金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

08

新聞購読のお申込み

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現」を目指し、様々な角度から取り組んでいる。

加工時間短縮、再生可能エネ活用も

まず、モーダルシフト。客先までのトラック輸送の見直しだ。建設中の岡山新工場は、2025年9月から稼働開始を予定しており、大垣から客先までの10tトラック輸送6~7往復を無くすことができる。これによりCO2排出量は1/10程度に削減できる。4年前に立ち上げた鈴鹿工場も同様の効果が確認されており、客先への納期短縮、輸送コスト削減にもつながる。そのほか、フェリー(船)の活用や、トラックを往復で活用することにより輸送効率の向上を図っている。

また、スケジュールコントロールが難しい面はあるが、機械の連続加工を週末に行うことで電力負荷が低い時間帯で制作する。金型の共用部を他の金型に流用すること(MONAKA構造の採用)も進めている。刃具の再研磨により寿命を延長すると共に、廃切削工具のリサイクル率は90%に達する。シミュレーション技術の活用も早くから取り組んできた。机上で問題点を洗い出し、未然防止することで製作時の環境負荷を低減すると共に、生産効率の向上を実現している。目指しているのは、1トライ合格であり、それが実現すると1型当たり200時間程度加工時間短縮できるという。

上石津工場太陽光パネル

再生可能エネルギーの活用にも積極的だ。

本社工場に太陽光パネル440kWを21年に導入。今年、470kWを追加し、合計で本社工場の消費電力の18%を賄っている。さらに、風力発電機400Wを試験導入し、照明に使用している。25年稼働する岡山工場にも太陽光パネル300kWを設置する計画で、岡山工場の消費電力の15%を賄う計画だ。近くを流れる川を利用した水力発電も検討中だ。

その他、照明の自動化やコンプレッサ圧の最適化、エアコンの自動制御や室外機への遮熱シート貼付などに取り組んでいる。

風力発電機を試験導入

今後は、生産管理システムを活用して部品毎のCO2排出量の見える化や、不稼働時間の短縮による能率向上、設備毎の電力使用量の見える化等に取り組み、ムダな電力消費を削減していく。

「電気代が高騰しており、電力消費の削減はコスト上も大きな効果がある。イニシャルコストはかかっても、長期的にはコストダウンにつながる。社会課題の解決に貢献しながら当社の存在意義を追求する」と齋藤社長。

齊藤浩社長

会社概要

  • 本社:岐阜県大垣市上石津町乙坂130‐1
  • 電話:0584・46・3191
  • 代表者:齊藤浩社長
  • 創業:1952年
  • 拠点:国内6拠点、タイ、中国(広州市・武漢市、福州市)、インド(出資会社)
  • 従業員:連結1811人
  • 事業内容:自動車用車体プレス部品、自動車用精密・電動化プレス部品、金型・治具・検具の設計・製作。

金型新聞 2023年9月10日

関連記事

フジイ金型が「6稼4勤」制度を導入したワケ

6稼4勤のシフト制勤務 「正規の労働時間を減らしたことで多能工化が進み、効率性が高まったことでコストの削減にもつながっている」と話すのはフジイ金型の藤井寛達社長。同社は月~金という従来の働き方をやめ、6稼4勤のシフト制を…

三菱重工工作機械 佐郷昭博氏に聞く<br>高精度金型向けマシン<br>段差ゼロ、誤差ゼロへ

三菱重工工作機械 佐郷昭博氏に聞く
高精度金型向けマシン
段差ゼロ、誤差ゼロへ

三菱重工工作機械が金型加工向け販売を強化している。小型機から5面加工機までラインアップを揃え、より高精度を求められている金型をターゲットに、最適ソリューションを提案する。その背景、今後の展開を佐郷昭博取締役トータルソリュ…

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く<br>新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

三菱日立ツール 増田 照彦 社長に聞く
新ブランド「MOLDINO」の狙いとは

この人に聞く2017 『金型命』で社員一丸  今年5月、三菱日立ツールが新ブランド「MOLDINO(モルディノ)」を発表した。英語で金型を意味する「MOLD&DIE」と、革新を意味する「INNOVATION」か…

【金型応援隊】植田機械 オンリーワンのヒントに出会う場に

オンリーワンのヒントに出会う場に  「来場者が未来を切り拓く技術に出会える場にしたい」と話すのは、金型設備総合商社・植田機械の植田修平社長。来年1月28~29日にインテックス大阪で開催する工作機械総合展示会「UMモールド…

【鳥瞰蟻瞰】ワークス代表取締役・三重野 計滋氏 時代が求める金型づくり

日本の技術力は世界一魅力のある金型を創り連携し海外に売り込もう  国内の需要が縮小し、海外との競争はますます厳しくなり、自動車の電動化が産業構造をも変えかねない状況の中、日本の金型に未来はあるのだろうか。このような悲観論…

関連サイト