指先でミクロンとらえる磨きの達人 指先はミクロンの誤差をとらえる。神経を研ぎ澄まし、砥石に力を加え、鏡面に仕上げていく。その技能で「なにわの名工若葉賞」にも選ばれた。金型磨きの達人だ。 整備士として勤めていた車の販売…
この人に聞く
ツバメックス 山村福雄 社長
サンスターグループ傘下に広い視点で金型づくり
なぜサンスターグループの傘下に入ったか。
当社の株式は4年ほど前から投資ファンドが保有していた。出口戦略としてサンスター技研への株式譲渡を選択したのだと思う。譲渡先がどこになるか心配だったが、当社としては幸運だった。
そう言える理由とは。
サンスターというと、一般的に歯ブラシやハミガキといったオーラルケア用品のイメージが強いが、祖業は自転車部品やパンク修理用ゴムのり。現在、自転車部品はディスクブレーキやスプロケットといった自動車やオートバイ用金属部品、ゴムのりは自動車・建築用の接着剤やシーリング材に発展している。当社が持つ技術との関連性が深く、共同開発や事業拡大など多くのシナジー効果が発揮できると考えている。
部品一式で受注
どんなシナジー効果が期待できるか。
一つのシステムとして提案できるようになるはずだ。当社の金型技術とサンスターが持つ部品加工技術や接着技術を組み合わせることで、例えば、自動車のリアやサイド、フロント一式を丸ごと受注することが可能になる。
また、自動車は近年、軽量化のため、金属と樹脂など異なる材料を組み合わせる「マルチマテリアル化」が進んでいる。異種材を接合する「異種接合」や「インサート成形」の需要は今後益々高まることが予測される。両社の技術を組み合わせることでこうしたニーズにも対応できるだろう。
その他に期待することは。
グローバル展開の拡大だ。現状、インドやパキスタン、タイなどに金型を輸出しており、海外比率は4割ほど。今後海外需要は増加するとみており、サンスターグループのネットワークを活用し、グローバル展開を加速させていきたい。
一方、そこで課題となるのが中国や韓国、台湾といった海外金型メーカーとの競争にどう勝っていくか。納期やコストに加え、日本の技術力を発揮して差別化を図っていきたい。
日本の技術力とは。
現場で起こった現象を検証し、改善する力のことだ。この力は長年蓄積してきたノウハウや経験によって身に付く。ただ、今までこうした力は個人に依存することが多かった。今後はこうしたものづくりの本質的な部分をいかに整理し、自社技術として残していけるかが重要になる。当社では以前からITを活用し、過去履歴やノウハウの「見える化」に取り組んでいる。絶えずデータを蓄積し、競争力の強化につなげていきたい。
近年、金型メーカーのM&A事例が増えています。
自動車業界で言えば、自動車メーカーの発注形態が大きく変化し、部品単体ではなく、一式で発注する傾向が強まっている。こうした案件の情報をいち早く捉え、需要に対応するには、今まで以上に自動車メーカーや部品メーカーと近い距離で事業を展開する必要がある。その一つの方法がM&Aだ。当社としても今後、金型という狭い範囲だけでなく、もっと広い視点で金型づくりを考えて事業を展開していく。
金型しんぶん 2019年12月10日
関連記事
今年1月、超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03・3759・7181)の新社長に春田善和氏が就任した。同氏は管理畑を歩み、財務部長や企画部長を歴任。海外拠点の立ち上げや、事業戦略の策定などに…
今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の…
NTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区)は7月、沖縄県うるま市に、5軸加工や自動化を支援する「Mold Future Space‐OKINAWA(MFS)」を開設した。まずは5軸加工機の販売から加工ノウハウ…
冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは2018年3月期、目標としていた売上高150億円を超え、19年3月期には売上高174億円と過去最高を更新。だが、昨年から続く米中貿易摩擦や新型コロナウィルスの感染拡大に加え、主要顧客…