金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

25

新聞購読のお申込み

【検証】変わる金型基金 新たな船出4
退職金の一部を年金化

 3回にわたり、日本金型工業厚生年金基金の制度移行の概要や、基金の課題をみてきた。様々な課題を解決すべく、有期年金化したり報酬比例としたりするなど、企業の負担を増やさず、支給期間を選べる柔軟な制度に変更する予定だ。では、基金は企業にとって具体的にどんな利点があるのか。最大のメリットは積み立てた金額を退職金の一部に充てることにある。

【検証】変わる金型基金 新たな船出  解散後、新制度に移行
【検証】変わる金型基金 新たな船出2 3つの大きな課題解決へ
【検証】変わる金型基金 新たな船出3 年金有期化で安定運用

金型基金基金4 グラフ

 そもそも、年金基金は「年金」という呼び名ではあるものの、退職金としての側面が強い。もちろん、公的年金に積み増す形で、長年にわたって年金として受け取ることもできるが、退職金規程に組み込んで一時金として渡せば退職金の一部にもなるからだ。

 実際に企業年金を持つ大手企業では、驚くほどの金額を年金資産として退職金に組み込んでいる。2016年度の上場企業(2900社)の退職金給付は91兆円。そのうち75%以上の68兆円を年金資産で積んでいる。大企業がそうするのはメリットが大きいためで、年金基金を活用すれば同様の優遇が得られる。

 まずは税制面。退職金を自社積み立てした場合、税控除は受けられないが、年金だと退職金の掛金は全額税控除を受けることができる。また、保険金を活用して自らの退職金を積む経営者も少なくないが、役員保険の税控除50%まで。つまり、年金基金を使うと節税効果が大きくなる。保全も魅力の一つ。年金は外部資産なので、倒産などの不測の事態でも積み立てた退職金は外部に保全される。

 役員や経営者が加入できることも特徴の一つだ。中小企業での退職金の積み立てとしては、中小企業退職金共済(中退共)を活用している企業も少なくない。中退共も年金と同じように税額控除を受けられるが、加入できるのはあくまで社員だけ。金型年金基金は、経営者も恩恵は受けられる。

 とはいえ、これらの優遇を受けるには、退職金規程に年金を退職金の一部として組み込む必要がある。そうしなければ、一時金として給付した場合、贈与税となる可能性さえあるという。次号では、具体的なモデルケースをもとに、どれだけの負担で、どれだけの効果があるのかをみていく。

金型新聞 平成30年(2018年)4月16日号

関連記事

中辻金型工業 切削工具を自社開発

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

日本特殊光学樹脂 高精度・高品質の樹脂レンズ【特集:ものづくりを変えるレンズ金型】

支える3つのコア技術、大型機導入、 新分野の提案も フレネルレンズをはじめとする特殊なプラスチックレンズの金型製造から成形までを手掛ける日本特殊光学樹脂。同社は分解能10ピコメートル(1000億分の1メートル)の加工機を…

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

【特集】匠の技を手に入れろ

金型はこれまで、金型職人の頭の中で製品形状や金型設計を描き、経験やノウハウで調整し、製造してきた。そして金型の「匠」の技は「背中」を見て学ぶもので、習熟への時間はとても長かった。しかし近年では、工作機械やCAD/CAMと…

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】5.デジタル技術

シミュレーション、AIで効率化 デジタル変革(DX)の実現は近年の金型製造現場における最大の関心事の一つ。労働人口が減少する中で生産性を向上させるためには、人工知能(AI)やシミュレーションなどのデジタル技術を活用するこ…

トピックス

関連サイト