金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

15

新聞購読のお申込み

経産省素形材産業室 星野昌志室長が語る「素形材産業ビジョン」に込めた思い

経済産業省は3月28日、金型を始めとした日本の素形材産業が今後進むべき方向性についてまとめた「素形材産業ビジョン」を12年ぶりに公表した。3代目となる2025年版ビジョンでは、日本の素形材産業の現状や課題をまとめ、2040年に向けた具体的な数値目標を設定したほか、政府や産業界が取り組むべきテーマを整理した。同ビジョンを取りまとめた経産省製造産業局素形材産業室の星野昌志室長に、ビジョン策定の背景や今後の展開などを聞いた。

ほしの・まさし 
北海道出身。1996年上智大学卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2019年国際再生可能エネルギー機関、21年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部国際室長、23年現職

 前回から環境変化は。

大きく変わったのは、「GⅩ」「DX」「経済安全保障」。日本の製造業にとってこの3つが成長戦略の柱となった。これらに加え、素形材産業では自動車産業依存がさらに進み、海外需要の取り込みや人材不足、取引適正化などの課題が深刻化している。

 ポイントは。

これまでと異なるのは初めて具体的な数値目標を設定したこと。ビジョンを作るだけでなく、みんなで目標を認識し業界や企業の行動変容につなげたいという狙いがある。3年ごとにアンケート調査などフォローアップを実施するなど成果を確認できるような仕掛けづくりも行った。

 3つの目標を掲げた。

今回のビジョンの究極の目的は「稼ぐ力」を強化すること。そのために必要な目標が「需要先」「海外展開」「新技術」の3つ。航空宇宙や医療など高付加価値分野の需要先比率を3割から5割に拡大する。約3割にとどまる海外展開比率を5割に引き上げ、海外需要を取り込む。金属積層造形市場の世界シェアを現状の数%から世界トップレベルの2割に高める。これらが達成できれば、今後も日本のものづくり拠点としての機能は維持、強化されると考える。

 金属積層造形の国家戦略に言及があった。

世界シェア2割を目指すには具体的なロードマップが必要。どこに投資し、どのように人材を育成していくか。今後、有識者を交えて40年に向けた具体的なビジョンを策定していく。産学官連携の強化や地方拠点の支援が必要と考えている。

 目標達成に向けて必要な取り組みとは。

「GX、資源循環」「経済安全保障」「取引適正化」「DX、標準」「情報発信力、人材育成」「経営力、海外展開」「技術力」の7つ。これらは相互に関係しており、例えば「DX」については、CO2排出量の見える化といった「GX」のための「DX」もあるし、SNSなどのデジタルツールを活用した情報発信もある。金属積層造形などの新しい技術の導入にもデジタル化は必須だ。「DX」をいかに進めるかも目標達成の鍵になると思う。

 企業事例も公開した。

前向きな挑戦を行う素形材企業50社をまとめた。行動変容に向けて実際どう取り組むのか悩む企業は多いと思う。こうした実例を見て、参考にしてほしい。

 今後の展開は。

このビジョンを踏まえて、金型産業を始め素形材業界の変革につながること。そのためには、各業界で、ビジョンに魂を込めるような取り組みが一つでも多く生まれることを期待したい。そうした挑戦を国としても一緒になってできる限りのサポートをしていきたい。

金型しんぶん2025年5月10日号 

関連記事

【鳥瞰蟻瞰】碌々産業社長・海藤満氏「優れた人材の発掘と育成が新たな世界の創出につながる」

重要なのは加工技術者 優れた人材の発掘・育成が、新たな世界の創出につながる  いまや我々の日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンや極小な電子機器。これらは微細加工技術があったからこそ生まれました。ミクロンやナノとい…

「なりたい自分になれるかも」金型メーカーに就職した女性広報

狭山金型製作所 総務部 東香奈恵さん 総務部で営業のサポートや動画によるマニュアル作成などを担当する。そうした「本業」に加え、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで狭山金型の日常や取り組みを発信する金型メーカーでは珍…

【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」

勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜  1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展…

情報収集や課題解決の場に 砥粒加工学会 会長インタビュー

今年3月、研削や研磨など砥粒加工技術の振興、発展を目的とした活動を行う砥粒加工学会の会長に就任した清水大介氏(牧野フライス精機社長)。金型メーカーに対して、「生産現場に直結した技術の発信を行う砥粒加工学会を情報収集や、加…

トピックス

関連サイト