鋳造で使われるシェル中子型は280℃前後まで金属を加熱して成形するため、熱の影響を大きく受ける。これまで鋳造の世界では、この熱による変形が大きな課題で、成形不良の要因となってきた。高機能な断熱材を活用することなどで、熱を…
リョーエイ ダイカスト向け離型剤塗布システムを開発

産業用設備の設計・製作やアルミダイカスト製品の検査サービスを手掛けるリョーエイ(愛知県豊田市、0565-29-6060)はダイカスト向け離型剤塗布システムである「小型エコスプレーシステム」を開発した。従来システムより離型剤の塗布量を削減し、金型にムラなく均一に塗布することで、コスト削減や環境に配慮したカーボンニュートラルに貢献する。
従来の連続スプレー式は離型剤の塗布を阻害するライデンフロスト現象により、大量の離型剤の塗布が必要になったが、同システムは噴霧と空気を同時に高速で吹き付けるパルス方式を採用し、離型剤の使用量を従来比2/3に低減できるほか、飛沫削減により作業環境の改善や廃液処理といったリスクも低減できる。また、圧送装置、制御盤、スプレーカセットと部品点数も少なくコンパクトな設計で、省スペース化や低コストで導入できる。ノズルは最大8本まで搭載でき、ニーズに応じてノズル先端形状やパルスパターンの変更も可能だ。
同社はこれまで離型剤使用量を低減する「パルススプレーシステム」を開発。自動車メーカーを中心に累計300台以上を販売。2015年にはトヨタ自動車の技術開発賞を受賞した実績を持つ。昨今はカーボンニュートラルなど環境改善や生産性向上のニーズが高まり、コンパクトかつ環境改善につながる同システムを開発した。
今後は自動車のEV化に伴い、モータやインバータケースなど150~800tクラスの中・小型のダイカスト部品の需要が高まると言われる。営業部の野口吉敬係長は「標準品だけでなく、ロボットによる自動化や導入前シミュレーションなどオプションも豊富に揃えており、需要が高まるダイカスト部品の生産ラインへ提案を強化したい」と話す。初年度の販売目標は10台としている。
金型新聞 2022年8月10日
関連記事
高硬度鋼に対応 三菱日立ツール(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、高硬度鋼加工に対応した面取り工具「DN2HC‐ATH」を発売した。NCによる自動機械加工を可能にし、手作業時間を低減する。 「ATH…
自動車用ライト金型に 牧野フライス製作所はこのほど、大型サイズの微細精密加工機「iQ500」を発売し、9月から出荷を開始する。既存の「iQ300」を一回り大きくし、高精度で大型化する自動車用ヘッドライトの入れ子金型など…
鍛造ダイスの寿命安定化へ 三豊機工(愛知県春日井市、0568・81・4111)は、鹿児島県工業技術センターの協力を得て、鍛造金型の予圧状態を高精度に可視化する技術開発に取り組んでいる。7月16日から東京ビッグサイトで開催…
金型は大量生産の治具から個別少量生産へとシフトしたことで、高品質な「個の量産」技術が求められている。そこで必要になるのが膨大に増えるデータの適切な管理や共有。本稿では新たなデータ連動テクノロジー「メタデータ」を活用し、製…