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オープン・マインド・テクノロジーズ・ジャパン 切削パスを積層用に自動変換【特集:金型づくりのAM活用最前線】

hyperMILL AM

金型の肉盛溶接や異種材料の結合(バイメタル)などで活用され始めているDED(ダイレクト・エナジー・でポジション)方式のAM装置。同方式で課題の一つとなるのが積層用のパスの作成。切削とは異なる動きをするパスを作成する必要があることに加え、積層できるパスなのかどうかで頭を悩ます設計者は多い。

オープン・マインド・テクノロジーズ・ジャパンのDED方式に対応したAM用のCAM「hyperMILL(ハイパーミル)AM」は、切削用のパスを積層用に置き換えることで、こうした課題を解決する。

切削パスを積層パスに自動で置き換える

 同ソフトは5軸加工対応CAD/CAM「ハイパーミル」の「リワーク機能」を拡張した。同機能は5軸用パスをゼロから作成せず、過去に作成した3軸用のパスを5軸加工用のパスに置き換える。「それを極限まで拡張したのがハイパーミルAM」(菅井晃社長)。

ハイパーミルAMでは積層専用のパスは作成せず、従来からの数多くの切削用のパスを利用し、それを自動で積層用のパスに置き換えることができる。積層パスの設計者が「(どういうパスが最適なのかと悩む)手詰まりが減らせる」。

ソフトだけでなく、造形の知見を高めている

同社ではソフトの開発だけでなく、国内外のAM装置を持つ研究機関でソフト開発者やエンジニアに造形を実体験させるなど、造形に関する知見を高めている。「AMは熱の影響でパスが同じでも、送り速度や冷却時間が異なると形状が大きく異なってしまう。ソフトを知っているだけでは提案が難しい」(菅井社長)からだ。

開先(かいさき)加工の最適化がその一つ。開先は肉盛り積層する前に、きれいに積層を行うために金型の一部を除去する加工。何㎜程度を開先するのが最適かなど「ユーザーと一緒に検討しながら進めている」という。

肉盛り積層では開先後に積層造形し、仕上の切削加工をするのが一般的。ハイパーミルはワークを別の加工機に移動させても、ワークの任意の設置位置にパスを自動補正する「ベストフィット」という機能を持つなど、機能面でもAMの効率化をサポートする。

今後について「AMはこれからの技術。ソフトの性能向上だけでなく、熱制御や造形手法などの知見を高めていく」(菅井社長)。

金型しんぶん2025年11月10日号

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