4月に本学にある、地域連携スマート金型技術研究センター内に「次世代3次元積層技術研究会」を立ち上げました。活動は金属3Dに関連した研究会と勉強会ですが、岐阜大が目指すのは金属3D積層技術を生かした金型づくりを社会実装する…
トヨタ紡織と技術協定
岩手大学
今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の教育などにもつなげたい」と話す岩手大学の岩渕明学長に協定締結の経緯や連携で期待することなどを聞いた。
岩渕 明学長に聞く金型など共同研究
きっかけは?
当大学が持つ金型技術を中心とした学術的知見を活用したいというトヨタ紡織の意向から今回の協定締結に至った。当大学としては金型だけでなく、電気や化学といった他の分野も含めて大学全体で連携したいという考えがあり、「包括協定」という形になった。
具体的にはどんな研究開発を行うのか?
基本的にはトヨタ紡織から研究開発テーマが与えられ、それに対して取り組む。すでにいくつか与えられており、その一つが、「プレス不良の検知」。今まで目視で検査していた亀裂やしわなどのプレス不良を音や画像でモニタリングすることで自動検知できるシステムを開発する。そのほかにも成形時のシミュレーション精度の向上や腐食・防食などについて研究する予定だ。
大学全体で連携する意味は?
大学ではシーズは豊富にあるが、どこにニーズがあるか分からないということが少なくない。あくまで与えられたテーマ次第だが、大学全体で連携することによって異分野との交流が生まれ、樹脂の新素材など新しい研究開発につながることを期待している。
研究の意義感じて欲しい「技能」を「技術」に
その他に期待することは?
学生のモチベーションアップにもつながると考えている。学生にはこの研究交流に参画してもらい、自分たちの研究が社会にどう活かされているのかを見てもらいたい。どうしても研究開発というと技術の新規性が評価されがちだが、普段から学生には「我々はエンジニアリング。生産性向上やコスト低減を実現する技術も価値が高い」と話している。それを実感してほしい。
岩手大学は金型技術の研究を行う数少ない大学ですよね?
2003年に「金型技術研究センター」を設立した。当初は微細金型技術の研究開発に取り組んでいたが、4〜5年前に1000tのプレス機を導入してからは自動車向け金型技術の研究にも取り組んでいる。金型という基盤技術がなければ先端技術の社会実装はあり得ない。大学として金型技術を研究することは意味があるし、次世代自動車などによって今後さらに需要は高まるだろう。
研究開発に人手を割けない企業も少なくないと?
以前から大学の役割は、「技能」を「技術」にすることだと考えている。科学的に考えて数値化することで経験や勘だけに頼らないものづくりが可能になる。人手不足が深刻化する中、大学が企業の代わりに研究開発を担うというケースは今後増えていくはずだ。
金型しんぶん 2019年5月14日
関連記事
多台持ちで生産効率化 ジーシステムはプレス金型用プレートなどの研磨加工を手掛ける。車の電動化や5Gの広がりを背景に電子部品向けの需要が拡大している。於保信一郎社長は、「さらに効率化して生産性を高め、需要に応えていきたい」…
EV化への対応加速 まつい・だいすけ1975年生まれ。大阪府出身。2000年龍谷大学国際学部卒。1999年同社入社(在学中にアルバイト入社)、2009年取締役製造部長、21年代表取締役に就任。座右の銘は「意志あるところに…
金型業界に特化した調査やコンサルティングを手掛けてきましたが、2018年にバイオ樹脂の一つである「ヘミセルロース」の開発や成形に乗り出しました。社名にある「革新」的なことを実現するには、コンサルティングだけでは限界がある…
「お客様が求める油を作りたい」と語るのは、サンコーオイルの菅大祐専務。同社ではユーザーが求める価格帯や性能、さらには環境への影響まで考慮し、オーダーメイドで切削油の製造を行い、好評を得ている。 切削油のオーダーメイド…