金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

25

新聞購読のお申込み

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

エムエス製作所 開発技術支援部 技術長 江口博保さん

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた。

入社1年後に設計工程に配属された。半年過ぎると一人で設計業務の全てを担当。同僚が相次いで退職したため、金型の設計担当は自分ひとりだけ。そこから手探りの「独学」が始まった。

知らないことは顧客や同業他社に質問した。初めて3次元CAD/CAMを導入した時は、顧客の仕事を手伝いながら教えてもらった。トライ&エラーを繰り返す中で金型の設計を身につけた。

仕事が終わるのはたいてい深夜。朝から晩まで無心で設計業務に取り組んだ。「トライ&エラーは言い換えれば、失敗の連続。これに耐え、地道に対策に取り組むことで技術を磨いた」。

苦労もある中、顧客からの感謝の言葉が頑張れる大きな原動力に。「創意工夫を重ねるモチベーションになった。前回よりも喜んで欲しいと毎回必死で考えることができた」。

これからは技術の研さんに励みながら後進を育てる。「顧客と話ができるまでには30年。近道はない」。失敗体験を伝えながら、長い目で人材を育てる。設計者としては黄綬褒章を目標に、さらなる高みを目指す。

金型新聞 2022年9月10日

関連記事

現場の思いを尊重<br>天青会 野口 賢太郎 会長

現場の思いを尊重
天青会 野口 賢太郎 会長

企業見学会に注力  日本金型工業会東部支部の若手経営者らが集まる天青会の会長に今年5月、就任した。現場至上主義を自身のテーマとして掲げ、「今年は、工場見学会など現場に足を運ぶということをメインに活動していきたい」と意気込…

金属3Dの金型で革命を ムトー精工が挑むコスト削減と新価値の創造[金型の底力]

樹脂部品の金型から成形、組み立てまでを手掛けるムトー精工は金属3Dプリンタによる金型づくりを進めている。成形サイクルを上げ、コストダウンや成形機の設備削減などを狙う。さらに、他の技術と組み合わせ、付加価値の向上にもつなげ…

【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」

勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜  1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…

フジ 金属積層造形で異種材金型を製造【金型の底力】

自動車やオートバイ用エンジンなどの金型を手掛けるフジは、金属積層造形(AM)と5軸複合加工ができるDMG森精機の「LASERTEC65 DED hybrid」を2022年6月に導入した。国内で約10台しか導入されていない…

【新春特別インタビュー④】ツバメックス代表取締役・多田羅 晋由氏「緩やかな連携が進む、経営者は思考の変革を」

もっと広義な意味に 緩やかな連携が進む 経営者は思考の変革を 〜M&A・企業連携〜  1959年生まれ、大阪府出身。82年サンスター技研に入社、2005年同社代表取締役、19年2月ツバメックス代表取締役に就任し、…

トピックス

関連サイト