金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

SEPTEMBER

04

新聞購読のお申込み

―スペシャリスト―ファム
±2ミクロンの要望に応える

測定ゲージで未来拓く

高級自転車部品や自動車部品などの加工品質を検査するためのゲージを手掛ける会社がある。創業29年のファム。精密金型部品で培ったノウハウを生かし、ゲージも製作。超精密なゲージを安定して作れる技術力で、メーカーの要望に応えている。

カギは測定ノウハウ 寸法を正確に測る技術

自転車部品を測るゲージ まるで芸術品のような幾何学的な形をしたブロック、細かな歯のギヤをくり抜いたような金属の輪。幾何学ブロックは自転車部品を、金属の輪は航空機部品を測るゲージ(写真)。この複雑な形状を常に5㍈、ときには2㍈の公差で仕上げる。

形状を加工するのはマシニングセンタやワイヤーカット、研削盤だが、竹田良社長は品質のカギは測定ノウハウにあるという。「三次元測定機でも顕微鏡でも寸法を正確に測れる。その技能があるから微調整もできるし、良いゲージづくりにもつながるんです」。

要求に違わぬ品物を作る
竹田社長は元金型技術者。測定の技能や理念は、修業時代に勤めた金型メーカーで学んだ。師と仰ぐ会長に『後工程はお客様。社内でも要求に寸分違わぬ品物を作りなさい』と教わった。機械で加工し、そして測る。ひたむきに日々取り組むうちに測る技能が身についた。

ファム 航空機部品を測るゲージ その技能は創業した金型部品製作で役立った。ミクロン台の公差が求められるピンやパンチを要望通りの品質で納期より早く収めるよう努力した。さらに、「お客様に安心して頂くように全ての製品に寸法測定値を添付し納品した」。

全員で情報を共有
そうしたこれまで培った加工と測定の技術を、竹田社長は社員に伝承している。社員が高い測定の技能を持ち、さらに設計や機械の操作もできる。「全員で加工や測定について情報を共有、そして切磋琢磨し課題解決に取り組んでいる」。

ファムは、高精度加工と測定の技術力で差別化し、金型部品、そして検査測定ゲージへと事業を展開してきた。竹田社長は「挑戦は終わりません。次の目標は既にある。今、口にすることはできないんですけれど(笑)」。


会社概要

竹田 良社長

竹田 良社長

本社:大阪府貝塚市三ケ山1257-2
TEL:072・447・0700
代表者:竹田良氏
創業:1987年
事業内容:精密測定ゲージ、金型部品製作。


金型新聞 平成28年(2016年)10月10日号

関連記事

トヨタの型づくりはどう変化していくのか?モビツー・大澤部長×モノエン・堀田部長インタビュー【変わるトヨタの型づくり】

PART4:モノエン・モビツーのトップに聞く金型メーカーに期待すること 技能絶やさぬ取り組み / 型にとらわれぬ柔軟な視点 人の動き、 カンコツを定量化 次世代車の中でも、やはり電動化へのインパクトは大きい。金型への影響…

【鳥瞰蟻瞰】長野県南信工科短期大学校 准教授・中島 一雄氏「調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦」

技術者の教育には考えさせることが重要DXで一層必要になる 分かっているものに取り組んでいても技術者としての成長はありません。自らで調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦していくことこそが技術者の根幹であり、何よりも重要なこ…

【この人に聞く】NTTデータエンジニアリングシステムズ・東 和久社長「価値創造のパートナーに」

NTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区)は7月、沖縄県うるま市に、5軸加工や自動化を支援する「Mold Future Space‐OKINAWA(MFS)」を開設した。まずは5軸加工機の販売から加工ノウハウ…

スペシャリスト<br>超硬材料 共立合金製作所

スペシャリスト
超硬材料 共立合金製作所

自動車の電動化に商機  「日本に残る分野に経営資源を投下していく」。そう話すのは「エバーロイ」ブランドで知られる、超硬材料メーカーの共立合金製作所の池田伸也超硬事業部長。同社が国内で伸びると判断するのは、①大型の超硬材料…

TMW 切削工具メーカーと挑む金型製造の効率化【Innovation〜革新に挑む〜vol.1】

自動車向け大型プラスチック射出成形用金型メーカーのTMWが、金型製造の効率化に向けた取り組みを進めている。販売代理店も務めるクランプシステムや、5軸加工に対応した最新の切削工具などを活用し、加工時間や段取り工数の短縮、5…

トピックス

関連サイト