かつて世界一の生産額を誇り、“金型大国”と呼ばれていた日本の金型産業。ピーク時には、年間で2兆円近い金型を日本で生産していた。しかし2000年以降、自動車や電機といったセットメーカーの相次ぐ海外移転による国内需要の減少…
金型も緊急事態
新型コロナ
受注相次ぎキャンセル
部品調達しにくく



新型コロナウイルスの感染拡大が金型業界にも大きな影響を及ぼしている。金型新聞社が全国の金型メーカーを対象に実施したアンケート調査では、半数以上の企業が「受注が延期もしくはキャンセルになった」と回答。生産活動でも影響は大きく、多くの企業が「金型の製作が停滞している」「部品・材料の調達がしにくくなっている」と回答した。金型最大の需要家である自動車業界では、一部で工場の操業を停止する動きが出ており、今後のさらなる影響拡大が懸念される。いまだ収束の目途が立っておらず、「この先どうなるか分からない」といった声も聞かれるなど、先行きへの不安が業界全体で広がっている。
アンケート調査は3月末に実施した。新型コロナの感染拡大による受注への影響について、「受注が延期もしくはキャンセルになった」という回答が52%で半数を上回った。東京都のプラスチック金型メーカーは「2月中旬からほぼ受注がストップしている」とし、鳥取県のプレス金型メーカーは「引き合いが例年の半分まで減っている」。
特に自動車関連で影響が大きい。愛知県のゴム金型メーカーは、「自動車関連でキャンセルや延期が多発している」。自動車用プラスチック部品の金型を手掛けるメーカーは、「売上は前年比6~7割減少。足元の受注はさらに悪い」と厳しい現況だ。
その一方、「受注が増加した」という回答が16%あった。主な要因は中国など海外からの回帰。前年比20%増加したプラスチック金型メーカーは、「日用品や電子部品など分野は幅広く、中国で製作していた金型の一部を日本に戻すというユーザーが多い」という。
また、生産活動の影響は、「金型の製作が停滞している」が38%、次いで「部品や材料が調達しにくくなっている」が33%、「検収が遅れている」が8%だった。日用品向けプラスチック金型を手掛けるメーカーは、「見積依頼や引き合いはあるが、取引先の在宅勤務や訪問禁止などによって、打合せができず、金型製作が進まない」と話す。
先行きへの不安は大きい。「ユーザーから生産計画の見直しの通達があり、今後さらに影響が大きくなるかも」と危惧する声や、「収束の目途が立っておらず、この先どうなるか」と不安感を示す声が聞かれた。自動車メーカーでは一時的に国内外の一部工場の操業を停止しているほか、7日には政府が緊急事態宣言を発令するなど、さらなる影響拡大が危惧される。
金型新聞 2020年4月10日
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