金型・成形・組み立て、社内一貫 金型の技術生かし独自製品 金型メーカーが成形まで行うケースは増えているが、井上製作所は成形からプラスチック金型の製造に進出した会社だ。強みは、金型から射出成形、印刷、組立まで全て一貫生産で…
共和工業が三井化学のグループに
三井化学が11月下旬、大型プラスチック金型を得意とする共和工業をグループ化したと発表した。自動車事業を強化したい三井化学と、素材知見を高め、ユーザーへの提案を深めたい共和工業の戦略が一致した。連携による業界の強化を進めたい経済産業省の考えも後押しとなった。競争力強化に向けた連携や再編が加速する可能性もある。
三井化学は9月、共和工業をグループ化した。役員1名を派遣するが、共和工業の体制は変わらない。
三井化学は自動車などモビリティを重点市場と位置付けている。バンパーなどで使用されるポリプロピレンは世界トップシェア。しかし「軽量化が求められている中で、素材だけでなく、企画・デザイン、金型、試作までを提供する必要がある」(平原彰男新自動車材開発室長)ことから、金型技術を必要としていた。
一方、共和工業も素材、設備、金型の協業は不可欠との考えで、04年頃から事業の再編成を進めてきた。今回のグループ化について、岩渕学社長は「素材技術の知見を得られれば、予測技術や成形品に対する価値証明につながる」と述べた。また、素材メーカーと一緒になることで、特定の自動車メーカーとの関係を持たないことも要因の一つだったようだ。
元々、両社は関係が長く、最近では米国プラスチック技術協会(SPE)から表彰を受けた、自動車向け軽量化部品で共和工業の金型と三井化学の素材が使われるなど協業も進めていた。今回のグループ化で三井化学はこうした技術を活かして自動車メーカーへの提案力を強化したい考えだ。
経済産業省も金型業界の連携やグループ化には前向きで、その考えも後押しとなったようだ。素形材産業室の遠山毅室長も「金型メーカーも素材メーカーやユーザーと連携し、新たな付加価値を生み出すことは必要。連携が上手く進み、企業価値を高めていくことは重要だ」と業界内外の連携や提携などに賛成の姿勢を示しており、今回の動きが新たなグループ化を加速させる可能性もある。
三井化学
1892年三井鉱山のコークス事業が祖業。1941年に三井化学工業として設立し、62年日本で初めてポリプロピレンの製造を開始する。現在は総合化学メーカーで2014年3月期の売上高は1兆5660億円。
共和工業
1963年創業。大型プラスチック金型が主力。新潟に本社と大型向けの2工場のほか、アメリカ、タイに海外工場、メキシコ、中国に提携工場を持つ。メキシコ、中国に工場を持つ。13年の売上高は約70億円、従業員約320人。
金型新聞 平成27年(2015年)1月10日号
関連記事
精度・操作性が進化 金型メーカーに5軸加工機がかなり浸透してきた。制御技術や干渉チェック機能の向上、精度アップなど工作機械が進歩し、安心して使える機能が充実してきたからだ。だが何より、CAD/CAMの進化が大きい。多く…
出会い生み出せる場に 来年30周年、記念事業 全社参加の展示会 金型技術者、経営者らが集まる型技術協会は来年30周年を迎える。来年9月には、大田区産業プラザPiOで記念イベントを開く予定だ。「全会員参加で出会いの場を創…
ロボットや5軸最新の自動化を提案 幕張メッセ7月8日㈮〜9日㈯ 「産業とくらしの関東グランドフェア」が7月8日㈮・9日㈯、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕する。今年はテーマを「Smart Power,Resilience…
ミスミグループ本社(東京都千代田区、03-5805-7050)の2022年4‐9月期売上高は、3.2%増の1881億5800万円だった。営業利益は5.6%減の268億9800万円。全事業で需要減速の影響を受けたものの、為…


