微細成形ラボを設立 量産化までの支援サービスを提供 自動車や医療などの精密プラスチック射出成形用金型を手掛ける米山金型製作所は今年9月、微細成形技術が提供可能な「微細成形ラボ」を設立する。既存設備よりも大型の射出成形機を…
「顧客の課題をもっと聞きたい 専門部署を設立」牧野フライス製作所社長・宮崎正太郎氏【この人に聞く】
牧野フライス製作所は今年4月、6年ぶりに社長交代を発表した。6月に新社長に就いた宮崎正太郎氏は、就任後わずか3か月で増産体制の強化や開発テーマの絞り込みなどを相次いで発表。さらに、顧客の課題を聞くための部署を新設するなど改革を進める。打ち出した施策はいずれも顧客の声をより深く聞くためだ。「お客様の課題をもっと聞く必要がある」と話す、宮崎社長に今後の方針などを聞いた。
増産や開発体制強化

みやざき・しょうたろう
1986年牧野フライス製作所入社。95年からドイツで金型向けのテクニカルセンターの開設に尽力した後、中国を担当するなど、海外畑一筋。慶應義塾大学経済学部卒、東京都出身、60歳。
就任後、真っ先に表明したことは何でしょうか。
「お客様の苦情や困りごとをもっと聞きましょう」ということ。我々はお客様の困りごとを聞き、それに対応する機械を迅速に作り、お客様に儲けて頂くことで成長してきた。それを徹底していく。
具体的には。
まずその一つとして、組織を生産、開発、営業、スタッフ部門の4つにシンプルに再編した。お客様から見てわかり易いのはもちろん、社内でも自らの責任と権限を明確にさせるためだ。
足元の困りごとは納期の長期化です。
就任後すぐに増産の号令をかけた。ロットの見直しなどを徹底し、下期には、1割ほど増産できる見通しだ。今の体制でもっと工夫すれば2割程度までなら増産できる。それでも足りないので、海外工場の立ち上げや、子会社を有効活用するなどして増産に対応する。
開発面はどうでしょう。
集中と選択を行い、開発スピードを上げる。長期的な視点に立った開発も重要だが、お客様は「すぐに使える」ものを求めている。年度内に複数の新製品を出す予定だ。
今秋にはJIMTOFもあります。
5軸を中心にラインアップを強化する。「DAシリーズ」ほか、バンパーなど大型金型向けの5軸機も展示する。金型向けでは「Vシリーズ」の後継機の開発も課題だと思っている。詳細はこれからだが、お客様が独自性を活かし、ご自身で付加価値を創出できるような機械を考えているところだ。また機械だけでなく、その先にあるお客様の課題にも目を向けたい。
どういうことでしょう。
技能の継承で悩んでいる金型メーカーは多く、「この加工条件がベストなのか」と悩む若い技術者も少なくないと思う。そんな時に、気軽に問い合わせ頂けるように「カスタマーアプリケーションセンター」を設けた。従来の加工技術を中心に、120人体制にした。お客様からの相談に一緒に考えていきたい。
金型メーカーに一言。
課題や苦情を言ってくれるお客様が我々を育ててくれたと思っている。実際に苦情を言われるお客様ほど当社の機械を使って頂いている。だから、もっと「こうして欲しい」など様々な課題や要望を遠慮なくぶつけて欲しい。
金型新聞 2022年9月10日
関連記事
「30年間お客様とものづくりを改善し続けられる存在でありたい」—。そう話すのは一昨年に新日本工機の社長に就任した中西章氏。ライフサイクルの長い大型機械が強みなだけに、「長期間にわたって、顧客のものづくりをサポートするのは…
微細加工機メーカーの碌々スマートテクノロジー(東京都港区、03・3447・3421)は昨年、「碌々産業」から社名を変更した。創立120周年を迎え、これまで標榜してきた「微細加工機のリーディングカンパニーへ」から「微細加工…
重要なのは加工技術者 優れた人材の発掘・育成が、新たな世界の創出につながる いまや我々の日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンや極小な電子機器。これらは微細加工技術があったからこそ生まれました。ミクロンやナノとい…
当社は今年4月、同じ新潟県に拠点を構えるプラスチック金型メーカーの共和工業との協業を発表しました。主な目的は、電気自動車(EV)の車台やバッテリーケースなどを一体成形する「メガキャスト」向けの超大物金型の開発、製造です。…


