金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

12

新聞購読のお申込み

大豊工業がアルミダイカストで「パワー半導体用冷却器」を開発、低コストで高い冷却性能

大豊工業(愛知県豊田市)はこのほど、アルミダイカストで「パワー半導体用冷却器」を開発。独自開発した高熱伝導材料を使用したことに加え、狭いピッチで細長い形状のフィンを立てる設計により、低コストかつ高い冷却性能を発揮する。

同製品の材料は、アルミダイカストで使用される「ADC12」と比較し、約2倍熱伝導率が高い。材料メーカーと協力し、オリジナル材料を開発した。フィンの隙間は0.46mmと狭ピッチを実現。隙間を狭めることで、フィンの本数を増やすことができるため、放熱性が高まる。

アルミダイカスト製「パワー半導体用冷却器」
狭いピッチで細長い形状のフィンを立てる設計

形状の自由度が高いダイカストの特徴を活かし、フィンの形状を細長くすることで、圧力損失も改善した。また、鍛造と比較しコストを約30%削減できるという。「鍛造は複数の金型、複数工程が必要になるが、ダイカストは1つの金型、1工程で製造できる」(篠原BASE 齋藤悠太主任)。

同社は顧客への提案領域を広げるため、アルミと銅の「ハイブリッド冷却器」も開発。アルミと銅板を固相接合により一体化することで、冷却性能をさらに高めた。「アルミダイカストのみでは、冷却性能の向上に限度がある。一方、全てを銅にするとコストが高く、重量も重くなるため、ハイブリッド方式で開発した」(齋藤主任)。

アルミと銅の「ハイブリッド冷却器」

同社は自動車の内燃機関部品で培った要素技術を活かし、新領域の開拓を進めている。「先行きが見通せない中で、新製品を開発するにはスピード感が必要だ。そのため、今年の4月にアジャイル開発拠点『篠原BASE』が稼働した。篠原BASEでは電動化へ対応するため、バッテリーやPCUユニットで使用される部品などを開発しており、パワー半導体用冷却器もその中の一つだ」(篠原BASE野中照美リーダー)。

今後について、齋藤主任は「アルミダイカスト冷却器は、金型が薄いため耐久性が課題。一般的なダイカスト金型と同等の耐久性を持たせることが目標だ。現在、耐久試験を実施しており、検証を進めていく。アルミと銅のハイブリッド冷却器については、より最適な接合方法を模索する」と話した。

金型しんぶん2025年10月10日号 

 

 

関連記事

東京精密 切粉の噛み込み検知システムを発売 加工不良を未然に防止

東京精密(東京都八王子市、042-642-1701)はこのほど、マシニングセンタ(MC)の主軸部とツーリング部の間への切粉の噛み込みを検知するATC(オートツールチェンジャー)触れ検知システムの新型「RD10」を発売した…

ソディック 未消耗の面で加工、高品位に

ワイヤ回転機構を搭載  ソディックは、世界で初めてワイヤ回転機構を搭載したワイヤ放電加工機「ALアイグルーブエディション」を開発した。  ワイヤを回転させながら加工することで、高精度で高品位な面が得られる。段差加工を簡単…

C&Gシステムズ AIQに量産管理に対応する新機能を追加

C&Gシステムズはこのほど、工程管理システム「AIQ(アイク)」の新バージョンの販売を開始した。量産管理に対応する新モジュールを新設し、金型だけでなく、成形メーカーでの適切な資材調達に貢献する。 アイクは金型メー…

工作機械の稼働状況を監視
双葉電子工業

IoTモニタリングシステム  双葉電子工業(千葉県茂原市、0475-24-1111)はこのほど、工作機械向けIoTモニタリングシステムを発売した。工作機械の稼働状況をクラウド上で管理し、モバイル機器から稼働実績を把握する…

松浦機械製作所 5軸立形MC「MXシリーズ」に直径420㎜対応の新機種

松浦機械製作所(福井県福井市、0776-56-8100)は、5軸制御立形マシニングセンタ「MXシリーズ」に、最大工作物寸法が直径420㎜×高さ300㎜の「MX‐420PC10」を追加し発売した。 長時間無人運転や変種変量…

トピックス

関連サイト