オンラインで成果発表 金型づくりを学ぶ学生が出題テーマの金型を設計・製作し製品を成形するまでの取り組みを発表する「第13回学生金型グランプリ」が4月15日、オンラインで開かれた。プラスチック金型部門で4校、プレス金型部…
この人に聞く2016
かしこい 金型研究会 高橋 百利会長
もの言う金型づくり
必要な情報を金型が収集
クライムエヌシーデー(相模原市南区)や慶応義塾大学などは共同で、IT技術を生かし、プレス金型に新たな価値を加える研究を行う「かしこい金型研究会」を立ち上げた。あらゆるものがネットにつながるIoT時代を迎え「もの言うかしこい金型を作るべきだ」という。発起人でもあるクライムエヌシーデーの高橋百利会長に目的や狙い、IoTなどについて聞いた。
―同会を立ち上げた目的は何でしょうか。
「これまで金型づくりのテーマは低価格、短納期、高品質という軸しかなかったが、それでは限界がある。金型に新たな価値を加え、高度化した競争を展開しなければならない。成形品を輩出する単なる道具からIT技術を生かした、かしこい金型に変える必要がある。それを研究し、形にしていくのが目的だ」
―かしこい金型とは。
「例えば、絞り型では、材料の2枚打ちを検出できず型を壊したり、ピアスポンチが欠落したまま生産を継続したりする事故が起きている。こうした問題に対し、自ら処理でき、警告を発し、なおかつ過去の情報などを蓄積しそのデータを発信できる、もの言う金型をイメージしている」
―具体的な取り組みやテーマを教えて下さい。
「パンチの折損やスクラップの滞留など検査して自動で対応できたり、様々な記録を記憶できたりして、メンテナンスの効率化につなげることなどを想定しているが、大半が特許性を帯びているので詳細は言えない。現時点では8つのテーマを研究しているが、近く第一弾を発表する予定だ」
―IoTは金型メーカーにとって意味があるのでしょうか?
「金型メーカーに直接的な恩恵は少なく、むしろ金型を管理したいユーザーに効果は大きい。けれど、ユーザーがIoTを進める上で、必要となる情報を金型側で収集できれば、その金型の価値は高まる」
―必要な情報とは。
「例えば金型の戸籍、購入部品情報、管理すべきポイント、メンテナンス情報などがあるだろう。重要なのはそうした情報はユーザーの要望に応じ、マーケットインの考え方で収集すべきだ」
―今後の展開は。
「勉強会ではなくあくまで研究会。自ら汗を流し、行動し、結果を求めていく。まずは今あるテーマを具現化する。将来的にはプレスだけでなく、樹脂やダイカストなどへの展開も検討していく。そして、金型メーカーが将来も夢を見られるように力を合わせてやっていきたい」
かしこい金型研究会メンバー
▽会長=高橋百利会長、副会長=青山英樹教授(慶應義塾大学)会員=久野拓律社長(アデック)、今村康社長、松林毅上席スペシャリスト(日本ユニシス・エクセリューションズ)、近藤大輔社長(ハルツ)など ▽事務局=高橋啓太社長(クライムエヌシーデー)▽特別アドバイザー=中川威雄会長(ファインテック)
金型新聞 平成28年(2016年)6月3日号
関連記事
NTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区)は7月、沖縄県うるま市に、5軸加工や自動化を支援する「Mold Future Space‐OKINAWA(MFS)」を開設した。まずは5軸加工機の販売から加工ノウハウ…
大型機中心に年20台 牧野フライス製作所は、大型加工機を中心にレトロフィットやオーバーホール事業を強化する。年間で最大20台程度対応できる体制を整え、今年度内には同事業の売上高を3~5億円を目指す。 子会社の牧野技術サー…
前号では、日本金型工業厚生年金基金の制度移行に伴い、年金を退職金化することで得られるメリットなどを紹介した。では、そうした場合に加入者にはどの程度の負担や効果があるのか。より分かりやすく解説するために、モデルケースをも…
バンパーやグリルなどの自動車部品を中心に、家電製品、一般産業用品といった幅広い産業分野のプラスチック射出成形用金型を手掛ける明輝(神奈川県厚木市、046-224-2251)。同社は20年以上に渡ってMOLDINOの切削工…