金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

03

新聞購読のお申込み

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのように乗り越えていくのかをみていく。

【検証】変わる金型基金 新たな船出 解散後、新制度に移行
【検証】変わる金型基金 新たな船出2 3つの大きな課題解決へ

制度移行で課題解決へ

 第一回目でも触れたように、金型年金は厚生年金基金の運用を一部代行してきた。こうした関係から、金型基金も死亡するまで支払い続ける「終身年金」を取らざるを得なかった。新たな制度では、給付期限がある「有期年金化」に変更する計画だ。

 なぜ有期年金とする必要があるのか。最大の理由が長寿命化だ。2014年の日本の男性平均寿命は80.5歳で、基金発足時の69.18歳より10年以上も長くなっている。死亡時まで払い続ける終身年金だと、当然ながら長寿命化が進むほど給付額は増え続ける。

 実際に17年3月時点での金型基金の平均受給期間18年9カ月。それに対して、現在は年金原資を15年で分割支払いしている。つまり、足りなくなる給付額は掛金の増加や、運用益を高めるなどして、補填する必要がある。このように終身制度を維持するとなると、財務上の負担が増すことから、「企業年金では有期が主流」(荒木健太郎常務理事)だという。

 つまり、制度移行に伴い、有期年金化することで、基金の財務負担を減らすのが狙いだ。その代わり、終身というメリットはなくなるものの、事業者の負担も現行制度と変わらず運用できるわけだ。ただ、新制度では受給者の経済状況や要望に合わせ、有期の年金支給期間を5、10、15、20年の4つから選べるようにする予定だ。

 2回にわたり「定額加算」、「高い予定利率」、「終身年金」の3つの課題と新制度移行による解決策をみてきたが、そもそもいったん解散し制度を移行するスキームを取るのはなぜなのか。その最大の理由は、代行返上だけして制度をそのまま引き継げば制約も多く、こうした大胆な施策や制度設計が描きづらいからだ。

 次号以降では、基金を退職金化するなどの経営上の具体的なメリットや運用方法などを紹介する。

金型新聞 平成30年(2018年)3月10日号

関連記事

松村精型 見積効率化や戻りない金型づくり【特集:デジタル活用術】

作業を細分化し、デジタル管理 低圧鋳造やダイカスト金型を手掛ける松村精型は、加工や設計などの作業単位を細分化し、コード化して管理している。作業ごとの分析や改善を徹底し、手戻りのない金型づくりを進めるほか、コードに製造コス…

【特集:技能レス5大テーマ】4.磨きレス

新被膜やPCDでサブミクロン 仕上げや組付けなど金型の品質を決める領域には人の手は欠かせない。磨き工程もその一つ。しかし、磨きには時間や人手がかかることから、できるだけ機械加工で追い込み、磨きを減らしたいという声は多い。…

黒田製作所 工場新設、大型成形機導入 【特集:進む設備の大型化】

大型金型の需要に対応 プラスチック金型を手掛ける黒田製作所(岐阜県羽島郡岐南町、058・247・7423)は自動車向けの大型プラスチック金型に対応するため、本社そばに新工場を立ち上げ、UBEマシナリーの大型射出成形機「3…

EV化が進む中、金型メーカーはどう動くか?【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化はダイカスト業界に大きな変化をもたらし始めている。バッテリーEVが増えるとエンジン関連の金型の減少は必至だ。一方で、バッテリーケースのアルミ化や、シャシーなどを一体造形する「メガキャスト」などで金型の大型化…

次世代の匠の技を考える 記者の目

PART1:金型メーカーアンケート「次世代に必要な匠の技は?」PART2:「自動化の匠」 アイジーエヴァースPART3:「5軸加工の匠」 エフアンドエムPART4:「金属3Dプリンタの匠」 三光合成PART5:「現代の名…

トピックス

関連サイト