金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

13

新聞購読のお申込み

ユニオン精機 直彫り化でリードタイム短縮、進化し続ける企業目指す【Innovation〜革新に挑む〜vol.6】

ダイカスト金型を中心としたアルミニウム鋳造用金型専業メーカーのユニオン精機(兵庫県加古川市、079・425・0765)。型締力1000t以上の大物金型を得意とし、二輪・四輪車や汎用エンジンなどのアルミニウム鋳造部品に対応する。短納期化が進む中、5軸マシニングセンタ(MC)を導入し、金型加工の直彫り化によるリードタイム短縮に挑む同社を取材した。

1000t以上の大物金型を得意とする

外販ビジネス拡大に注力

同社は1975年に川崎重工業の100%出資により設立された。81年に現在の加古川工場内に移転。2021年には川崎重工業が二輪車やオフロード四輪車および汎用エンジンなどを手掛ける「モータサイクル&エンジン事業」を分社化したことでカワサキモータースの子会社となった。

現在手掛けるのは、ダイカスト金型が8~9割を占める。その他、LP(低圧鋳造)金型やGD(重力鋳造)金型も製造する。対応するサイズは型締力350~2250tと幅広く、特に1000t以上の大物金型を得意としている。

5軸MCを2台保有する

内製型では二輪車や汎用エンジンのクランクケース、ヘッドシリンダーなどの金型、外販型では四輪車向けを中心にコンバータハウジングなどの大物部品から、トランスミッションなどに使用される精密部品まで幅広い金型を手掛ける。最近ではバッテリーケースなどの電気自動車(EV)関連部品も増えているという。

特に近年は外販に注力しており、得意とする大物金型を中心に新規開拓を進めている。「内製ビジネスはグループの発展とともに伸びていくが、当社として成長していくためには外販ビジネスの拡大が欠かせない」(山本正信社長)。30年には外販ビジネスの売上高を現状の1.5倍に引き上げる目標を掲げている。

強みは高い金型完成度と納期対応力

同社の強みは高い金型完成度。納品後の金型トラブルが少なく、顧客からの評価も高いという。「当社では『一発合格』を目指している。特に更新型では高い合格率を誇り、ある顧客では80%を超えている」(山本社長)。

この強みを支えるのが、生産技術力だ。長年に渡り蓄積されたデータや、熟練技術者の経験やノウハウをもとに、想定される不具合を事前に予測し、手戻りの少ない金型づくりを実現している。「縮みなど全体の傾向をみながら、過去のデータや経験をもとに公差幅の偏りなどを調整する。新規であっても過去の類似型を参考に金型設計を行っている」(技術部の松下健一部長)。

MOLDINOからはCAMや治具などの技術サポートを受ける

もう一つの強みが納期対応力。金型に対する短納期の要求は年々高まっており、「2250tの金型では、これまで4ヶ月ほどの納期だったが、現在は3ヶ月を切るようになっている」(松下部長)。同社ではこうした要望に応えるため、金型加工のリードタイム短縮に取り組んでいる。

直彫り化に取り組む

特に注力するのが、直(じか)彫り化。「切削加工は放電加工に比べ、加工時間が短く、電極を製作する必要がない。直彫り化を進めることでリードタイムの大幅な短縮につながる」(松下部長)。10年ほど前から放電加工から切削加工への工法置換に取り組んでいる。

この直彫り化を支えるのがMOLDINOの工具だ。幅3㎜、深さ40㎜の油溝加工では、深彫り加工用エンドミル「エポックターボミル」を使用し、放電加工から切削加工への置き換えを実現。放電加工とそれに伴う電極加工を減らすことができ、リードタイムが大幅に短縮したという。現在、さらなる深彫りにも挑戦しており、MOLDINOの特殊工具を用いて、深さ45㎜の溝加工に取り組んでいる。

