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日本金属プレス工業協会 久野忠博新会長インタビュー、交流深め、地域と国のパイプ役に

人手不足や事業承継問題に取り組む

「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス業界内の交流を深め、意見を統一し、経済産業省とも積極的に意見交換していくという。「人手不足対策や事業承継問題、取引環境の是正など業界としての課題に取り組む」と話す、久野会長に課題や今後の取り組みについて聞いた。

久野忠博(くの・ただひろ)1963年生まれ、愛知県出身。1987年名古屋工業大学卒業、三菱自動車工業入社、90久野金属工業入社。技術部門などを担当し、94年に取締役、2015年に社長就任。日金協では、19年から理事を務めており、25年会長に就任

業界や日金協の課題をどう認識しているか。

1つ目はこれまで日金協と地域の交流が不足していたこと。2つ目は人手不足。3つ目は事業承継がスムーズに進んでいない企業が多いこと。まずはこうした業界に共通する課題に取り組みたい。

具体的には。

日金協は全国9つの工業会や協同組合などで構成されているが、日金協と地域の交流が少なかった。日金協の正副会長会議に加え、地域の団体トップが意見交換できる場を設ける予定だ。地域の課題や意見を出してもらうほか、日金協の活動や方針を伝えるなど、双方向の交流の場にしたい。

交流で生まれたさまざまな意見を、昨年策定された「素形材産業ビジョン」などを参考にしながら、経産省に伝えていく。日金協の役割は地域と国をつなげるパイプ役だと思う。こうした取り組みによって、プレス業界の声を一つにして、日金協のプレゼンスを高めたい。

人手不足への取り組みは。

プレス業界も人手不足で海外人材の活用が欠かせない。ただ、海外人材を活用するにも、技能研修の制度面で運用しづらい点がある。海外人材の研修を受け入れやすくなるように訴えていきたい。

どういうことか。

プレス製品には溶接や切削など後工程がある。現制度では、後工程で最も重要な一つのスポット溶接作業の研修生の受け入れに課題がある。スポット溶接に関する専門職種がないため、研修生にスポット溶接だけを重点的に学んでもらうことが難しい。課題はあるが、プレス業界の人材確保のためにも、関係省庁などに働きかけていきたい。

事業承継も課題にあげている。

事業承継型のM&Aの話を聞く機会が増えるなど、後継者不足は大きな課題。一方で、後継者の人材の育成も重要だ。次世代を担う経営者同士の交流や自己研鑽の場は必要だと思う。若手の勉強や交流を目的に、正式に若手経営者の部会を発足させる。詳細や具体的な活動は今後詰めていく。

他には。

経産省が積極的に進めている取引環境の改善や型保管問題、価格是正、賃金アップについても、経産省と協力しながら、引き続き注力したい。

金型しんぶん2025年9月10日号

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