JIMTOF2022で次世代の技術としてひときわ注目を集めたのがデジタル技術だ。IoTやAI、クラウドなどを活用し機械の稼働状況監視や加工の不具合低減に生かす。金型づくりでもデジタルトランスフォーメーション(DX)が課題…
製造業対抗ミニ四駆大会 製造業のプロが本気でバトル
金型をのせたトラックやチェーン駆動のトラック、3匹が連れて泳ぐ鯉のぼり。個性豊かなマシンがコースを駆け抜ける。勢い余って飛び出せばコースに復帰させるためドライバーが全力で駆け寄る。デッドヒートで最終コーナーを回ると熱を帯びた歓声が会場を包む。
今年5月24日、大阪工業大学梅田キャンパスで開かれた製造業対抗ミニ四駆大会。製品試作や切削油、樹脂加工などを手掛けるものづくり企業や大工大の学生による32チームがレースに参加。それぞれの技術を活かしカスタマイズしたマシンで速さを競った。

開催する目的のひとつが『子どもや学生にものづくりの面白さを魅せる』こと。主催するザ・クラフターズの戸屋加代会長(MACHICOCO社長)は、「『ものづくり』は楽しくて面白いこと。そして『ものづくり』という仕事があること。それをまず子どもたちに知ってもらいたい」と話す。
そう思うのは現代の子どものものづくりへの理解が浅いと感じるからだ。例えば、子どもにペットボトルがどうやってできるかを尋ねると『作られてできた』という認識がない。金型や加工はおろか『ものづくり』ということへの知識がほぼないという。

加えて、ものづくりの負のイメージが浸透していることも影響していると感じる。職場環境は『きつい』、『汚い』、『危険』と事実と違うイメージが先行している。携わる人が自身が自社のものづくりを面白いと自覚できていない。芸能やアパレル、ITなどと比べると華やかに見えない。
子どもがものづくりの魅力に触れる機会をつくれないだろうか—。ザ・クラフターズのメンバーがある時ふと口にしたアイデアが製造業対抗ミニ四駆大会だった。ミニ四駆は世代を超えて親しまれゲーム性もある。独自の技術でカスタムしたマシンを走らせたら。アイデアはみるみる膨らんだ。

大会には参加チームが本気で工夫を凝らし作り上げたマシンで出場する。コースや優勝トロフィーもザ・クラフターズのメンバーによる手作りだ。戸屋会長は、「大人がミニ四駆に夢中になって、喜び、悔しがる。そんな姿を見て子どもにもワクワクしてもらえたら」。
そしてこの大会は参加者と観客との距離が近く、気軽に話せる。学生にとっては会話を通じてものづくり企業が持つ技術や、技術者の仕事への姿勢や理念を垣間見ることもできる。自身の進路を決めるとき、大会での体験が参考になるかもしれない。
戸屋会長が次世代にものづくりの魅力を伝えよう取り組むのは、中辻金型工業の創業者である父への技術者として畏敬の念が根底にある。「培ったノウハウや経験で無から有を生み出す。そんな職人の技の素晴らしさと、ものづくりの魅力をもっと多くの子どもに伝えていきたい」。
金型しんぶん2025年11月10日号
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