金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

26

新聞購読のお申込み

トヨタ紡織と技術協定
岩手大学

 今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の教育などにもつなげたい」と話す岩手大学の岩渕明学長に協定締結の経緯や連携で期待することなどを聞いた。


 1949年生まれ、宮城県出身。74年東北大学大学院工学研究科修士課程修了、91年岩手大学工学部教授、2010年同理事(地域連携・国際連携担当)・副学長、15年同学長(現在に至る)。

岩渕 明学長に聞く

金型など共同研究

きっかけは?

 当大学が持つ金型技術を中心とした学術的知見を活用したいというトヨタ紡織の意向から今回の協定締結に至った。当大学としては金型だけでなく、電気や化学といった他の分野も含めて大学全体で連携したいという考えがあり、「包括協定」という形になった。

具体的にはどんな研究開発を行うのか?

 基本的にはトヨタ紡織から研究開発テーマが与えられ、それに対して取り組む。すでにいくつか与えられており、その一つが、「プレス不良の検知」。今まで目視で検査していた亀裂やしわなどのプレス不良を音や画像でモニタリングすることで自動検知できるシステムを開発する。そのほかにも成形時のシミュレーション精度の向上や腐食・防食などについて研究する予定だ。

大学全体で連携する意味は?

 大学ではシーズは豊富にあるが、どこにニーズがあるか分からないということが少なくない。あくまで与えられたテーマ次第だが、大学全体で連携することによって異分野との交流が生まれ、樹脂の新素材など新しい研究開発につながることを期待している。

研究の意義感じて欲しい

「技能」を「技術」に

その他に期待することは?

 学生のモチベーションアップにもつながると考えている。学生にはこの研究交流に参画してもらい、自分たちの研究が社会にどう活かされているのかを見てもらいたい。どうしても研究開発というと技術の新規性が評価されがちだが、普段から学生には「我々はエンジニアリング。生産性向上やコスト低減を実現する技術も価値が高い」と話している。それを実感してほしい。

岩手大学は金型技術の研究を行う数少ない大学ですよね?

 2003年に「金型技術研究センター」を設立した。当初は微細金型技術の研究開発に取り組んでいたが、4〜5年前に1000tのプレス機を導入してからは自動車向け金型技術の研究にも取り組んでいる。金型という基盤技術がなければ先端技術の社会実装はあり得ない。大学として金型技術を研究することは意味があるし、次世代自動車などによって今後さらに需要は高まるだろう。

研究開発に人手を割けない企業も少なくないと?

 以前から大学の役割は、「技能」を「技術」にすることだと考えている。科学的に考えて数値化することで経験や勘だけに頼らないものづくりが可能になる。人手不足が深刻化する中、大学が企業の代わりに研究開発を担うというケースは今後増えていくはずだ。

金型しんぶん 2019年5月14日

関連記事

大型設備導入で生産体制強化 永井製作所が目指す新規開拓【金型の底力】

弱電部品やライフサイエンス部品、自動車部品など幅広い業種のプレス用金型を手掛ける永井製作所。ここ数年、積極的な設備投資を進め、生産体制の強化に取り組んでいる。昨年には事業再構築補助金を活用し、約1億円をかけてマシニングセ…

黒田製作所 会長 (岐阜県金型工業組合 理事長)黒田 隆氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

若者の興味を引け 金型はものづくりの喜びがある広く知られる業界へ  若手を育てることは、金型メーカーにとって技術の伝承はもちろん、業界の活性化という点でも大切なことです。量産のものづくりがある限り、マザーツールである金型…

J-MAX 新工場建設や船活用でCO2削減【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車の大型プレス用金型及び部品を製造するJ‐MAX。特に、ハイテン材・超ハイテン材用の金型で高い技術を有し強みを発揮している。「2030年度までに、CO2排出量を2013年度比半減、50年度にはカーボンニュートラル実現…

【ひと】ヤマシタワークス・福田 真弓さん 薬剤の金型を加工するママさんNC担当者

二人の子供を持つママさんNC加工担当者。入社のきっかけは、よくあるパート募集。応募したのは勤務時間が10時から15時までと働きたい時間に合致していたから。ただ、通常のパートと違ったのが、募集の職種が「NC加工」だったこと…

武林製作所の千田氏が「八尾ものづくり達人」

加工効率高める金型を設計 歯ブラシのプラスチック金型を手掛ける武林製作所(大阪府八尾市、072・998・1207)の金型設計技術者・千田雄一さんが、2023年の「八尾ものづくり達人」に選ばれた。金型の加工効率や品質を高め…

トピックス

関連サイト