金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

01

新聞購読のお申込み

【この人に聞く】双葉電子工業精機事業センター長・ 河野透氏「ソフト・サービス分野へ拡大」

 双葉電子工業(千葉県茂原市、0475-24-1111)は昨年、2023年度(24年3月期)までの中期経営計画「Futaba Innovation Plan(フタバ・イノーベーション・プラン)2023」を策定した。金型用部品やプレートなどを手掛ける生産器材部門では、高品質なハード製品を核とし、ソフト・サービス分野への拡大を狙う。精機事業センターの河野透センター長に、具体的な取り組みや今後の方向性など聞いた。

ソフト・サービス分野へ拡大

 1959年生まれ、千葉県出身。83年明治大学商学部卒業後、双葉電子工業入社。2016年経営企画部長、17年精機営業センター長、20年精機事業センター長に就任し、現在に至る。

新しい中期経営計画での取り組みは。

 「モノづくりを基軸としたソリューションによる事業領域の拡大」を掲げ、新しい事業の創出に取り組む。顧客のニーズに対応した製品やサービスを開発していくつもりだ。5年後には生産器材部門の売上高を80億円増やすことを目指す。

なぜ、そうした取り組みを進めるのか。

 市場がこれまで以上に変化しているからだ。新型コロナの影響で、社会が大きく変化している。金型業界でも、「内需減少」「サプライチェーンの見直し」「人口減少」など環境変化による課題が懸念されている。こうした需要に対応できるようにお客様ファーストで取り組みを進めていく。

具体的には。

 ソフト・サービス分野への拡大を進める。一つは金型内計測システム「モールド・マーシャリング・システム(MMS)」のクラウドサービス化。昨秋から「MMS」で取得したデータをクラウド上で管理・閲覧できるサービス「MMSCloud」を開始した。昨夏からは活用方法が学べる「センシングスクール」も開校した。販売して終わらず、ユーザーの声を聞きながら価値のあるサービスを展開していきたい。

その他には。

 工作機械の稼働状況を監視する「工作機械IoTモニタリングシステム」、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」なども発売した。今後も「お客様に価値のある」新製品を積極的に開発していく。

既存事業では。

 カスタム品対応の強化に取り組む。当社のこれまでの強みはプレートやモールドベースなどを規格化した製品。しかし近年は、ニーズが多様化し、顧客図面での加工が増え、モールドベースの約8割(台数)は顧客図面での加工で受注している。そこでカスタム品の加工をより早く安定した品質で提供できる製造体制を構築する。3年間で約52億円の設備投資を予定しており、特に自動化に注力する。また、顧客から預かったCADデータを当社で使いやすくするための取り組みも進める。

 その他、協力工場を含めた全工場の稼働状況を把握し効率良く生産配分する仕組みも整えた。既に見積もりスピードの向上や納期の短縮といった効果が出ている。

17年に子会社化したカブク(東京都新宿区)とのシナジーは。

 昨年刷新したECサイト「フタバオーダーサイト」と、カブクが提供するオンデマンド製造プラットフォーム「カブクコネクト」との連携を進めている。将来的には当社オーダーサイトを通じて、プレートや金型部品に加え、治具や特殊部品などの製作依頼も可能な仕組みを整えるつもりだ。

海外のサービス体制は。

 他部門の拠点・販路を活用し、海外でも同水準のサービスが提供できる体制を構築していく。現状でもアフリカを除く地域に販路がある。海外展開する金型メーカーをサポートしていきたい。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

日本金型工業会 事務局長 川田 明美さん(58)
〜ひと〜

会員の声をカタチにしたい  昨年、金型メーカーで働く女性が現場の課題などを話し合った「かながた小町」を企画した。金型メーカー約420社が参加する日本金型工業会の行事の多くは経営者やマネジメント層が対象。「金型メーカーで働…

【金型の底力】山善金型 様々な顧客ニーズに応えられる会社に

限界を作りたくない生産工程を見える化 「様々な顧客ニーズに応えられる会社にしたい」と話すのは、山善金型の山下和也社長。同社は精密なプラスチック金型を武器に、日用品から自動車部品、医療機器など幅広い顧客を獲得。モットーは『…

【ひと】サンアイ精機 代表取締役社長 菊地 晋也さん

髭のサンタクロース 誰しも12月24・25日をワクワクして過ごした子供時代の記憶があるだろう。それはクリスマスプレゼントがもらえる日だからだ。「子供たちにとって記憶に残る楽しい1日を体験してほしい」。そんな願いを込めて地…

【鳥瞰蟻瞰】牧野フライス製作所プロジェクト営業部スペシャリスト・山本英彦氏「日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要」

大事なのは、自信を持つこと日本メーカーの力が持続可能な社会の実現には必要 1983年に牧野フライス製作所に入社してから、海外畑を歩んできました。キャリア当初は、アメリカ向け立形マシニングセンタや放電加工機の営業支援を担当…

【インタビュー】プロトラブズ ・今井 歩社長「当日出荷を開始」

オンデマンド受託製造を手掛けるプロトラブズ(神奈川県座間市、046-203-9100)は今年6月から、CNC切削加工サービスで「当日出荷オプション」の提供を開始した。これまで標準3日、最短翌日だった出荷をさらに短縮する。…

トピックス

関連サイト