MOLDINOの工具が並ぶ
高能率深彫り加工用3枚刃ボールエンドミル「EMBPE」(MOLDINO)

穴あけ加工でもMOLDINOの工具を用いる。押出ピン穴の加工では、「超硬OHノンステップボーラー」を使用し、ワイヤ放電加工で30分かかっていた加工を数分に短縮。また、焼き入れ後の加工では、MOLDINOの高硬度鋼加工に適した「THコーティングシリーズ」を施した工具を活用している。

「形状によって放電加工が必要なものもあるが、なるべく切削加工で完結させるように取り組みを進めている」(山本社長)。以前に比べ、放電加工は大きく減少し、これまで外注していた電極製作は全て内製で賄えるようになったという。

5軸加工でさらなる効率化

20年には5軸MCを導入。割出5軸によって段取り工程を削減し、休日夜間稼働を実現している。23年には2台目を導入し、さらなる生産性の向上に取り組む。「汎用エンジンの金型では加工にかかるリードタイムを45日から30日に短縮することを目指している」(松下部長)。

MOLDINOからは工具だけでなく、工具の使い方や加工プログラムの作成方法などの技術的なサポートの提供も受けている。5軸MC導入時にも機械の選定から治具、CAMの作り込みまでトータルでの加工アドバイスを受けた。「加工課題の相談ができ、助かっている」(松下部長)。

今後は同時5軸加工にも取り組む考え。5軸加工で大幅な加工能率の向上が期待できるMOLDINOの異形工具シリーズ「GALLEA(ガレア)」の導入も検討する。また、焼き入れ前の加工の高能率化やさらなるリードタイム短縮に向けた取り組みも進めていく。「『技術革新』をテーマに、今後も進化し続ける金型専業メーカーでありたい」(山本社長)。

コンバータハウジング
左から松下部長、山本社長

会社概要

  • 本社: 兵庫県加古川市平岡町山之上170
  • 電話:079・425・0765
  • 代表者:山本正信社長
  • 創業:1975年
  • 従業員: 75人
  • 事業内容:アルミニウム鋳造用金型の設計、製作、補修、販売など

金型新聞 2024年2月10日

関連記事

武林製作所の千田氏が「八尾ものづくり達人」

加工効率高める金型を設計 歯ブラシのプラスチック金型を手掛ける武林製作所(大阪府八尾市、072・998・1207)の金型設計技術者・千田雄一さんが、2023年の「八尾ものづくり達人」に選ばれた。金型の加工効率や品質を高め…

清水龍司さん 承継に向けて社内改革を進める【ひと】

群馬県高崎市でプレス加工を手掛けるシミズプレスの3代目として生まれた。しかし、当初は会社を継ぐ気はなかった。 転機となったのは大学1年時。「これからさらに成長する国や地域を見ておきたかった」と中国に短期留学した。そこで語…

【鳥瞰蟻瞰】牧野フライス製作所プロジェクト営業部スペシャリスト・山本英彦氏「日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要」

大事なのは、自信を持つこと日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要 1983年に牧野フライス製作所に入社してから、海外畑を歩んできました。キャリア当初は、アメリカ向け立形マシニングセンタや放電加工機の営業支援を担当…

ファインプラス 車載用部品の高度化に対応

 自動車の電動化などによって部品メーカーは大きな変化に迫られている。車載用のプラスチック部品もその一つ。コネクタの狭ピッチ化、耐熱性の高い樹脂の採用などによって、金型や成形技術は高度化している。コネクタをはじめとする車載…

―スペシャリスト―ミルテック<br>精密加工の何でも屋

―スペシャリスト―ミルテック
精密加工の何でも屋

五感使うものづくり 精密打抜き用プレス金型、非球面レンズ金型、二次電池用金型及び部品、三次元形状部品、精密治具―。超精密金型や部品加工のミルテックがこれまで手掛けてきた品目の一部だ。『金と銀以外何でも加工する』と話す渡邉…

関連サイト