金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

20

新聞購読のお申込み

オギハラ 長谷川 和夫 社長
〜新素材の金型に挑む〜

いかにトライ数を減らすか

長谷川和夫社長

 1954年生まれ、静岡県出身。77年日本大学卒業後、オギハラ入社、86年オギハラ・アメリカ・コーポレーション(現タイサミット・アメリカ・コーポレーション)、2013年同副社長、16年1月オギハラ社長に就任。

―アルミ材用金型に取り組んだきっかけは。
 「1988年にホンダのNSXに関わったのがきっかけ。オールアルミボディを採用した自動車で、当社では一部の金型を手掛け、量産はほぼ全てのアルミ部品の生産に携わった。当時は材料の開発が進んでおらず、プレスや溶接など加工に苦労した記憶がある」

―当時に比べて、何が変わりましたか。
 「材料と接合技術の進化が大きいのではないか。アルミ材の開発が進み、絞るときに割れ難くなるなど、当時に比べて格段にプレスしやすくなった。また、接合技術も進歩した。抵抗溶接だけでなく、トグルロック、リベット留め、接着剤など様々な工法が開発され、アルミ材で自動車を組めるようになっている」

―一般のプレス用金型との違いは。
 「最大の難点はスプリングバックだろう。高張力鋼坂(ハイテン材)と同じくらい大きいので、設計どおりの形状を出すのが難しい。当社では、10年ほど前から導入した3Dスキャナを使って工程ごとに全てスキャンし、データを蓄積して成形シミュレーションの精度を上げている。ただ、トライアウトの回数は減っているが、まだまだ課題は多い」

 「また、せん断ピアス加工などの加工くずの処理も課題だ。アルミは加工くずが出やすく、これが加工面につくと面品位の悪化に繋がるなどトラブルの原因になる。金型にディンプル(くぼみ)を付けて加工くずを逃がす処理や、ブローを取り付けて吸い込むほか、鏡面にしてバリを抑制するなど様々な工夫を加えている」

技能に頼らない作り方

―今後のアルミ材活用の動きをどう見ますか。
 「30年以上前からフォード社(米)のリンカーンでは、フードパネルにアルミ材を使っていた。アメリカでは当時から『フタ物はアルミ材』という考えが主流だった。今後は日本の自動車メーカーでも採用が進むだろう。また、アルミと高張力鋼坂(ハイテン材)、アルミと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など複合化の流れも拡大していくと見ている」

アルミ材活用という点ではダイカストという選択肢もあります。
 「プレスの強みは量産性。生産数やコストによって使い分けていくことが重要だろう」

―今後の展開は。
 「シミュレーションの精度を上げ、戻り作業のない生産体制を構築する。さらに、アメリカや、中国工場の量産で得た情報をフィードバックして金型に織り込み、規格化することで、人の技量に頼らない金型づくりに取り組んでいく」

―金型メーカーができることは。
 「今後もアルミに限らず様々な技術開発が進むだろう。コストやデザインなどあらゆる側面から最適な車づくりを追求するのが完成車メーカー。我々金型メーカーは、常にそうした動きに対応できるように準備しておくことが重要だ」

金型新聞 平成29年(2017年)5月12日号

関連記事

【鳥瞰蟻瞰】由紀ホールディングス 代表取締役社長・大坪正人 氏「中小製造業をグループ化、優れた技術守り次代につなげる」

中小製造業のグループ化事業に集中できる環境を整備優れた技術守り次代につなぐ 2006年に金型ベンチャー企業から父が経営するねじメーカーの由紀精密に入社しました。そこで感じたのは企業規模が小さすぎて、あらゆる機能が無さすぎ…

ハマダ工商 AMで新たなものづくり【金型の底力】

樹脂やプレス金型の製作から少量の成形まで手掛けるハマダ工商は今年2月、事業再構築補助金を活用し、金属3Dプリンタを導入した。水管を自由に設計した冷却効果の高い金型で、反りを抑えた防犯レンズカバーの成形品を提供するのが狙い…

TMW 切削工具メーカーと挑む金型製造の効率化【Innovation〜革新に挑む〜vol.1】

自動車向け大型プラスチック射出成形用金型メーカーのTMWが、金型製造の効率化に向けた取り組みを進めている。販売代理店も務めるクランプシステムや、5軸加工に対応した最新の切削工具などを活用し、加工時間や段取り工数の短縮、5…

黒田製作所 会長 (岐阜県金型工業組合 理事長)黒田 隆氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

若者の興味を引け 金型はものづくりの喜びがある広く知られる業界へ  若手を育てることは、金型メーカーにとって技術の伝承はもちろん、業界の活性化という点でも大切なことです。量産のものづくりがある限り、マザーツールである金型…

【新春特別インタビュー⑤】稲垣金型製作所取締役・稲垣 武洋氏「イノベーションを起こし新しい収益モデルを創る」

常識にとらわれない金型 イノベーションを起こし新しい収益モデルを創る 〜新ビジネス〜  1975年生まれ、静岡県出身。98年立命館大学卒業後、富士通に入社し、システム販売などに従事。2004年稲垣金型製作所に入社、18年…

トピックス

関連サイト