金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

23

新聞購読のお申込み

トヨタ紡織と技術協定
岩手大学

 今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の教育などにもつなげたい」と話す岩手大学の岩渕明学長に協定締結の経緯や連携で期待することなどを聞いた。


 1949年生まれ、宮城県出身。74年東北大学大学院工学研究科修士課程修了、91年岩手大学工学部教授、2010年同理事(地域連携・国際連携担当)・副学長、15年同学長(現在に至る)。

岩渕 明学長に聞く

金型など共同研究

きっかけは?

 当大学が持つ金型技術を中心とした学術的知見を活用したいというトヨタ紡織の意向から今回の協定締結に至った。当大学としては金型だけでなく、電気や化学といった他の分野も含めて大学全体で連携したいという考えがあり、「包括協定」という形になった。

具体的にはどんな研究開発を行うのか?

 基本的にはトヨタ紡織から研究開発テーマが与えられ、それに対して取り組む。すでにいくつか与えられており、その一つが、「プレス不良の検知」。今まで目視で検査していた亀裂やしわなどのプレス不良を音や画像でモニタリングすることで自動検知できるシステムを開発する。そのほかにも成形時のシミュレーション精度の向上や腐食・防食などについて研究する予定だ。

大学全体で連携する意味は?

 大学ではシーズは豊富にあるが、どこにニーズがあるか分からないということが少なくない。あくまで与えられたテーマ次第だが、大学全体で連携することによって異分野との交流が生まれ、樹脂の新素材など新しい研究開発につながることを期待している。

研究の意義感じて欲しい

「技能」を「技術」に

その他に期待することは?

 学生のモチベーションアップにもつながると考えている。学生にはこの研究交流に参画してもらい、自分たちの研究が社会にどう活かされているのかを見てもらいたい。どうしても研究開発というと技術の新規性が評価されがちだが、普段から学生には「我々はエンジニアリング。生産性向上やコスト低減を実現する技術も価値が高い」と話している。それを実感してほしい。

岩手大学は金型技術の研究を行う数少ない大学ですよね?

 2003年に「金型技術研究センター」を設立した。当初は微細金型技術の研究開発に取り組んでいたが、4〜5年前に1000tのプレス機を導入してからは自動車向け金型技術の研究にも取り組んでいる。金型という基盤技術がなければ先端技術の社会実装はあり得ない。大学として金型技術を研究することは意味があるし、次世代自動車などによって今後さらに需要は高まるだろう。

研究開発に人手を割けない企業も少なくないと?

 以前から大学の役割は、「技能」を「技術」にすることだと考えている。科学的に考えて数値化することで経験や勘だけに頼らないものづくりが可能になる。人手不足が深刻化する中、大学が企業の代わりに研究開発を担うというケースは今後増えていくはずだ。

金型しんぶん 2019年5月14日

関連記事

石井洋平さん ユーチューブに動画投稿【ひと】

「どうも、石井精工のユーチューブチャンネルです」。2021年から動画投稿サイト「ユーチューブ」に自社の紹介動画や、使用した工具のレビュー動画などを投稿する。約2年で動画本数は100本を超え、登録者数は1000人を突破した…

金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】

業界の弱体化は顧客にマイナス ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえ…

この人に聞く2016<br>牧野フライス製作所 井上 真一社長

この人に聞く2016
牧野フライス製作所 井上 真一社長

要望に合わせ創造と変革  「色々と教えると新しい経営はできないだろうから、あなたには多くは教えない」―。工作機械業界のカリスマ、牧野二郎前社長がそう伝えるほど、全幅の信頼を置く。 顧客重視をより進化  入社時に「機械もソ…

新日本テック 産学連携でネットワーク構築し、金型の課題解決【金型の底力】

超精密金型部品や機能性金型部品、金型製作(プレス・モールド)を手掛ける新日本テックは設備や配管内に溜まった水垢(スケール)を除去する金型用水あか防止洗浄液を開発した。射出成形金型の温調水を流す配管のスケール除去などに有効…

日本金属プレス工業協会 久野忠博新会長インタビュー、交流深め、地域と国のパイプ役に

人手不足や事業承継問題に取り組む 「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス…

トピックス

関連サイト