金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

07

新聞購読のお申込み

金型に大型化の波

車部品が軽量化<br>〜量産の技術革新が金型の進化を変える〜

 金型の大型化が進んでいる。背景にあるのは自動車の軽量化ニーズの高まりだ。電気自動車(EV)の登場や環境規制などで、車を軽くするため、大型の部品をアルミや樹脂化する動きが増えている。プレスも超高張力鋼板の増加で順送型が大きくなる傾向もある。工程集約も理由の一つだ。異なる部品を1型で成形し、生産性の向上を図るためだ。一方で、大型金型は人の経験に依る部分も多く、大型を得意とする金型メーカーでは、解析を活用したり、自動化を進めたり、生産性を高める取り組みを進めている。

増える大型のアルミ部品

自動化、CAEで対応

 「型締め力4000tクラスの要求も出始めている」と話すのは、大型のアルミダイカスト金型を手掛けるサンユー技研の梅本大輔社長。一部の自動車では、シャーシをアルミ化したり、EVなどでも大型のアルミ部品が増えたりしているためだ。こうしたクラスになると「対応できる大型の加工機が必要になる」。

 樹脂でも大きな部品が増えている。大型の樹脂金型を手掛けるTMWの立松宏樹社長は「バックパネルなどに比べれば小さいが、フェンダーなどの一部の比較的大きな部品を樹脂化する動きも見られる」と話す。

 プレス金型では部品を大きくすることは少ないようだが、順送プレス金型を手掛けるファベストの田島尚社長は「超ハイテン材は成形しづらいため、工程も増え、金型が大きくなっている」という。いずれのケースでも共通しているのは車を軽くしたいというニーズだ。ある自動車メーカー幹部は「EVの増加は読みづらいが、軽量化はどんな車でも必要。ハイテンはもとより、樹脂やアルミ化は進む」と話す。

 工程集約も金型を大型化させる要因の一つだ。

競争力のカギに

 田島社長は「1型で2つの部品をプレスしたいという要求もある」。プレス型の伊吹機械の伊吹宏一社長は「差別化する意味でも大型化、複雑化への対応は必要」という。

 では大型金型は増えているのか。大型の定義は相対的で、統計でも明確にしづらい。ただ2017年と14年の機械統計を比べると、金型生産数量は14%減少しているのに対し、重量では8%増えている。型種や金型の構造によって異なるので、重い=大型とは言い切れないが、その傾向を示していると言える。

 こうした状況のなか、大型を得意とする金型メーカーが取り組むのは、無人化や自動化、効率的な生産体制の強化だ。ファベストでは、解析やスキャナを活用し、鋳物加工を5日から24時間に短縮。サンユー技研の梅本社長は「設計でも人工知能(AI)活用し、無人化進める」と話す。

 日本金型工業会で技術顧問を務める横田悦二郎氏は大型金型について「ひずみや温度変化など経験が必要な部分が多く、日本の金型メーカーの強みが発揮できる部分が多い」と話す。ただ、「設備投資の問題もあるので、供給を急に増やせるわけではない。増えているより需要が供給を上回っている状況ではないか」と分析。とはいえ、「世界中で大型金型の需要は強い。日本だけで市場を見るのではなく、グローバルな視野を持つこと必要だ」と指摘している。

金型新聞2019年02月10日号

関連記事

山岡製作所 精密プレス加工を柱に、ミクロンレベルの要求に対応

プレス・プラスチック用金型、量産、生産設備などを手掛ける山岡製作所。1938年に創業して以来、精密プレス加工を柱にさまざまな技術を培い、競争力を高めてきた。自動車や半導体・電子部品、医療関連などミクロンレベルの加工要求に…

リヒト精工 ヘッドランプ金型向け窒化処理技術を開発

高い鏡面性を実現 熱処理から表面処理まで独自技術を持つリヒト精光(京都市南区、075-692-1122)はインターモールド2022大阪でエジソンハード処理(新ガス窒化処理法)の新技術を披露した。成形時のキズや摩耗の激しい…

大豊工業がアルミダイカストで「パワー半導体用冷却器」を開発、低コストで高い冷却性能

大豊工業(愛知県豊田市)はこのほど、アルミダイカストで「パワー半導体用冷却器」を開発。独自開発した高熱伝導材料を使用したことに加え、狭いピッチで細長い形状のフィンを立てる設計により、低コストかつ高い冷却性能を発揮する。 …

元自動車メーカーの車体領域責任者が見た「人とくるまのテクノロジー展2025@パシフィコ横浜」

自動車業界の今後(未来予想図-Ⅱ)今回の観点・総論 今回の「人とくるまのテクノロジー展2025」はメインテーマを①DXで実現するクルマの進化②クルマを取り巻く社会・サービスの進化③モノづくりの進化という3つの視点で展示や…

【ひと】熊本精研工業企画開発部部長・越智 英二さん(59) カメラによる機上測定機を開発した

カメラによる機上測定機を開発した 放電加工した金型部品をチャッキングしたままカメラで捕らえ、タブレットに映し出す。原点や輪郭をズームアップ。十字線を合わせ、その位置を加工機の座標で捉える。加工部を複数ヶ所測ることで、ピッ…

トピックス

関連サイト