型内にヒーターを組み込み、配線工事から昇温試験、ヒーターのカスタムまでトータルで製作しているもので、特に自動車内装部品向け大型金型に採用されている。金型の温度を一定にするにはヒーターの容量や配置のバランスなどノウハウが必要で、30年以上積み重ねてきた当社のコア技術だ。そのほか、シート材の搬送装置の設計・製作などエンジニアリング力の強化に努めており、多方面で顧客の課題解決に貢献したい。
直近の新製品は。
需要が増しているスーパーエンプラなど高機能プラスチックの成形時で昇温不足が課題となっている。そこで開発したのが「スプリットバンドヒーター」で、従来のノズルバンドヒーターより高出力なため、約1/3の時間で昇温(200度)にでき、サイズも従来品と変わらず省スペース化にもつながる。
省エネも課題です。
他社メーカーとコラボし、高効率・高断熱(保温性)をテーマにした製品開発にも着手している。今後はカーボンニュートラルも課題に挙がるため、ヒーター数や容量バランスなど省エネに貢献する製品や技術が求められるだろう。当社のコア技術を活かし、自動車以外の分野も視野に入れている。
社内の取り組みは。
地域清掃や工場から出た廃材の分別はもちろん、次世代の学生にものづくりの体験の場を提供しようと近隣の中学生や高校生を対象に、工業用ヒーターの製作やレーザー加工機の加工体験などを実施している。ものづくりを次世代に残すためにも、未来を担う若い人に伝えられることがあるはずだ。
現場では女性も多く活用されています。
現場は細かい作業も多く、役職者に女性を登用するなど多くの女性が活躍している。将来は障害者雇用や定年退職者の自己実現ができるユニークな企業にしたい。多様性を重んじる企業文化を作り、社員とその家族も含め、人を大切にする企業を目指す。
金型新聞 2022年9月10日
関連記事
旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜 1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…
若者の興味を引け 金型はものづくりの喜びがある広く知られる業界へ 若手を育てることは、金型メーカーにとって技術の伝承はもちろん、業界の活性化という点でも大切なことです。量産のものづくりがある限り、マザーツールである金型…
技術者育成、生産性向上に貢献 開発試作プレス部品の金型、プレス、レーザー加工まで一貫して手掛ける八光技研。アナログとデジタルを融合させる解析ソフトの活用術で、育成や大幅な生産性向上に役立てている。 同社はレーザー加工技術…
金型以外にも視野 原点から新たな発見 日本金型工業会東部支部天青会の会長に今年5月、就任した。「原点に立ち返って、色々な視点から根本を見直せるような活動をしていく」と今年度のテーマに「原点回帰」を掲げる。 天青会に入…


