金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

24

新聞購読のお申込み

ユーザーとの距離近づけ 高付加価値化を提案
岡本工作機械製作所 石井常路社長

 研削盤メーカーの岡本工作機械製作所(群馬県安中市、027-385-5800)は今年5月、新たに3カ年の中期経営計画を発表した。新中期経営計画の達成に向けた基本戦略の一つとして「顧客付加価値強化」を挙げる。「今まで以上に顧客との距離を近づけ、付加価値の高い提案で困りごとを解決していきたい」と話す石井常路社長に今後の方向性や金型業界に対する考えなどを聞いた。

サービス体制の充実図る

 1956年生まれ、神奈川県出身。79年成蹊大学経済学部卒業後、岡本工作機械製作所入社。2003年オカモト・タイ社長、05年オカモト・タイ及びオカモト・シンガポール社長、14年岡本工作機械製作所社長、現在に至る。

基本戦略で掲げる「顧客付加価値強化」とは。

 近年、機械メーカーには機械単体でなく、システム全体での提案が求められている。最終工程を担う研削盤では以前からこういった傾向が強く、「このワークをこの精度、この時間で加工したい」という要望からシステム全体を取りまとめることが多かった。最近はさらにこうした案件が増えている。そうした中、「BtoBからBwithBへ」というスローガンを掲げ、顧客の視点からあらゆる取り組みを見直し、高い付加価値を提供していきたい。

具体的にどんなことに取り組むか。

 顧客の困りごとを解決できる提案に注力していく。最近はIoTや機上測定、ロボットといった技術によって、機械の稼働状態が監視できたり、自動で1μmの加工を追い込めたりと今までにない新しい提案が可能になっている。顧客の困りごとを聞き出し、人手不足の解消や生産性の向上といった課題に対して、適格に対応できる体制をつくっていく。

そのためには。

 こうした提案営業を展開していくためには、サービス体制の充実が欠かせない。そこでアフターサービスの強化に取り組む。まずは今まで製造部門の中にあったサポート部隊を独立させ、「カスタマーサービス本部」として立ち上げた。また、パーツセンターを充実させ、アフターパーツの即納体制を確立していく。付加価値の高い機械やシステムを販売するだけでなく、サービス面でも高付加価値化を追求し、顧客満足につなげていく。

海外展開はどうか。

 「グローバル戦線拡充」も基本戦略の一つに掲げている。現状の海外比率は約4割。今後さらに引き上げたいと考えている。国や地域ごとに適した機種の販売強化に加え、今まで日本のみだった超高精度機種などを海外でも展開していく。

 「ものづくり改革」も進める。特に技能伝承に取り組む。デジタル化を進めたり、熟練者の作業をビデオで撮影し技能教育に活用したり技能者の育成に注力する。将来的にはどこで作っても同じ品質の機械を提供できるようにしたい。

今後の金型業界をどうみるか。

 自動車の電動化や次世代通信規格「5G」などによって電子部品や半導体部品などの精密部品の需要が増えるとみている。そうなると金型には、繰り返し同じ部品を量産する強みを活かし、「より多くの部品」「より小さく」「より細かく」といったことが求められるはずだ。精密加工の領域で研削加工が貢献できる範囲は広い。金型メーカーと一緒になって取り組み、金型づくりをさらに発展させていきたい。

金型しんぶん 2019年12月10日

関連記事

この人に聞く
MACHICOCO 戸屋加代 代表

 製造業のネット活用は新規顧客や新分野の開拓、知名度向上など様々な方面で大きな効果を上げている。金型メーカーにとっても例外ではない。ただ、その効果は限定的で、ホームページ(HP)を作っても大きな効果を得られていない企業も…

差別化できる設備投資、従来とは違う戦い方で次世代につないでいく 中村稔氏(日新精機社長)【鳥瞰蟻瞰】

当社は創業から50年間、冷間圧造金型一本で事業を続けてきました。しかし、10年後も同じように事業を続けていられるかというと、そうは考えていません。今ある仕事は相当減っていると思います。感覚的な予測になりますが、だいたい3…

トヨタ自動車 モノづくりエンジニアリング部
鈴木 健文 部長に聞く

コロナショックを機に、金型に求められること  5月12日、コロナウイルス拡大の影響が読めない中で、トヨタ自動車の豊田章男社長は「頼りにされ、必要とされる会社を目指し、世界中の仲間とともに強くなる」とのコメントを発表した。…

大垣精工 代表取締役専務 松尾  幸雄氏「新しいことに挑戦することが技術の向上につながる」

経験による予測が不可欠若い人は好奇心旺盛であれ新しいことに挑戦して 日本の金型はますます難易度が高くなる一方、若手が基礎を学び、簡単なことから経験し、成長していく土壌が失われつつあります。だからこそ、過去の経験や技術を伝…

鋳造に独自の新工法
マツダ

特集 次世代車で変わる駆動部品の金型鋳造に独自の新工法  次世代自動車の技術は電動化に限らない。注目されるのがエンジンの進化だ。燃費性能を追求する新型エンジン「スカイアクティブ」。多くの自動車メーカーが電動化に力を入れる…

トピックス

関連サイト