金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
M・K・G 霜鳥 健一 社長

スピードとコストを追求

自動化とオール3次元化

M・K・G 技術  品質の良い金型をいかに安く、早く作るか―。このテーマに挑むのが、プラスチック金型を手掛けるM・K・Gだ。「今や精密は当たり前。価格と納期でメリットが出せなければ、競争力は生まれない」と話す霜鳥健一社長。自動化と3次元データをフル活用し、金型部門6人で月産約30型を実現する高効率な生産システムを構築している。

昨年と一昨年に、最大60本のワークが搭載できるAWC(自動ワーク交換装置)を搭載した最新の高速マシニングセンタ(MC)と形彫り放電加工機を導入。段取り工程を自動化し、1日24時間生産できる体制を構築した。コスト低減に加え、人的なミスが減り、より安定した品質の金型が製作できるようになった。

「図面レス」、「ペーパーレス化」を徹底。2次元図面を使わず、すべて3次元でデータのやり取りを行っている。加えて、霜鳥社長は「詳しくは語れない」というが、CAMデータも効率的に供給できる体制を整え、設計・製作のスピードが大幅に向上。30日だったのが、15日で仕上げられるようになるなど、「試作型でも量産型並みに作り込めたり、急な飛び込み案件も受注可能になった」。

「金型は、昔は“金型様”という感じだったが、今はそうではない。ユーザーが必要なときに素早く供給できることが重要。そのために、部品加工と同じような感覚で金型を作っている」とコストとスピードを徹底的に追求し、圧倒的な競争力を持つ金型メーカーを目指す。

従来の金型メーカー像を覆す会社づくり

M・K・G 人 M・K・Gは、1998年創業という金型メーカーとしては非常に若い会社だ。同じ金型メーカーに勤めていた霜鳥稔会長と霜鳥社長の2人で独立し、当初は1台のマシニングセンタとCAD/CAMで金型部品の加工から始まった。その後、高い加工技術力が認められ、徐々に金型も手掛けるようになり、現在では金型の設計・製作だけでなく、成形から組立加工まですべて自社内で一貫生産できるまでに事業を拡大してきた。

そんな同社が目指すのは、「今までの金型メーカーのイメージを覆す会社づくり」だ。「今までの金型業界のイメージや働く環境を変えていかないと、人は集まってこない」と時代に合わせた考えで人材育成、採用に取り組んでいる。そのひとつが、ITの活用だ。同社のほとんどの社員が設計や加工プログラムのデータ作りを主な業務としている。「職人技術を磨くことももちろん重要だが、それだけでは今の若い人たちは付いてこない。もっと若い人が馴染みやすいように工夫することで、人も会社も成長していくはず」と霜鳥社長は話す。

また、人材採用は海外にまで及ぶ。「国内だけでの人材雇用は、将来的に必ず限界がくる」と霜鳥社長は見る。とくに「CAD/CAMの技術に優れた人材は日本よりも海外の方が豊富」と人材発掘のために海外拠点の設立を計画している。

これまでに確立した自動化やオール3次元化の仕組みを海外でも展開し、グローバルで日本と同レベルの高品質な金型を提供していく。


会社メモ

M・K・G 霜島健一社長

霜島 健一社長

代表者=霜鳥 健一氏
創業=1998年
所在地=神奈川県横浜市旭区川井本町51-5
資本金=1,000万円
TEL=045・952・7500
FAX=045・952・7501
URLhttp://www.m-k-g.co.jp
従業員数=25人
事業内容=プラスチック試作・量産金型製作・設計、ホットメルトモールディング試作・量産金型製作・設計、プラスチック射出成形
主な設備=高速MC「V22(4万回転)」AWC60本(牧野フライス製作所)1台、精密NC放電加工機「EDGE2」AWC60本PALLET4枚(同)1台、高速MC「V33i(3万回転)」(同)2台、高速MC「V55(1万4000回転)」(同)1台、高速MC「V22(4万回転)」(同)1台、精密NC放電加工機「EDGE2」(同)1台、高速ワイヤー放電加工機「U32i」(同)1台、CAD/CAM(C&Gシステムズなど)16台、射出成形機(日精樹脂工業)7台など、その他多数。


金型新聞 平成28年(2016年)8月10日号

関連記事

【ひと】ケーワールドism社長・澤井健司さん(55) 金型技術生かし自社商品をヒットさせた

金型技術活かし自社商品をヒットさせた  『日本一の金型職人になりたい』と、金型製作に没頭した若き日の澤井健司社長。町工場が集積する大阪・八尾で金型作りに励む日々だったが、ひょんなことから独立し、ケーワールドismを設立。…

【金型の底力】山善金型 様々な顧客ニーズに応えられる会社に

限界を作りたくない生産工程を見える化 「様々な顧客ニーズに応えられる会社にしたい」と話すのは、山善金型の山下和也社長。同社は精密なプラスチック金型を武器に、日用品から自動車部品、医療機器など幅広い顧客を獲得。モットーは『…

岐阜工業高校 ものづくり見本市を開催

小中学生を対象 キットで楽しく体験 岐阜工業高校(岐阜県羽島郡笠松町、058-387-4141)は8月11~12日、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で「ものづくり見本市」を開催する。 「振動でスケートする飛行機の製作」や「…

フジイ金型が「6稼4勤」制度を導入したワケ

6稼4勤のシフト制勤務 「正規の労働時間を減らしたことで多能工化が進み、効率性が高まったことでコストの削減にもつながっている」と話すのはフジイ金型の藤井寛達社長。同社は月~金という従来の働き方をやめ、6稼4勤のシフト制を…

がんばれ!日本の金型産業特集  <br>協和精機製作所 小暮 朋夫 社長

がんばれ!日本の金型産業特集
協和精機製作所 小暮 朋夫 社長

最小R0.1mmの加工技術 ナノ技術追求したレンズ金型  「誰でも出来る金型ではなく、誰にも出来ない金型を目指したい」と話すのは小暮朋夫社長。ナノ加工技術を追求し、自動車用ヘッドランプのリフレクターに磨きレスの鏡面加工を…

関連サイト