金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

24

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
M・K・G 霜鳥 健一 社長

スピードとコストを追求

自動化とオール3次元化

M・K・G 技術  品質の良い金型をいかに安く、早く作るか―。このテーマに挑むのが、プラスチック金型を手掛けるM・K・Gだ。「今や精密は当たり前。価格と納期でメリットが出せなければ、競争力は生まれない」と話す霜鳥健一社長。自動化と3次元データをフル活用し、金型部門6人で月産約30型を実現する高効率な生産システムを構築している。

昨年と一昨年に、最大60本のワークが搭載できるAWC(自動ワーク交換装置)を搭載した最新の高速マシニングセンタ(MC)と形彫り放電加工機を導入。段取り工程を自動化し、1日24時間生産できる体制を構築した。コスト低減に加え、人的なミスが減り、より安定した品質の金型が製作できるようになった。

「図面レス」、「ペーパーレス化」を徹底。2次元図面を使わず、すべて3次元でデータのやり取りを行っている。加えて、霜鳥社長は「詳しくは語れない」というが、CAMデータも効率的に供給できる体制を整え、設計・製作のスピードが大幅に向上。30日だったのが、15日で仕上げられるようになるなど、「試作型でも量産型並みに作り込めたり、急な飛び込み案件も受注可能になった」。

「金型は、昔は“金型様”という感じだったが、今はそうではない。ユーザーが必要なときに素早く供給できることが重要。そのために、部品加工と同じような感覚で金型を作っている」とコストとスピードを徹底的に追求し、圧倒的な競争力を持つ金型メーカーを目指す。

従来の金型メーカー像を覆す会社づくり

M・K・G 人 M・K・Gは、1998年創業という金型メーカーとしては非常に若い会社だ。同じ金型メーカーに勤めていた霜鳥稔会長と霜鳥社長の2人で独立し、当初は1台のマシニングセンタとCAD/CAMで金型部品の加工から始まった。その後、高い加工技術力が認められ、徐々に金型も手掛けるようになり、現在では金型の設計・製作だけでなく、成形から組立加工まですべて自社内で一貫生産できるまでに事業を拡大してきた。

そんな同社が目指すのは、「今までの金型メーカーのイメージを覆す会社づくり」だ。「今までの金型業界のイメージや働く環境を変えていかないと、人は集まってこない」と時代に合わせた考えで人材育成、採用に取り組んでいる。そのひとつが、ITの活用だ。同社のほとんどの社員が設計や加工プログラムのデータ作りを主な業務としている。「職人技術を磨くことももちろん重要だが、それだけでは今の若い人たちは付いてこない。もっと若い人が馴染みやすいように工夫することで、人も会社も成長していくはず」と霜鳥社長は話す。

また、人材採用は海外にまで及ぶ。「国内だけでの人材雇用は、将来的に必ず限界がくる」と霜鳥社長は見る。とくに「CAD/CAMの技術に優れた人材は日本よりも海外の方が豊富」と人材発掘のために海外拠点の設立を計画している。

これまでに確立した自動化やオール3次元化の仕組みを海外でも展開し、グローバルで日本と同レベルの高品質な金型を提供していく。


会社メモ

M・K・G 霜島健一社長

霜島 健一社長

代表者=霜鳥 健一氏
創業=1998年
所在地=神奈川県横浜市旭区川井本町51-5
資本金=1,000万円
TEL=045・952・7500
FAX=045・952・7501
URLhttp://www.m-k-g.co.jp
従業員数=25人
事業内容=プラスチック試作・量産金型製作・設計、ホットメルトモールディング試作・量産金型製作・設計、プラスチック射出成形
主な設備=高速MC「V22(4万回転)」AWC60本(牧野フライス製作所)1台、精密NC放電加工機「EDGE2」AWC60本PALLET4枚(同)1台、高速MC「V33i(3万回転)」(同)2台、高速MC「V55(1万4000回転)」(同)1台、高速MC「V22(4万回転)」(同)1台、精密NC放電加工機「EDGE2」(同)1台、高速ワイヤー放電加工機「U32i」(同)1台、CAD/CAM(C&Gシステムズなど)16台、射出成形機(日精樹脂工業)7台など、その他多数。


金型新聞 平成28年(2016年)8月10日号

関連記事

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

将来への 方向性を示す
金属プレス工業協会

 日本金属プレス工業協会(髙木龍一会長・高木製作所)は5月28日、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)で第8回通常総会を開いた。役員改選で髙木会長の再任を承認した。  髙木会長は総会後に開かれた懇親パーティ…

東芝機械 5月17日〜19日 沼津、御殿場で展示会<br>超精密や大型など最新機

東芝機械 5月17日〜19日 沼津、御殿場で展示会
超精密や大型など最新機

 東芝機械は5月17から19日まで静岡県の沼津本社工場と御殿場工場で「東芝機械グループソリューションフェア2018」を開催する。最新の超微細加工機やマシニングセンタ(MC)、成形機など同社の最新加工技術を展示するほか、セ…

【特集】どうなる、5Gで求められる金型技術

高速通信規格「5G」の社会実装が本格化することで、金型にはどんな影響があるのか。また、どんな金型技術が求められるようになるのか。日本情報技術産業協会(JEITA)や先進企業などへの取材を通じ、今後の方向性を探る。 目次P…

がんばれ!日本の金型産業特集 <br>東郷 東 成生 社長

がんばれ!日本の金型産業特集
東郷 東 成生 社長

ナノ金型に挑む 地下工場で徹底した温度管理 ICリードフレーム(L/F)やモータコアなどの精密プレス金型を手掛ける東郷の本社工場は鹿児島市の市街地から少し離れた小高い山の山頂部にある。この工場そのものが、精密にこだわる同…

関連サイト