金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

23

新聞購読のお申込み

この人に聞く
MACHICOCO 戸屋加代 代表

 製造業のネット活用は新規顧客や新分野の開拓、知名度向上など様々な方面で大きな効果を上げている。金型メーカーにとっても例外ではない。ただ、その効果は限定的で、ホームページ(HP)を作っても大きな効果を得られていない企業も多いのではないか。そこで、自身も家業である金型メーカーに勤め、営業兼現場責任者としてWEBやSNSを活用し、17年間で売上を約4倍に伸ばした実績を持ち、現在はMACHICOCO(大阪府東大阪市)代表の戸屋加代氏に上手くHPを活用する方法などをご自身の経験も含めてお聞きしたほか、昨年立ち上げたMACH‐COCOの事業について紹介する。

上手なネットの活用術

 金型メーカーのネット活用をどう思われていますか。

 金型メーカーに勤めて教えられたのは、製造業はサービス業だということです。金型メーカーはデザインや製品設計ではなく、依頼された製品を技術というサービスによって金型という商品を作り出し、提供します。その技術を発信して、依頼者に届けることが大切だと思います。

 だからこそ、ネット活用は大きな要素だと。

 そうです。前職ではHPやブログでお客様の困り事をピックアップし、解決した事例などを載せていました。例えば「設計できない」や「納期に困っている」など、HPに依頼者が抱える悩みを解決した事例が載っていれば興味を持ってもらえると思います。その解決事例の中に金型など商品があれば良いと思います。私の場合、そこにブログも加えていました。

 なぜブログを。

 毎日ブログを更新することで前進や成長といったプラスの雰囲気が伝わるからです。ブログを読んでいて問い合わせを頂いた個人や企業も多く、逆にブログの更新を止めると問い合わせが減ったことがありました。HPで大事なことはイメージです。HPを立ち上げても、問い合わせが来ないという企業もあるかもしれませんが、問い合わせしやすいHP作りが必要だと思います。私はブログで日常や会社のことなどを載せていましたが、会社の雰囲気や取り組み、働く人の姿勢や考え方などを伝えることにも重点を置きました。問い合わせを頂いたお客様の中には金型を知らない人も多く、親身に相談に応じてくれる企業なのかをHPやブログで判断しておられた方もいました。極論をいえば、人がつながるHPが良いと思います。

 ネットの効果は。

 製造業はサービス業
   問い合わせしやすいHP

 経験上、訪問営業するよりHPの更新など情報発信を充実させることで問い合わせが増えました。訪問営業は顧客ニーズが掴みにくいので不効率になりがちです。ネットはお客様から問い合わせ頂くので成約率も高く、7割ぐらいの確率で受注につながっていました。金型メーカーは資金や時間に制約があるので、ネットを活用した方が仕事はつながりやすいと思います。今はネットで探す時代ですし、困っている人も多いと思います。特に金型とは異なる分野の人たちは金属部品や商品の製造方法について知らないこともあり、そうした方々にも伝わるようなHPにすることも必要かと思います。あとは自社の強みを把握しターゲット(マーケット)を決めることです。自動車向けなのか、他分野なのかで、HPの内容も変わってきます。

 立ち上げたMACHICOCOとは。

 17年間金型業界にいたので何か恩返しが出来ないかと思いました。お客様や町工場の困り事を聞いていたことから、作る現場を伝え、形を実現するサービス「モノオト」を始めました。簡単にいうと、企業の情報発信や新しい販路につながるマッチングなど営業サポートを行うサービスになります。もう1つの事業がものづくり教育を行う「GarageHigashiOsaka(ガレージ東大阪)」です。現代の子供たちはモノを作る、触れる環境が薄れています。絵画教室に通う子供は必ず展覧会向けの作品を作ります。これをものづくりに置き換えて、1カ月ごとに何かテーマを決めて、ものを作る習い事のような体験型カリキュラムを作ろうと考えています。そうすれば、将来ものづくり企業に入るきっかけになるのではないかと思っています。以前から人材はたくさんいるのに就職の選択肢に「ものづくり」がないと思っていました。選択の幅を広げる活動ができればと思い、ここに汎用機などを揃え、学ぶ場を創設します。また、作ったものを販売できるように販売サポートも検討しています。この事業は子供だけでなく、大人にも目を向けていて、例えば、設計者でも製造現場の経験が不足していると聞きます。東大阪は職人のいる企業が多く、その職人からものづくりを学ぶ教育プログラムを作り、「体験」・「体感」・「体得」をテーマにしたカリキュラムを提供します。併せてセミナーやイベントを開催することにより、技術者の育成につなげようと考えています。

 楽しそうですね。

 ものづくりの世界では創造性が失われてきています。現代は物に不自由しない時代ですが、昔の職人は何でも作れました。今は機械で自動化され、自分で作ることが薄れています。職人が持つ創造性やノウハウをどう伝承していくか、今後問われていくでしょう。

金型新聞 2019年4月10日

関連記事

【ひと】熊本精研工業企画開発部部長・越智 英二さん(59) カメラによる機上測定機を開発した

カメラによる機上測定機を開発した 放電加工した金型部品をチャッキングしたままカメラで捕らえ、タブレットに映し出す。原点や輪郭をズームアップ。十字線を合わせ、その位置を加工機の座標で捉える。加工部を複数ヶ所測ることで、ピッ…

日本鍛圧機械工業会 長利啓正会長(コマツ産機社長)インタビュー【特集:プレス加工の未来】

電動車による部品の変化や脱炭素対応などさまざまな変化に迫られている金型業界。見てきたように、こうした変化に対応すべく、プレス金型の製造現場ではいろんな取り組みを進めている。一方で、環境変化によってプレス機のニーズは変わる…

3Dプリンタ活用を支援する研究開発拠点を開設 酒井仁史氏(NTTデータザムテクノロジーズCTO)【この人に聞く】

独EOS社の金属3Dプリンタの日本代理店を務めるNTTデータ ザムテクノロジーズ(XAM)。昨夏に、大阪市内に金属3Dプリンタ15台のほか、多様な検査装置を備えた「デジタルマニファクチャリングセンター(DMC)」を開設し…

短時間でプレス解析 南工【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

トライ後の改修減らし生産性アップ 自動車の骨格部品などのプレス金型を手掛ける南工は昨年、解析速度の速いプレスシミュレーションソフトを導入した。短期間で高精度の塑性変形予測を割り出し、設計品質を高め、トライ後の改修時間も短…

瑞穂工業 新社長 大澤史和氏に聞く

超硬工具や各種超硬素材の製造販売を手掛ける瑞穂工業(大阪市西淀川区、06・6471・4721)は4月、大澤史和氏が代表取締役社長に就任し、新たな船出を迎えた。同社は1944年創業以来、超硬工具や金型の製造に携わり、独自の…

トピックス

関連サイト