ソフトや機械が補完 加工前のセッティング、ハンドツールによる磨き、加工誤差の補正―。金型づくりでは今なお様々な場面で高度な技能が必要だ。しかし熟練技能者が少なかったり、若手技術者に指導する時間が無かったり。インターモール…
がんばれ!日本の金型産業特集
武田金型製作所 武田 修一 社長
独自路線に磨き精密金型の技術で自社ブランドも
動画サイト「ユーチューブ」に、金属の板から文字が飛び出したり、消えたりする魔訶不思議な動画がアップされている。これを製作したのが、新潟県燕市で自動車や家電、建築部品向けの順送プレス型を得意とする、武田金型製作所だ。ワイヤー放電加工機で加工したものだが、その寸法精度は1000分の3ミリと超精密。武田修一社長は「金型が高精度技術の組み合わせでできていることをアピールするために製作した」という。
同社は、こうした高い技術力に加えて、自社ブランド製品の販売にも取り組む。10年ほど前に自社ブランド「mgn」を立ち上げ、名刺入れやスマホカバーなど、一般消費者向けの製品を企画から設計、製造、販売までを手掛けている。5年前には、販売子会社を設立し、ネット通販を中心に年間4000万円ほどを売り上げるまでに成長した。
「社内で使う型は自由に製作できるので、コスト削減や生産性向上のために設計や材料など色々と工夫ができる」と武田社長は自社製品を製作するメリットを話す。こうして積み上げたノウハウが、売り型でも付加価値の高い金型提案に活かされている。なかには金型費を半分に抑えたという事例もある。また、自社製品を販売するときには、高い技術力が武器になる。「金型メーカーが作るものだから品質の良い製品」というイメージが確立し、商品のブランド力の向上につながる。
「金型メーカーだからできることがある。これからも変わったこと、面白いことをやり続ける会社にしたい」と独自路線を進む。
〝魅了する仕事〟できる人材に
新潟県の燕三条地区では年に1度、地域の工場を見て回ることができる「工場(こうば)の祭典」というイベントを開催している。同社も毎年、このイベントに参加する。それ以外にも、月2~3回のペースで工場見学会を開催したり、オリジナルの定規やキーホルダーを製作体験できるワークショップを開くなど、「ものづくりの楽しさ」を感じてもらう企画に取り組んでいる。そうした取り組みに積極的なのは、「もっと若い人にも金型づくりを知ってもらい、携わってほしい」という思いから。また、こうした露出は従業員の意識改革にもつながっているという。武田社長は「人から『見られる』ようになることで、人に『見せられる』仕事をしなければならないし、最終的には人を『魅せる』仕事をしてもらいたい」と話す。
そのために従業員に求めるのは、責任感だ。同社では機械ごとに各担当者を決め、整備や清掃を任せている。また、設計担当の5人を中心にチームを組み、それぞれで顧客を抱え、材料調達から納品まですべてを管理させている。「金型産業は設備産業と言われるが、人が考えたり、触れたりする部分にこそ差別化できるものがある」。だからこそ、各人が当事者意識を持ち、自らで考えるような体制を採っている。
「金型は、ユーザーにとっては『道具』だが、私たちにとっては『商品』。こういう意識で仕事に取り組めば、金型の価値も上げられる」と付加価値の高い金型づくりを追求していく。
会社メモ
代表者=代表取締役 武田 修一 氏
創業=1978年
所在地=〒959-1289 新潟県燕市東太田16-1
資本金=1,500万円
TEL=0256・62・3234
FAX=0256・64・5787
URL=http://www.tkd-mgn.com
従業員数=16人
事業内容=金属製品用プレス金型の設計、製作、修理、改造、マグネシウム合金材の販売、オリジナルブランド製品の企画、制作、販売
主な設備=ワイヤーカット加工機(西部電機)5台、精密平面研削盤(岡本工作機械製作所)3台、精密成形研削盤3台、NCフライス盤(牧野フライス製作所)4台、高速マシニングセンタ(DMG森精機など)2台、マシニングセンタ(牧野フライス製作所)3台、200t~80tトライプレス(アイダエンジニアリングなど)4台、三次元測定機(キーエンスなど)2台、3Dプリンタ(3D Systems)1台、鏡面仕上げ機(東洋研磨剤工業)1台など、そのほか多数。
金型新聞 平成28年(2016年)5月14日号
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