金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

05

新聞購読のお申込み

この人に聞く
ニチダイ 伊藤 直紀 副社長

1982年生まれ、大阪府出身。2006年大阪大学経済学部卒。大手メーカーを経て、16年同社入社。17年執行役員経営企画室長、19年取締役副社長に就任。

 冷間鍛造金型などを手掛けるニチダイは2018年3月期、目標としていた売上高150億円を超え、19年3月期には売上高174億円と過去最高を更新。だが、昨年から続く米中貿易摩擦や新型コロナウィルスの感染拡大に加え、主要顧客である自動車産業の変革が叫ばれるなど、将来の見通しは決して平坦ではなく、新たな挑戦を必要としている。同社の伊藤直紀副社長に将来の展望などを聞いた。

    

目指すはニッチトップ

自動車産業について。

 CASEからみると、冷間鍛造に関連するのは電動化とシェアリング。電動化は我々の携わるエンジンやトランスミッション系の部品に影響し、シェアリングで自動車のコモディティ化を懸念している。日本でモノづくりする以上、自動車の軸は変わらないが、これまでと同じではいけない。私の思いは、ニチダイは他社と違うことをやる。また、やっていないことを最初にやりたい。これまで得てきた顧客の信頼は当社が開発した技術だ。今後も技術開発を通じて『ニチダイに頼めば大丈夫』というブランドを持ち、ニッチトップ企業を目指す。

そのためには。

 1つは既存事業の強化。既存事業は継続しつつ、さらに技術革新を進め、これまで冷間鍛造では出来なかった部品の生産を可能にすること。例えば、車体部品の厚板鍛造だ。従来の切削加工から鍛造に替え、部品の中空化(軽量化)、高強度化、ネットシェイプによる材料のムダ削減、生産性の向上を実現した。こうした冷間鍛造の領域拡大を図る。

 2つ目は技術の開発。金型の課題は寿命であり、同じ金型でも10万個生産できる場合と1万個しか生産できない場合がある。原因は材料や条件など様々で最適な解を出すのは難しく、答えを出すにはお客様と一緒に開発するのが1番だ。当社は大型プレス機を複数保有し、新工法開発から金型製作、周辺技術を含むトータルエンジニアリングでサポートする体制が整っており、お客様との共同開発に力を入れ、新型受注や最新技術に触れる機会を創出していく。

IoTについては。

 金型のIoT化やセンシング技術のモデルを作りたい。日本の冷間鍛造は世界トップクラス。型寿命の見える化や保全につながれば、大きな付加価値になる。

新部署立ち上げも。

 新規開発プロジェクトという部署を立ち上げ、新事業や新規開拓を視野に入れている。今後は電池ケースやバッテリー市場に冷間鍛造を活かす技術提案を行う予定だ。こうした動きを、お客様にも感じてもらい、開発案件で当社に声のかかる関係を構築できれば、私としては最高だ。

金型新聞 2020年6月4日

関連記事

ササヤマ 笹山勝社長に聞く コア業務に専念できる環境に【特集 攻める設備投資】

自動車のシートや骨格部品などのプレス金型を手掛けるササヤマは金型の競争力を高めるため、金型づくりのDXとベトナム子会社のデータ製作力の強化に取り組む。デジタル技術で金型づくりを効率化し、ベトナム子会社を同社グループのデー…

「新規事業に挑戦、やってみなければ分からない」藤井精工社長・藤井福吉氏

会社の未来を考え新規事業に挑戦やってみなければ分からない 金型メーカーに生産計画はありません。受注産業で顧客次第ですから。「来月どうしようか」。これを毎月のように繰り返しています。当社も創業から46年間、同じように事業を…

日本金型工業会・山中雅仁会長に聞く 「稼ぐ力」高める4つの軸とは?

取引適正化の活動継続 今年の通常総会で、日本金型工業会が山中体制になって2年目を迎える。就任以来「稼ぐ力」の強化を訴えてきた山中会長はこのほど、稼ぐ力を鍛えるために4つの軸を設定した。「価格決定力」、「市場拡大の施策の推…

愛知溶業 ホールディングスを設立 グループで売上30億円目指す【この人に聞く】

金型溶接などを手掛ける愛知溶業(愛知県一宮市、0586・75・3112)は今年4月、溶接機メーカーや金型メーカーなどを傘下に収める持株会社「GALAXYホールディングス(HD)」を設立した。金型の溶接や製作だけでなく、レ…

特別インタビュー 進恵技研 佐藤 倫幸社長
特集 僕らの展示会

先を予測し恐れず投資  自動車のボディやフレーム向けプレス金型を手掛ける進恵技研(栃木県足利市、0284-73-2135)は、ハイテン材(高張力鋼板)用の金型を得意とし、年間約600型を生産する。創業1987年という後発…

トピックス

関連サイト