プロテリアル(東京都江東区)は今年、日立金属から社名を変更し、新たな歴史に向けて再出発した。4月には金属材料と機能部材の2事業本部から特殊鋼、電線、自動車部品など9事業部に移行し、組織体制を強化。意思決定の迅速化など組織…
切削加工の領域を拡大 矢野雄介氏 (碌々スマートテクノロジー社長)【この人に聞く】
微細加工機メーカーの碌々スマートテクノロジー(東京都港区、03・3447・3421)は昨年、「碌々産業」から社名を変更した。創立120周年を迎え、これまで標榜してきた「微細加工機のリーディングカンパニーへ」から「微細加工のソリューションカンパニーへ」の変革を目指す。7月に社長に就任した矢野雄介氏に注力する取り組みや、今後の展開を聞いた。

1975年生まれ、静岡県出身。2001年東洋大学工学部卒業後、碌々産業(現碌々スマートテクノロジー)入社。22年取締役営業本部長、23年社長。座右の銘は、高杉晋作の辞世の句の一部、「おもしろきこともなき世をおもしろく」
ニーズの先を想像し、提案
注力する取り組みは。
一つはお客様の「困った」を解決すること。現場にはまだ顕在化していない「困った」がたくさん眠っている。このニーズを具現化し、解決策を提案していきたい。そのために昨年10月、「お客様困りごと技術相談室」という部署を立ち上げた。必要な技術を検討したり、適した人材を選任したり、お客様の課題解決に向けた指揮を執る指令室としての役割を担う。
なぜ、注力するのか。
加工機メーカーの差は、機械の性能面よりも顧客の課題に対してより具体的に提案できるかの方が大きいと考えている。アプリケーションとセットで提案できることが重要であり、そこに強みのある会社でありたい。ただ、当社が目指すのは「困りごと」を解決することだけに留まらない。ニーズよりもさらに先にあるものを想像して提案することだ。
具体的には。
切削加工の領域を広げることはその一つ。これまでレーザーや放電などの工法で加工していた被削材や形状を切削加工で可能にする技術開発に取り組んでいる。切削加工に置き換えることで加工にかかる時間やコストを大幅に削減できる。また、磨きなど人の手がかかる工程を極力減らす開発や提案も進めている。
機械開発の方向性は。
微細加工における複合化だ。工程集約によって、できるだけ他の工程や機械に渡らず、微細加工機の中で完結させることを目指している。再段取り無しで追い込み加工が可能なシステム「COSMOS(コスモス)」はその一例。今後は研削加工の領域を取り込みたいと考えている。
その他には。
大きいワークに対する微細加工のニーズはこれから増えてくる。例えば、燃料電池用金属セパレータといったワークサイズが大きく、高さ精度が必要なものなど。当社では現在、大物ワークに対応する高精度微細加工機「Vision(ビジョン)」の改良版を開発し、加工テストを受け付けている。あとは微細高精度加工の自動化。ワークのハンドリングだけでなく、クランプや切粉処理なども含めて提案していく。
金型業界に対して。
量産に金型が必須なのは変わらない。今後、製品側の要求精度はより厳しくなり、±1、2μmといった精度の金型が必要になる。当社はそうした金型の加工が可能な機械や技術を提供していく。
金型新聞 2024年1月10日
関連記事
廃棄部分の再利用も可能に 高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化…
オンデマンド受託製造を手掛けるプロトラブズ(神奈川県座間市、046-203-9100)は今年6月から、CNC切削加工サービスで「当日出荷オプション」の提供を開始した。これまで標準3日、最短翌日だった出荷をさらに短縮する。…
工作機械メーカーの倉敷機械は、金型加工の効率化を実現する機械の提案を強化している。 今年1月には5軸マシニングセンタ(MC)に横中ぐり機能を搭載した「KTR‐1200」を発売。この新型は中ぐり主軸を繰り出すことで、特殊工…
新たに福岡工場が稼働 射出成形事業を強化 自動車向けプラスチック金型の設計・製作を手掛ける中村精工(岐阜県岐阜市、058-388-3551)は1月、成形事業及び金型メンテナンスを行う福岡工場(福岡県飯塚市)を立ち上げ、1…