金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

14

新聞購読のお申込み

マツダ モーションキャプチャーとARで匠の技を短期間で習得

自動車メーカーのマツダが、モーションキャプチャーと拡張現実(AR)の技術を金型溶接の技能指導に活かしている。肉盛り溶接するときの匠の手や身体の動きを見える化し、それとの差異を把握し、シミュレータによる訓練で正す。効果的に改善サイクルを回せる環境をつくり、匠の技を短期間で次代に伝承できるようにしている。

操作の良否が表示される

技能者がつけたゴーグルの画面に金型とトーチ、溶接棒のバーチャル画像が映る。左右の手のコントローラを操作するとリアルに近い感覚で金型の肉盛り溶接を体験できる。操作が正しいと緑色のマークが現れ、誤ると赤色のマークが警告する。ARシミュレータによる溶接技能訓練の様子だ。

操作の良否判定の基準は『匠の体の使い方』。匠と呼ばれる熟練技能者が39個のマーカーをつけたボディスーツを着て、溶接するときの頭や手、身体の動きを8台のカメラで測定。その結果からトーチと溶接棒の動かし方や筋活動量を導き出した。

そこから分かったのは、匠は体幹の筋活動量が大きく、トーチを持つ手の筋活動量は小さいということ。すなわち体幹を効率良く使って身体をコントロールし、トーチを持つ手の筋力の負荷を小さくすることで作業の安定性を維持している。

ARで金型溶接を技能訓練する

ツーリング製作部ツーリング技術グループの須賀実氏は「技能者はそれぞれモーションキャプチャーで自らの身体の動きを理解したうえで訓練する。作業を誤った原因を、匠の動きと重ね合わせて探る。それを繰り返すことで匠の技を習得できる」と話す。

モーションキャプチャーによる技能訓練は、金型の研削で確立したノウハウと経験を応用した。ただ、研削と同じように実習訓練の中では匠との身体の差異を評価しにくい。溶接は研削と比べて身体の動きが小さく、また火花の発光で手元の動きを正確に捉えにくいためだ。

技能者はモーションキャプチャーの計測データで自らの身体の動きを理解した上で訓練する

そこで、手元の動きを捉えやすく光の影響の無いARシミュレータを活用した。市販のシステムを用い、操作の良否判定にモーションキャプチャーで導いた基準値を設定。課題もストレートビードに加え、 形状多層盛り、切刃盛りなど金型で用いる技法も追加した。

この技能指導は2024年4月から運用を始めた。同グループの佐伯千春氏は「巣や欠肉を減らすなど訓練を通じて技能者の習熟度は高まっている」。加えて「ARによる訓練のため煙や光による身体への影響もなく、訓練用の資材や器具のコストも削減できた」。

ツーリング製作部 安楽健次部長

金型しんぶん2025年7月10日号

関連記事

オーエスジー 高性能油穴付き超硬ドリル

幅広い被削材で安定加工 オーエスジーはこのほど、高性能油穴付き超硬ドリル「ADOX」を発売し、好評を得ている。 独創的なオイルホール形状「MEGA COOLER」によりクーラント吐出量を最大化。「R Gash」との相乗効…

七宝金型工業 自社製精密ジャッキ発売

0.01㎜精度で高さ調整 ダイカスト金型を手掛ける七宝金型工業(愛知県津島市、0567・24・8787)は4月、自社製品の第2弾となる精密ジャッキ「EASYG(イージグ)」を発売。六角レンチ1本の簡単操作で0・01㎜精度…

サンエール 3層放電ワイヤを発売

高精度・超高速加工 サンエールは、世界初の3層亜鉛構造を採用し、高精度・超高速加工を実現する放電加工ワイヤ「SPW+ε(イプシロン)」を3月から発売する。 真鍮を芯線としε—γ—βの3層からなる非常に厚い高濃度亜鉛層を有…

津田駒工業 小型加工機を発売

3D積層部品の後加工 津田駒工業(石川県野々市市、076・294・5111)は、3D積層造形部品の仕上げ加工や試作部品の加工向けとして開発した小型加工機「MDP‐0002」を発売した。 主軸は毎分最高3万回転。加工できる…

七宝金型工業 焼き嵌め工具の自動交換装置を開発

人的ミス、作業時間を削減 ダイカスト金型メーカーの七宝金型工業(愛知県津島市、0567-24-8787)は工作機械や研削機の設計製造を手掛けるサンテック(滋賀県草津市)と共同で、焼き嵌めホルダと切削工具の着脱を自動化する…

トピックス

関連サイト