金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

18

新聞購読のお申込み

トヨタ紡織と技術協定
岩手大学

 今年3月、岩手大学と自動車部品メーカーのトヨタ紡織は生産技術開発を中心とした連携で包括協定を結んだ。両者は今後6年に渡り、生産技術のほか、幅広い分野で共同研究を進めていく。「大学全体で連携し、技術開発だけでなく、学生の教育などにもつなげたい」と話す岩手大学の岩渕明学長に協定締結の経緯や連携で期待することなどを聞いた。


 1949年生まれ、宮城県出身。74年東北大学大学院工学研究科修士課程修了、91年岩手大学工学部教授、2010年同理事(地域連携・国際連携担当)・副学長、15年同学長(現在に至る)。

岩渕 明学長に聞く

金型など共同研究

きっかけは?

 当大学が持つ金型技術を中心とした学術的知見を活用したいというトヨタ紡織の意向から今回の協定締結に至った。当大学としては金型だけでなく、電気や化学といった他の分野も含めて大学全体で連携したいという考えがあり、「包括協定」という形になった。

具体的にはどんな研究開発を行うのか?

 基本的にはトヨタ紡織から研究開発テーマが与えられ、それに対して取り組む。すでにいくつか与えられており、その一つが、「プレス不良の検知」。今まで目視で検査していた亀裂やしわなどのプレス不良を音や画像でモニタリングすることで自動検知できるシステムを開発する。そのほかにも成形時のシミュレーション精度の向上や腐食・防食などについて研究する予定だ。

大学全体で連携する意味は?

 大学ではシーズは豊富にあるが、どこにニーズがあるか分からないということが少なくない。あくまで与えられたテーマ次第だが、大学全体で連携することによって異分野との交流が生まれ、樹脂の新素材など新しい研究開発につながることを期待している。

研究の意義感じて欲しい

「技能」を「技術」に

その他に期待することは?

 学生のモチベーションアップにもつながると考えている。学生にはこの研究交流に参画してもらい、自分たちの研究が社会にどう活かされているのかを見てもらいたい。どうしても研究開発というと技術の新規性が評価されがちだが、普段から学生には「我々はエンジニアリング。生産性向上やコスト低減を実現する技術も価値が高い」と話している。それを実感してほしい。

岩手大学は金型技術の研究を行う数少ない大学ですよね?

 2003年に「金型技術研究センター」を設立した。当初は微細金型技術の研究開発に取り組んでいたが、4〜5年前に1000tのプレス機を導入してからは自動車向け金型技術の研究にも取り組んでいる。金型という基盤技術がなければ先端技術の社会実装はあり得ない。大学として金型技術を研究することは意味があるし、次世代自動車などによって今後さらに需要は高まるだろう。

研究開発に人手を割けない企業も少なくないと?

 以前から大学の役割は、「技能」を「技術」にすることだと考えている。科学的に考えて数値化することで経験や勘だけに頼らないものづくりが可能になる。人手不足が深刻化する中、大学が企業の代わりに研究開発を担うというケースは今後増えていくはずだ。

金型しんぶん 2019年5月14日

関連記事

この人に聞く2017<br>安田工業 安田 拓人社長

この人に聞く2017
安田工業 安田 拓人社長

微細加工の大型化に対応  工作機械の「マザーマシン」として世界で高い評価を得ている安田工業。近年、金型業界でもニーズが高まる微細加工向けとしてJIMTOF2016で「YMC650」を発表し微細加工分野の開拓に努めている。…

「魅力ある組織に人は集まる 楽しく役立つ活動増やす」 東北金型工業会会長(プラモール精工社長)・脇田高志氏【鳥瞰蟻瞰】

魅力ある組織でなければ人は集まってきません。東北金型工業会をより魅力ある団体にするために、会長就任後すぐに、3つの分科会を作りました。若手が中心となって積極的に参加してもらい、勉強会などを通じ、メリットや魅力を感じてもら…

北米市場で連携促す 松岡寛高氏(七宝金型工業社長)【この人に聞く】

ダイカスト金型メーカーの七宝金型工業・松岡寛高社長はアメリカ、カナダ、メキシコの北米市場の開拓に向けて、金型メーカーが手を取り合い、設備、技術、営業活動でサポートし合うパートナーシップを進めている。同社は2015年にメキ…

J‐MAX 山﨑英次社長に聞く 電動化サプライヤーへの道【特集:プレス加工の未来】

自動車の電動化(EV化)に伴い、ものづくりも大きな変革期を迎えている。従来のエンジン車には搭載されなかった電動化部品の需要が高まり、新規需要の取り込みが部品メーカー各社の大きな課題となっている。その中、ハイテン材加工の車…

不二精工 淡路島で新工場を稼働し、大型化対応や研究開発を強化【金型の底力】

同社は1920年の創業で、接点などの電子機器向けのプレス部品を強みに業容を拡大してきた。近年は、車載部品での採用も進んでおり、その精密な金型とプレス技術は世界中で認められている。 例えばスマートウォッチに搭載された気圧セ…

トピックス

関連サイト