2020年11月30日(月)

ー今年を振り返ってー
金型の国内回帰強まる

円安が後押し

海外との住み分け明確に

 金型業界は回復を続けている。2015年の1―9月累計の金型生産額は前年同期比で9・3%増の2865億円となった。まだリーマンショック前のピークに比べ8割弱の水準だが、金型メーカーが減少し、需給ギャップが改善しており、収益も改善傾向にある。需要増の背景には、ユーザーの好調さに加え、円安による金型の国内回帰もある。ただ、戻る金型も日本で作る金型も高度化しており、対応力は課題だ。メーカー各社は人材育成や設備増強など独自のやり方で改革を進めている。

高度な金型が不足

ユーザーの要求高度化

 経済産業省の機械統計によると、1―9月累計の金型生産額は2865億円と前年同期比で9・3%増加した。型別では、ダイカスト型が374億円で26%アップ。プラスチック型が981億円で7・3%伸び、プレス型も6%増の1089億円と総じて上向きだ。

 ただ、リーマンショック前のピークだった06年同期は3692億円で、いまだ77%の水準に留まる。しかし、06年には1万社以上あった金型メーカーが13年には8000社程度まで減少し、需給ギャップは改善。大型や一部の金型で不足感も出てきており「収益性が大幅に改善した」(あるプラ型メーカー)と言う声も聞こえてくる。
 景況の改善は自動車をはじめとするユーザーの発注動向の影響も大きいが、今年は円安による国内回帰も追い風となった。日本金型工業会が実施したアンケートでも、25%の企業が「回帰した仕事を受注した」という。

 ただ話はそう簡単ではない。日本工業大学の横田悦二郎教授は「複雑な形になって戻ってくるケースが多い」と指摘する。あるプラ型メーカーも「機能が加わり、サイズが大きくなって海外から戻ってきた。価格も上がった分、金型は高度化した」と話す。
 別のメーカーも「昔に比べ難しい金型が多くなっている」と言うように日本で作る金型の高度化は加速している。この流れに対応していくことも不可欠になっている。

人や設備に攻めの投資

 例えば人材育成。プレス金型メーカーの黒田精工や昭和精工は汎用機を使った教育で、デジタル技術とアナログ技能の融合を図る。設備も攻めに転じている。10月に実施したアンケートでも「増産」や「技術開発」を目的とした攻めの投資が増えていることも明らかになった。昨年以降は三井化学が共和工業をグループ化したり、東洋鋼鈑が富士テクニカ宮津を子会社化したり、積水工機が三光合成と一緒になるなどM&Aも進む。

 ある金型メーカーは言う。「人材、設備、M&Aなどやり方は様々。ニーズに合った高度な金型を作ることができるメーカーの将来は明るい」。回復傾向にある金型業界だが、競争力を取り戻すための過渡期でもある。

金型新聞 平成27年(2015年)12月10日号

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