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【特集】型材・部品

日本の金型は超大型、超精密、超微細、超短納期といった言葉が当たり前の時代になり、よりハイエンドな金型が求められている。例えば、自動車のホットスタンプや半導体関連など超精密、複雑形状な金型で、長寿命化やメンテナンス性の良さも必要だ。そのため、構成される部品の精度や形状、耐久性が金型の良し悪しに直結する。本特集では金型づくりを支える超精密で長寿命なパンチやピン、ベース、大物加工の受託など最新の金型材や部品、サービスを紹介する。

PART01:アッサブジャパン「ボーラーの寸法対応力」
PART02:オネストン「一品一様を短納期で」
PART03:シルバーロイ「開発力・技術力で圧倒」
PART04:大同DMソリューション「ワンストップで供給」
PART05:大同特殊鋼「ホットスタンプ専用」
PART06:チャンピオンコーポレーション「サイクルタイム短縮」
PART07:南武「出力1.8倍」
PART08:パンチ工業「総合カタログを発刊」
PART09:マツダ「生産性向上を提案」
PART10:ミスズ「寸法交差±1μm」
PART11:ミスミ「多様なラインアップ」

PART01

アッサブジャパン「ボーラーの寸法対応力」

冷間工具鋼「K137」

パンチ、ダイ、工業用刃物に

アッサブジャパンの「K137」はSKD11同等の冷間工具鋼。500年の歴史を持つオーストリアのボーラー製鋼所が日本市場向けに化学成分をJIS規格SKD11に合わせて開発した戦略鋼種。

パンチやダイといった金型部品からリサイクル業界で使用される粉砕刃などの各種工業用刃物まで幅広い用途(HRC56~61)に適した材料だ。

静岡県にある袋井事業所の豊富な在庫群の中でも、K137はボーラー製鋼所の最新鋭の設備と技術により、厚みは1.0㎜から135㎜、幅は20㎜から1020㎜までと広範囲な製造可能範囲と充実した在庫ラインアップを実現している。

汎用性のある鋼種と柔軟性の高い在庫寸法がユーザーの工数削減と効率的な材料活用を可能にする。

PART02

オネストン「一品一様を短納期で」

プレス用金型部品

大物金型部品の加工も

オネストンは商社機能と低コストかつ短納期で特注品受注に応える「一個づくり」で「お客様に迅速に良品をお届けする」ことに徹してきた。「一個づくり」は、午前中に図面を受け取り、早ければ翌日、表面処理が加わっても10日後には納品。特殊部品加工のリードタイム短縮にも役立つことが人気の秘密だ。図面なしでプレス金型部品を復元するリバースエンジニアリング事業も強化する。製品再現精度は+-0.05㎜を目指し、納期は最短で2週間。米国・ケンタッキーに工場を併設し小牧工場と同等設備を導入。米国での納期対応を迅速にし日米2極体制で対応する。

2020年、愛知県豊田市に豊田・堤工場が稼働した。コモンプレートなど大物金型部品の加工ができる設備を導入して受注体制をさらに強化していく。

PART03

シルバーロイ「開発力・技術力で圧倒」

各種超硬合金

1個受注にも対応

各種超硬合金やサーメット、セラミック、ヘビーメタルなど100種を超える材種の開発、製造を手掛ける。超高温真空焼結炉(1800℃)等の導入による柔軟な新素材開発力と多品種少量高品質生産により、必要とする性能、品質(高性能・安定性・均一性)に的確に応える。金型寿命が2~10倍になった事例も続々。HIP処理装置も増設し、能力を4倍に増強した。ワンデイサービスとして午前10時半迄に注文すれば、角形状の超硬合金素材は当日発送、 それ以降受注分と丸形状合金は翌日発送が可能。1個受注から対応する。

超硬合金に微細な孔開け加工や、ネジ付きの超硬素材(直タップ・直ネジ)の開発、研磨取代の最小化など、加工効率化を実現する画期的な超硬合金製造など高度な技術も有している。

PART04

大同DMソリューション「ワンストップで供給」

金型部材・加工・熱処理

複数の視点で課題解決策

大同DMソリューションは型材やプレートなどの部材、加工、熱処理までワンストップで金型部材に関する供給ができるのが強みだ。工程ごとに協力先に依頼する必要がなく、見積もりや発注の管理が容易になる。

ワンストップで手掛けることで、課題に応じた解決策を提示できるのも特長だ。例えば、「製品製造時のコストを削減したい」という要望があった場合。材料の適正化や、特殊加工技術、表面処理の最適化など複数の視点から改善を提案する。実際に、5000ショットを35000ショットまで引き上げ、コスト削減に成功したケースもある。

他にも「軽量化したい」や「コスト削減したい」といった様々な要望に対応する。また、全国に15か所の営業拠点を設け、迅速に対応できる体制も整えている。

PART05

大同特殊鋼「ホットスタンプ専用」

金型用鋼「DHA‐HS1」

成形サイクル向上

大同特殊鋼の「DHA—HS1」は、ホットスタンピング専用の金型用鋼。熱伝導率を高め成形サイクルを向上させるとともに、高硬度化や軟化抵抗を大きくすることで、金型の長寿命化を図った。

ホットスタンプは800℃超の鋼板を金型で200℃以下に急冷するため、材料には高い熱伝導率が求められる。DHA—HS1は室温で約36(W/m・K)という高い熱伝導率を実現。SKD61に比べ、約1.5倍の熱伝導率で、冷却時間を35%削減に成功した。

