金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

16

新聞購読のお申込み

この人に聞く2016
かしこい 金型研究会 高橋 百利会長

もの言う金型づくり

必要な情報を金型が収集

 クライムエヌシーデー(相模原市南区)や慶応義塾大学などは共同で、IT技術を生かし、プレス金型に新たな価値を加える研究を行う「かしこい金型研究会」を立ち上げた。あらゆるものがネットにつながるIoT時代を迎え「もの言うかしこい金型を作るべきだ」という。発起人でもあるクライムエヌシーデーの高橋百利会長に目的や狙い、IoTなどについて聞いた。

かしこい金型研究会 高橋会長―同会を立ち上げた目的は何でしょうか。
 「これまで金型づくりのテーマは低価格、短納期、高品質という軸しかなかったが、それでは限界がある。金型に新たな価値を加え、高度化した競争を展開しなければならない。成形品を輩出する単なる道具からIT技術を生かした、かしこい金型に変える必要がある。それを研究し、形にしていくのが目的だ」

―かしこい金型とは。
 「例えば、絞り型では、材料の2枚打ちを検出できず型を壊したり、ピアスポンチが欠落したまま生産を継続したりする事故が起きている。こうした問題に対し、自ら処理でき、警告を発し、なおかつ過去の情報などを蓄積しそのデータを発信できる、もの言う金型をイメージしている」

―具体的な取り組みやテーマを教えて下さい。
 「パンチの折損やスクラップの滞留など検査して自動で対応できたり、様々な記録を記憶できたりして、メンテナンスの効率化につなげることなどを想定しているが、大半が特許性を帯びているので詳細は言えない。現時点では8つのテーマを研究しているが、近く第一弾を発表する予定だ」

―IoTは金型メーカーにとって意味があるのでしょうか?
 「金型メーカーに直接的な恩恵は少なく、むしろ金型を管理したいユーザーに効果は大きい。けれど、ユーザーがIoTを進める上で、必要となる情報を金型側で収集できれば、その金型の価値は高まる」

―必要な情報とは。
 「例えば金型の戸籍、購入部品情報、管理すべきポイント、メンテナンス情報などがあるだろう。重要なのはそうした情報はユーザーの要望に応じ、マーケットインの考え方で収集すべきだ」

―今後の展開は。
 「勉強会ではなくあくまで研究会。自ら汗を流し、行動し、結果を求めていく。まずは今あるテーマを具現化する。将来的にはプレスだけでなく、樹脂やダイカストなどへの展開も検討していく。そして、金型メーカーが将来も夢を見られるように力を合わせてやっていきたい」

かしこい金型研究会メンバー

 ▽会長=高橋百利会長、副会長=青山英樹教授(慶應義塾大学)会員=久野拓律社長(アデック)、今村康社長、松林毅上席スペシャリスト(日本ユニシス・エクセリューションズ)、近藤大輔社長(ハルツ)など ▽事務局=高橋啓太社長(クライムエヌシーデー)▽特別アドバイザー=中川威雄会長(ファインテック)

金型新聞 平成28年(2016年)6月3日号

関連記事

極東技研工業 クイックリフトリング

ワンタッチで着脱 フランス製回転型アイボルトのコディプロ社を取り扱う極東技研工業(大阪府岸和田市、072-427-2190)は新たにコディプロ社製の「クイックリフトダブルスイベルリング」を発売した。ワンタッチでワークへの…

がんばれ!日本の金型産業特集<br>ダイス 須賀 一夫 社長

がんばれ!日本の金型産業特集
ダイス 須賀 一夫 社長

簡易試作金型で道拓く 低価格・短納期を生み出した設備投資 「インターモールド・金型展に毎回出展しているが、国内外の来場者から『なぜ安くできるのか』と聞かれる」と同社の須賀社長は笑顔。 小ロットのプラスチック射出成型品向け…

東京光電 離型剤の希釈率を数値化 鋳造・ダイカストの品質安定

照度計などを手掛ける東京光電(東京都足立区、03-5613-7555)が、離型剤希釈倍率計の拡販に注力している。ダイカスト・鋳造メーカーなどを中心に提案を強化。これまで正確に把握することが難しかった離型剤の希釈率や液濃度…

第8回UMモールドフェア会場マップ<br>インテックス大阪5号館

第8回UMモールドフェア会場マップ
インテックス大阪5号館

金型新聞 平成29年(2017年)1月20日号

OKK 金型の心出しを自動化

機械座標、カメラ、タッチセンサで OKK(兵庫県伊丹市、072-782-5121)は、マシニングセンタ(MC)の機械座標とTOFカメラ、タッチセンサを用い、金型などワークの心出し(基準点の測定)を自動化できるシステム「3…

トピックス

関連サイト