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バイオプラと漆の融合 豊栄工業が独自ブランドの酒器を販売

豊栄工業(愛知県新城市、0536・22・0696)は、バイオプラスチックに漆塗りを施したぐい呑み「Sakenomi(サケノミ)」を発売した。漆工芸品を手掛けるLavyBridge(ラビブリッジ)と協業し、商品化。漆塗りの色や模様は100種類以上から選べ、多様なニーズに対応する。国内外で販売していく考え。

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豊栄工業は、植物由来の糖を原料とした生分解性樹脂「ポリ乳酸(PLA)」を用いた製品の金型製作から生産、開発支援などを手掛ける。2007年から技術開発に取り組み始め、2011年にはPLAを採用した独自の幼児向け食器ブランド「iiwan(イイワン)」も立ち上げている。これまでに多くの開発実績を持ち、2018年には「ものづくり日本大賞」で最高の内閣総理大臣賞を受賞した。

「以前から漆塗りへの思いを持っていた」と話すのは美和敬弘副社長。植物由来のPLAに天然の樹脂塗料である漆を塗ることで、環境負荷をより低減し、付加価値を高めたいという狙いがあった。一方で、漆がPLAに密着しにくく、剥がれやすいという技術的な課題があり、商品化への大きな壁となっていた。

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漆工芸品を手掛ける企業と協業

そこで協業したのがLavyBridge。同社は京都の漆塗り職人と連携し、商品企画から制作、販売までを行っている。連携する漆塗り職人が手作業で20工程にも及ぶ塗り作業を繰り返し、課題だったPLAへの漆塗りを可能にした。豊栄工業ではPLAに漆を密着させるために下地処理を工夫するなどの研究開発を重ねていたが、LavyBridgeでは独自の下地処理なしで実現させたという。

また、LavyBridgeは伝統的な朱色や黒色だけでなく、従来の漆塗りの表現とは異なる色やデザインを提供できるのも特長。その種類は100種類を超えるという。今回発売したぐい呑みも多彩なラインアップから選ぶことができる。

美和副社長は「伝統技術と新しい素材の融合というところに面白みがある。双方の付加価値を高める取り組みだと考えている」と語る。具体的な販売方法は電子商取引(EC)や国内外のクラウドファンディングなどを活用し販売していく予定。販売価格は4万5000円(税別)。

漆塗り

 

 

 

 

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