脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…
がんばれ!日本の金型産業特集
山内エンジニアリング 山内 章 社長
常識を打ち崩す金型づくり
切削加工をプレス化
円筒形状部品の内径に溝やネジ形状を汎用プレス機で加工できる金型に挑戦する企業が、神奈川県相模原市にある。山内エンジニアリングは昨夏、サポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)に採択され、今まで切削していた加工をプレス加工に置き換える技術開発を進めている。
通常、上下に動くプレス加工では、左右の動作が必要な内径加工は不可能。しかし同社は、カム機構を利用した金型によってそれを実現する。ただ、山内章社長は「型構造が複雑になり、クリアランスの取り方など超えるべきハードルは多い」とまだまだ改善が必要だという。
元々は金型設計事務所からスタートした同社だが、社内で組立やトライなども手掛け始め、徐々に金型メーカーとしての色を強めていった。そうした中、「納期や精度の面から、加工も社内で手掛けた方が良い」と、今回のサポイン採択によって、マシニングセンタやワイヤ放電加工機などを設備。高精度、高付加価値な案件は設計から加工、組立、トライまで全て社内でできる体制を整える。
とくにモータケースやインジェクションノズルなど深絞り型を得意とする同社だが、今後の展開について、「金型にこだわらず、ここでしかできないものを手掛けていきたい」と話す山内社長。サポイン事業のほかにも、ロボットを活用したプレス装置やバリが出ない装置など、既存の技術を土台にした新しい取り組みに挑戦する。「今後も常識的なことをいかに崩していくかという切り口で取り組んでいく」。
金型づくりの全工程ができる人材
同社では、顧客との打ち合わせから型設計、加工、組立、トライ、納品まで1つの案件に対して1人の従業員に全てを任せている。「改善の余地がない金型は存在しない」という山内社長は、「納品したものでも、こうすればもっと良くなったかもしれないと常に考える。ただ、そう考えたり、それを次に活かすには、金型づくりのことを全て分かっていて、全工程に関わっていないとできない」。こうした考えから、全ての従業員が高い技術力を持てるような育成を行っている。
ただ、こうした全ての仕事を任せられるまで育てるには、「最低でも10年はかかる」という。そうした中で山内社長は、「教える側の根気も大切だが、学ぶ側の姿勢も大事だ」と話す。
1998年の創業時から務めている大西堅幸専務は、設計出身だったが、徐々に組立や加工などの技術を身に付けていった。「技術者として成長するには、どう志を持つかが重要。自分の場合は、金型づくりの全てに携わりたいと思っていた」と話す。金型づくりの魅力については、「プロセスや構想を考えて、それを実現できること」だという。
昨年4月には、技術者だけでなく、営業担当者を1人採用した。「新しいことに挑戦するためには、その種となるものをこちらから見つけにいかないといけない」。そのほかにも、学会に入会し、セミナーや展示会を通じて新しいネットワークを構築するほか、海外メーカーとの連携なども視野に入れる。今後も金型づくりの可能性を追求し、必要とされる企業を目指す。
会社メモ
代表者=山内 章 氏
創業=1998年
所在地=神奈川県相模原市中央区田名2327-2
資本金=500万円
TEL=042-713-1980
FAX=042-713-1981
従業員数=6人
事業内容=プレス金型設計・製作、プレス加工、コンサルティング。
企業理念=一、感動する「ものづくり」 一、感激する「ものづくり」 一、感謝される「ものづくり」
主な設備=マシニングセンタ(オークマ)1台、ワイヤ放電加工機(ソディック)1台、平面研削盤(黒田精工)1台、NC旋盤(滝澤鉄工所)1台、プレス機160t、150t、80t(アイダエンジニアリング)各1台、三次元測定機(TESA)1台、形状測定機(ミツトヨ)1台、表面粗さ測定機(ミツトヨ)1台、CAD/CAM(C&Gシステムズ)5台など。
金型新聞 平成29年(2017年)2月10日号
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