日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)が今秋に制度移行を進める狙いは、現制度で抱える課題を解決するとともに、退職金の年金化など福利厚生の持続可能な制度の構築にある。以降2号にわたり、今の大きな3つの課…
大型化する金型 型重量は15年で1.6倍【特集:大型化する金型への対応技術】
部品の一体化や多数個取りなどに加え、ギガキャストが登場したことで、金型の大型化は進んでいる言われる。しかし、大型化の定義が明確でなく、客観的に示すデータもない。ただ、型重量の増加=大型化とは言い切れないが、一型当りの重量の推移は参考にはなるだろう。では、この15年で型重量はどう変化したのだろうか。

過去15年の1型当りの重量の変化を見ると、その増加量は明らかだ。全ての型種の合計で2010年に186㎏だったものが、24年には286㎏超の約1.6倍にまで増えている。
最も顕著なのがダイカスト金型だ。10年に1200㎏だったものが、24年には2.5倍の3000㎏にまで増えている。ちなみに、プレス型は1.8倍、プラスチック金型も1.6倍と重量は増加している。
ただ、必ずしも型重量の増加=金型の大型化とは言い切れない。成形品の高度化で鋼材が変化したり、スライドコアなど部品点数が増加したり、冷却効果を高めるために型構造が複雑化したりしているからだ。しかし、重量は大型化を裏付ける一つの指標にはなるだろう。
では、なぜ大型化は進んでいるのか。一つが成形部品そのものの大型化だ。モータコアやバンパーなどが代表的。生産性向上のための大型化も理由の一つで、多数個取りなどが最たる例。リフレクタの金型など意匠性や機能を高めるために大型化しているものもある。 いずれにしても、金型が大型化すれば金型づくりも大きく変化する。大型の設備はもとより、加工、測定方法などこれまでにない課題も発生する。以降では、大型化している金型に対して、先行して取り組む金型メーカーの対応策などを取材した。
金型しんぶん2025年5月10日号
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