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共和工業 大型部品、素材から成形まで提案、工具全体の最適化目指す【Innovation〜革新に挑む〜vol.15】
バンパーやユニットバスなど幅広い分野の大型樹脂型を手掛ける共和工業。素材から金型、量産成形まで幅広く提案できるのが強みだ。大型金型は加工量が多いため、「加工時間の短縮が差別化要素になる。最適な工具を選択することで加工全体の最適化を図りたい」(製造技術部の笠原竜憲課長)という。同社とモルディノの協業による、加工効率改善の取り組みを取材した。

多様な大型樹脂金型が強み
共和工業は1963年、松井恒雄氏が創業し、当時からプラスチックの大型金型を強みに業容を拡大してきた。特長はその顧客の幅広さだ。バンパーなど自動車部品のほか、ユニットバスなどの住宅設備、タンクや浄化槽などの産業資材を手掛ける。金型メーカーでは国内最大の型締め力4000tの試作用射出成形を持つ。
2014年には、三井化学のグループ会社になったことで「川上(素材)~川中(金型)~川下(量産成型)まで関与した提案ができる」(須藤信成社長)ことが大きな強みだ。

素材、金型、量産までをカバー
技術の幅が広いのも特長だ。自動車では、14年にオール樹脂製のバックドアの金型を開発。全米プラスチック協会のエクステリア部門で最高賞を受賞した。
また、サンドイッチ成形を活用し、スーパーの使用済み発泡材をコア層に利用した「エコベンチ」や、13㎜の厚肉で2000㎜×1400㎜の透明な大判サイズで歪みのない成形品を生み出す金型など多様な技術を持つ。「豊富な経験が強みで、どんな要求にも対応できる力がある」(笠原課長)。

産学連携で複合材・樹脂リサイクル技術の開発
自社だけでなく、産学連携による技術開発も進めている。名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)とは樹脂リサイクル技術の共同研究を行うほか、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)とは炭素繊維をはじめとした革新複合材料の研究開発を行っている。

長年のタッグから生まれたプロジェクト
同社が手掛ける大型金型は切削量がぼう大であるため、切削工具の改善によるコスト削減効果は大きい。同社では、これまでもいろんな改善に取り組んできた。長年そのタッグを組んできたのがモルディノだ。
両社の関係は長く、最初の出会いは35年以上前。モルディノが旧社名の日立ツール時代に開発したリブ加工用工具「リブスター」を採用したのがきっかけだ。その後も、丸駒カッタの加工を高送り工具「アルファ高送りラジアスミルASR」に置き換え「3割~5割くらい加工効率が改善」(笠原課長)するなど、実績を積んできた。

工具置き換えで、磨き時間3割減
こうした関係がベースにあり、昨年共和工業から改善提案のテーマをモルディノに投げかけ、複数のプロジェクトがスタートした。一つが平面の仕上加工の改善だ。
「そのワークは、従来はサーメット工具で加工していた。しかし、顧客からの磨きの要求が厳しくなり、磨き部門から『カッタマークをもっと無くせないか』」(笠原課長)と打診を受け、モルディノに相談した。
モルディノが提案したのは、多刃仕様で底面の仕上加工に最適なアルファポリッシュミルVタイプ「ASPV」。「正直、従来工具で発生していたカッタマークを無くすのは難しいと思っていたが、使ってみると平面度が極端に改善した」という。結果は「加工後の磨き時間を30%削減でき、工具寿命は1.5倍、加工時間も40%減らせた」。

2本の工具を使い加工時間減らす
目下取り組むのがリブ形状の加工効率の改善だ。「現在受注を伸ばしたい金型がある。その金型はリブ形状が多く、部品点数が100以上あるため、加工時間の短縮が欠かせない」(笠原課長)。加えて「リブ先端のR部をきれいに仕上げる必要があり、その加工に時間が掛かっていた」という。
モルディノは、このR部の加工をあえて工具2本を使い、加工時間を短くする提案をした。ボールエンドミルのエポックメガフィードボールエボリューション「EMBE」の側面刃を使用するパスで荒加工を行う。その後、エポックリブエンドミル「EPRB」でリブの仕上加工を行うというもの。
笠原課長は「1本で早く仕上げる方法を考えていたが、2本使うという工具メーカーならではの提案に驚いた」と話す。結果は現在検証中だが「大幅な加工時間の短縮は図れそうだ」という。
工具全体の最適化
こうした改善の積み重ねの先に狙うのは「工具の全体最適化」だ。笠原課長は「大型金型は加工時間が長く、切削量も多い。荒加工で3日、中仕上加工に1週間、仕上加工に2週間かかることもある。それゆえ工具改善の効果は大きく、今後も改善は続ける」と話す。ただ、将来は「一部の加工改善だけでなく、荒加工から精度よく仕上げることで、トータルの加工時間短縮につながるように、加工全体での工具の最適化を追求したい」。
エンジニアリングサービス企業へ
今年4月に就任した須藤社長が掲げる共和工業のあるべき姿は「モールドソリューション」企業だ。意味するところは、金型を中心に顧客の課題を解決できるエンジニアリングサービス存在だ。それには納期を短縮できる加工方法の確立は重要な要素になる。工具全体の最適化を進めることで、さらなる課題解決力を高める考えだ。


会社概要
- 本社 : 新潟県三条市直江町4-18-18
- 電話 : 0256・34・4441
- 代表者 : 須藤信成社長
- 創業 : 1963年
- 従業員: 293人
- 事業内容 : 熱可塑性・熱硬化性大型樹脂金型 開発試作型、複合材各種成形金型製造 プラスチックエンジニアリングサービス
金型しんぶん2026年9月10日号
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