プレス金型やウレタン発泡成形金型を手掛ける黒田機型製作所は今年4月、事業再構築補助金を活用し、金属3Dプリンタを導入した。高い冷却効果が求められるバイオ樹脂向けの金型開発に着手する。主力の自動車業界に加え、新たな事業の柱…
3Dプリンタ活用を支援する研究開発拠点を開設 酒井仁史氏(NTTデータザムテクノロジーズCTO)【この人に聞く】
独EOS社の金属3Dプリンタの日本代理店を務めるNTTデータ ザムテクノロジーズ(XAM)。昨夏に、大阪市内に金属3Dプリンタ15台のほか、多様な検査装置を備えた「デジタルマニファクチャリングセンター(DMC)」を開設した。設計から造形までのプロセスや材料開発、品質保証までを支援し、3Dプリンタの活用のインキュベーションとしての機能を担う。「共創の場にしたい」という、酒井仁史CTOにDMC開設の狙いや導入の課題やAMの金型での現状などを聞いた。
さかい・ひとし
1978年生まれ、大阪府出身。ホンダ テクニカル カレッジ卒。2006年NTTデータ エンジニアリングシステムズ入社、20年AM事業部がNTTデータ NTT ザムテクノロジーズとして分社化、CTOに就任。
DMC開設の狙いは。
お客様と金属3Dプリンタの用途開発を広げる「共創の場」。お客様がどんな課題を持ち、何を造形したいか。それらを細かくお聞きし、プロセス開発や保証はどうすべきかなどを共に考え、最適解を提供する。プリンタを活用するための理解を深めて頂かないと広がっていかないからだ。
設備は。
3Dプリンタは金属15台、樹脂3台のほか、ラティス構造の設計や解析を利用した設計ができるエンジニアリングソフトなどをそろえた。プリンタでは、造形物の保証は欠かせないため、Ⅹ線を始め、多様な検査装置をそろえた。これも大きな特徴だと思う。これだけ多くのプリンタや検査装置があるので、必要なら受託加工も請け負う。
金型への適用の現在地をどう見るか。
様々な技術が進化し、自由な冷却水管の造形が可能になり、金型の冷却における課題の大半はクリアできる。今後はより高い冷却効果が必要なダイカスト型での需要がもっと広がるとみている。
課題はコスト。装置も材料も高く、導入は簡単ではない。また金型自体の保証が難しく、現時点では、専業メーカーの導入は中々難しいと思う。
コストを下げるには。
金型は表層部に切削加工が入るので、そこまで細かい設計は必要ない。しかし、逆に切削を入れづらい、冷却部は精度よく設計する必要がある。そうした使い分けでコストを下げることも一つ。
また、EOSはレーザーを4本搭載した「M400」という大型装置を発表した。単純に造形速度は4倍になる。レーザーの形状を最適化する技術なども登場し、高速化が進んでいるので、造形コストは下がっていく。
金型でもっと広がるか。
コストや保証の問題から、簡単ではないが、いずれ必要になる技術だと思う。ただ、導入前に技術、経営の両面から事業評価をしっかりしたほうがいい。DMCではそのサポートができるので、最大限活用して欲しい。
我々のビジョンは「AMをものづくりの当たり前にすること」。もっと、正しく、安く、造形ができ、金属3Dプリンタを当たり前の技術にできるようにサポートしていきたい。
金型新聞 2023年1月10日
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