もう一つホットスタンプで求められるのは耐摩耗性。新材種はSKD61より硬い54HRCという高硬度化を図り、対摩耗性を高めた。さらに、熱による軟化抵抗をSKD61に比べ約10倍を確保。熱を加えても柔らかくなりづらく、金型の長寿命化につながる。

PART06

チャンピオンコーポレーション「サイクルタイム短縮」

サイクルタイム短縮

冷却効果を向上

金属機構部品メーカーのチャンピオンコーポレーションの「空冷専用ピン」が好評だ。冷却効果の高い水冷式が困難な金型や、成形品のボス形状が深い部位など、冷却効果が見込めない部位に使用することで、冷却効果を高めることができる。

同社の冷却効果テストによると、熱伝導率の高い銅材を使用し、常時加熱し続けた冷却ピンの先端部で温度測定したところ、40℃前後の一定温度で安定したという。

ただ、空冷ピンには、既定の規格が無いため、要望をヒアリングして、仕様を決める個別対応となる。同社では「お客様ごとに対応するので、要望に最適なピンを提供でき、最大限の効果が得られる。また、効率よく冷却することで、サイクルタイムが短縮でき、お客様の働き方改革の一助になれば」と話している。

PART07

南武「出力1.8倍」

タンデムシリンダ

サイズは内径φ63〜125㎜

南武の「タンデムシリンダシリーズ」は、1つのシリンダにピストンを2つ内蔵することで、引き出力と押し出力を約1.8倍にした中子抜き用の油圧シリンダ。

取り合いは標準型のシリンダと同じなので、油圧配管も1系統で使用ができるのが特長だ。射出圧でロッドの戻りがある場合には押し用モデルを使用し、鋳造後の製品にカジリが発生する場合は引き用モデルを使用する。押し用モデルはスクイズにも使用できる。

引きタンデムシリンダは、引抜力1・8倍は前進限から50 st分継続できる。また、引きタンデムφ80㎜相当の力で、φ110㎜クラスの出力が可能なので、金型のダウンサイジングにもつながる。サイズはシリンダ内径φ63~φ125㎜までをそろえた。

PART08

パンチ工業「総合カタログを発刊」

ガススプリング

仏社と伊社の製品を収録

ガススプリングの総合カタログを発刊した。日本で販売しているキリー社(仏)とボルディニオン社(伊)の製品をまとめて収録し、検索性を向上させた。

キリー社の製品は様々なストロークや荷重の選択に対応できるように170種類のサイズを追加し、商品ラインアップを充実させた。また、販売価格も見直し、平均10%ほどのプライスダウンを図った。ガススプリング本体の他、配管部品も掲載している。

一方、ボルディニオン社の製品はロッドガイドとロッドシールを一体化した独自の設計「NANOTECH2」を採用。剛性を向上させながら、潤滑切れにも強く、長寿命化を実現する。また、偏荷重に対する耐性も向上し、耐久試験では従来品の2.5~10倍の結果が得られた。

PART09

マツダ「生産性向上を提案」

超硬パンチ

長寿命、高精度

マツダは超硬素材を使用した超硬パンチの受注が順調に拡大している。主に特殊鋼を使用したプレス金型用部品群(パンチ・ダイ)に、超硬パンチを加え、一層の長寿命化や高精度化の要望に応える。超硬でありながら複雑な形状も全て研磨仕上げなので、さらに長寿命化を実現している。

独自の加工方法と卓越した加工技術で、短納期で、より高精度に仕上げることにより、顧客にマッチした製品を提供。要望性能に応じて最適なコーティング処理も提案する。リバースエンジニアリングや、一品生産にも対応する。

顧客の様々なニーズ、要求に真摯に的確に応える心と、それを具現化する技術は顧客からの評価が高い。積極的な設備投資でユーザーメリットを追求し、生産効率の向上、コストダウンに貢献する。

PART10

ミスズ「寸法交差±1μm」

ミガキレス金型部品

高精度パンチブランクも

パンチ・ダイの特注品を手掛けている。超硬加工を得意とし、規格品にはない複雑形状や、寸法公差±1.0μm、面粗さRa0.01μmまでの高精度部品に対応する。

強みは研削加工。鏡面プロファイル研削加工によって、磨きレスでの鏡面仕上げを実現する。コネクタなどの電子部品向け金型を中心に、シャープエッジな刃先が必要となる微細な打ち抜きプレス金型部品で多くの実績を誇る。

今年から1μmオーダーが可能な高精度パンチブランクの販売も開始した。全面を研削仕上げにて、キー溝・フランジの追加ができ、刃先のカキアゲは最小R15(縦目)まで対応が可能。

その他、金型部品の追込み修正や部分加工、薄膜DLCコーティング、リバースエンジニアリングなどにも対応している。

PART11

ミスミ「多様なラインアップ」

ガス抜き対策商品

ショート、ウェルド、ガス焼け

ミスミのガス抜き商品は、特にショートやウェルド、ガス焼け、転写不良、エアポケットなどの対策に適した多様な商品ラインアップを揃えている。

「通気溝付きフィルターピン」はピン先端にガス抜きフィルターを圧入しているため、成形品面からガスを抜くことができる。三角形状の通気溝が同心円状に配置されており、どの方向からのガスにも対応する。また、表面張力によって、樹脂流入でのバリも軽減できる。

「ポラベント」はステンレス材(SUS430相当)を焼結した20μmほどの微細な穴が空いた多孔質金属。成形品面全体からガスが抜けるため、外観不良や転写性を改善するのに適している。丸形と角形を揃え、自由なサイズや形状に加工することができる。

金型新聞 2021年10月10日

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